メドヴェージェフ元大統領の過激発言「ロシアはウクライナを地図上から消し去る」

建前をかなぐり捨てはじめたロシア
メドヴェージェフ元大統領
「ウクライナを地図から消し去る」
ソチのイベントでの発言
ある地図が物議をかもす
黒海沿岸をロシアが支配
ポーランドもウクライナを併合
ハンガリーとルーマニアも拡大
キーウは都市国家に?
「ウクライナは絶対にロシアだ!」
全ロシア文明
「反ロシア連合」?
冷戦時代以来の危機か
政府の見解に沿う
ウクライナは人工国家と主張
和平交渉は難しいか
建前をかなぐり捨てはじめたロシア

2022年2月にウクライナへの全面侵攻を開始した当初、ロシアはドンバス地方におけるロシア系住民の支援やウクライナの「脱ナチ化」などさまざまな理由を並べたてた。だが、それから2年の時が経ち、もはやそういった建前はかなぐり捨て始めているようだ。

メドヴェージェフ元大統領

ドミートリー・メドヴェージェフはプーチン大統領の側近の一人であり、大統領や首相の地位にも就いたことのあるロシア政界の重鎮だ。

「ウクライナを地図から消し去る」

そのメドヴェージェフ元大統領は現在は安全保障会議副議長を務めており、ウクライナはロシアの一部だと主張するのみならず、ロシアはウクライナを地図から消し去るなどと発言している。

ソチのイベントでの発言

アルジャジーラによると、メドヴェージェフ元大統領はロシア南部の都市ソチで行われたユースイベントで発言、ウクライナとの和平交渉の可能性を否定したという。

ある地図が物議をかもす

元大統領はこう語った:「ウクライナの指導的立場にあった人物がかつて、『ウクライナはロシアではない』と言ったことがある。この認識は今後永遠に消されなければならない」さらに、この発言中、元大統領は現在のウクライナ領のほとんどがロシアに吸収された状態の地図を背にしていたという。

画像:Gerashchenko_en / X

黒海沿岸をロシアが支配

アルジャジーラはその地図を分析。それによると、ロシアはウクライナの南東部を手中に収め、黒海沿岸地域を支配したいということのようだ。

ポーランドもウクライナを併合

その地図でウクライナ領を併合していたのはロシアだけではなく、ポーランドなどの国もウクライナ西部方面に拡大していたという。複数のメディアが報じている。

画像:calvinhanson / Unsplash

ハンガリーとルーマニアも拡大

同様に、ハンガリーとルーマニアもウクライナ領方面に拡大していた。

画像:nicosmit99 / Unsplash

キーウは都市国家に?

地図上にはそういった国々の狭間にごくわずかな痕跡のような領土が残されており、どうやらこの、現在のキーウ地方に相当する部分がウクライナとして残されるということのようだ。

画像:photofixation / Unsplash

「ウクライナは絶対にロシアだ!」

メドヴェージェフ元大統領は聴衆に向かって「ウクライナは絶対にロシアだ!」と宣言、満場の拍手で迎えられた。さらに、ウクライナの該当地域はロシアという「祖国にもどる」べきだとも述べた。

画像:Gerashchenko_en / X

全ロシア文明

元大統領は、一連の主張はロシアの一般世論を代弁したものであり、決して無視されるべきではないと言明している。ロシア国営タス通信によると、元大統領はこう語っている:「ロシア国民は正当にもウクライナ及び同国民をわれらが全ロシア文明の一員とみなしている」

「反ロシア連合」?

メドヴェージェフ元大統領はさらにこう続けたという:「米国やその同盟国はウクライナに罠をしかけている。その目的はウクライナの力を使って我が国に反撃することだ。ウクライナがこの『反ロシア連合』の存在に気付き、この上なく愚かしい罠から脱することができれば、状況はまた異なったものとなるだろう」

冷戦時代以来の危機か

メドヴェージェフ元大統領の見解では、東西陣営の関係は1962年のキューバ危機以来の水準にまで悪化しており、核戦争の危機が目前まで迫っているのだという。

政府の見解に沿う

とはいえ、こういった見解は決して目新しいものではない。プーチン大統領も、ウクライナが歴史的・文化的にロシアの一部だという見方をすでに何度も述べている。

ウクライナは人工国家と主張

2月8日にタッカー・カールソンと面会したプーチン大統領は、ウクライナはロシア西部とポーランド東部を切り取って人工的に造られた国家だと主張している。

画像:tuckercarlson / X

和平交渉は難しいか

目新しい主張ではないとはいえ、このような思想が背景にあるとすれば、プーチン大統領やメドヴェージェフ元大統領などが率いるロシア政府はウクライナという国家が完全に消滅するまでこの「特別軍事作戦」を継続するのではないか、という懸念は深まるばかりだ。

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