トランプ氏再選で原油価格の下落に警鐘を鳴らすロシアのオリガルヒ
米国大統領選におけるトランプ氏再選の影響は、すでに石油市場にも及びつつある。石油はロシア最大の輸出品であり、プーチン大統領とつながりの深いロシアのオリガルヒの一人は、このことを憂慮し警告を発している。
『ハフポスト』によると、オリガルヒの一人でプーチン政権に近いとされるオレグ・デリパスカ氏は、かつて次のように予言していた。「トランプ氏が大統領選に勝利した場合、原油価格は下落する」。果たして大統領選が終わると、この予言の正しさが示されることになった。
トランプ前大統領の返り咲きが決まってから、北海ブレント原油も米WTI原油も、その価格が3%近く下落したのである。これらの原油は、原油先物価格の代表的な指標である。
米国大統領選の一般投票が行われたのは11月5日だったが、スペインの通信社『ヨーロッパ・プレス』によると、翌日11月6日にブレント原油価格は2.88%下落し、1バレルあたり73.35ドルで取引され、WTI原油は3.1%下落、69.74ドルで取引されたという。
しかし、オレグ・デリパスカ氏の見るところ、ロシアにとって事情はさらに悪化する可能性がある。『ハフポスト』によれば、デリパスカ氏はTelegram上に次のような投稿をしたという。「こんにちは、新しい世界。5月になると、原油はわずか50ドル。そこかしこに平和が訪れそうだ」。この投稿にはもちろん皮肉が込められている。
これほどの原油価格の下落は、ロシア経済に大きな打撃をもたらす。というのも、ロシア産原油の強みはその安さにあり、イギリス北海付近で産出されるブレント原油よりも安値で取引されているからだ。加えて、ロシア経済はこの原油輸出に大きく依存している。
この流れ、つまり原油先物価格下落の流れに対抗すべく、OPECプラスの8ヶ国(サウジアラビア、ロシア、イラク、アラブ首長国連邦、クウェート、カザフスタン、アルジェリア、オマーン)は、原油の自主減産を12月終わりまで継続することに決めた。供給過剰を避け、価格を下支えする狙いである。前出の『ヨーロッパ・プレス』が報じている。
ところで、オリガルヒのオレグ・デリパスカ氏は、アルミニウムで財を築いただけあってビジネスに明るい。ロシア経済が抱える不安材料について自説を展開するのはこれが初めてではない。
『フォーブス』誌によると、デリパスカ氏はすでに昨年3月、ロシア当局が外国人投資家を遠ざけていると批判し、追加資金を受け取らなければロシアはそうそうに資金不足に陥ると警鐘を鳴らしていた。
「国家と企業が絶えず衝突しており、そのことを大変憂慮している」とデリパスカ氏は述べ、ウクライナ戦争でかさみ続ける軍事費が、ロシア経済に悪影響をもたらしていることを示唆したのである。
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