ロシア第155海軍歩兵旅団、ドネツィク州炭鉱エリアでほぼ潰滅か

ウラジーミル・プーチン大統領は先日、ウクライナにおいて屈辱的な敗北の報を受け取った。ロシア軍屈指の精鋭部隊がドネツィク州の炭鉱町近郊で壊滅したのである。

その戦闘にさきだつ数週間、ウクライナ政府高官たちはロシア側が準備しつつある次の攻勢を警戒していた。その攻勢がまずはドネツィク州の町ウグレダル（ヴフレダール）付近で始まっていたのだ。

ロイター通信の記事（2月10日）は、「ロシア軍がウグレダルで数十両にのぼる装甲車両を失った」とする英国国防情報局（英国国防省に属する情報機関）の報告を伝えている。

YouTubeチャンネル「Reporting from Ukraine」は2月11日公開の動画で、戦場上空から撮られたドローン映像を参照しつつ、「ロシアの戦車大隊は一日のうちにその戦闘能力を喪失した」と述べている。

イギリス国防省は2月10日、公式Twitterで国防情報局の最新情報を伝えている：「ロシア軍はウグレダル近郊でとりわけ多数の人的被害を出したようであり、そこには経験の浅い部隊が投入されていた」

「襲撃が失敗に終わるとロシア軍勢は一挙に逃げ去り、おおむね無傷の戦車を少なくとも30両放棄していった」とイギリス国防省のツイートは続いている。だが、ロシア軍の被害はさらに悲惨なものだったかもしれない。

2月13日、『ポリティコ』紙のヴェロニカ・メルコゼローヴァ（Veronika Melkozerova）の記事をきっかけに、ウグレダル潰走によりロシア軍が被った損害はさらに深刻なものだったという知らせが広まり始めた。記事はプーチン大統領が、選り抜きの大部隊を失ったかもしれないと伝える。

タヴリースク地区のウクライナ防衛軍プレスセンター長オレクシイ・ドミトラシュキフスキー（Oleksiy Dmytrashkivskyi）に取材した『ポリティコ』紙の情報によると、ロシアの第155海軍歩兵旅団がウグレダル強襲の任務についていた。

「多数の敵兵士（その中には指揮官もいる）が、ドネツィク州ウグレダルとマリインカで撃破された」とウクライナ軍プレスセンター長は『ポリティコ』紙に語った。

「加えてここ一週間で、ロシア軍は130両の装甲車両を失い、うち36両は戦車である」とプレスセンター長は続けた。

プレスセンター長いわく、ウグレダルでの大敗は第155海軍歩兵旅団がウクライナで喫した初めての大敗ではなかった。「第155旅団は三度にわたって人員補充を余儀なくされてきた」という。

「最初はイルピンとブチャでの戦闘後に、次はドネツィク近郊で敗北を喫し、その後旅団は再び体勢を立て直した。そして今や、ウグレダルの近くの戦闘で旅団はほぼ丸ごと撃破されている」とプレスセンター長は語った。

自国の軍隊がウグレダルで手酷い敗北を喫したという報道について、クレムリンはまだ公式にコメントを発表してはいない。だが『ポリティコ』の同記事によると、ロシア側の要人イーゴリ・ギルキンがTelegramのチャンネルで（イゴール・ストレルコフ名で）述べるには、「ウグレダル付近でロシア軍は、自動車と戦車を縦に並べて狭い道路を進まねばならず、結局身動きがとれなくなってしまった」という。

「ウクライナ軍の砲兵隊はきわめて正確な砲撃を行う。30両以上の装甲車両が破壊された。何十名もの戦車隊員が死亡した。海兵隊員、特殊部隊、自動車化狙撃兵の死者はさらに多い」とイーゴリ・ギルキンは述べている。

「そして重要なことに、これらの人的・物的損害は『一方的』なものだった。つまりウクライナ軍は、さながら射撃場の的を狙うがごとく襲撃者たちを迎撃した」とイーゴリ・ギルキンは続ける。

CNNの報道によると、第155海軍歩兵旅団はかつて2022年11月にもウグレダル奪取を試みたが、襲撃は同じく失敗に終わった。旅団はその時およそ300人の死傷者を出し、装備の半分を失ったという。