ロシア軍内で高まる厭戦気分:兵士600人が参戦を拒否
ウクライナ東部のルハンシク州で、ロシアで徴兵された兵士約600人が前線での戦闘を拒否、ロシアに送り返された。ウクライナ軍参謀本部が伝えた。
参謀本部の日報によると、「ロシアの動員兵の間には参戦を拒否する動きがある」のだという。
報告によると、「2月3日、最大600人ほどの戦闘拒否者がルハンシク州からロシア連邦へと送還された」とされる。
この報告以前にも、ロシア軍の兵士たちが、この戦争に対する不信感をより公然と表明するようになってきたというニュースが伝えられたばかりだった。
「動員された兵士は、自分たちがただの使い捨ての駒として扱われているということを認識している」と書いたのはベラルーシの人権派ニュースメディア、『Charter 97』だ。
同じメディアによると「動員兵たちは反乱を組織し、数日前線で過ごした後は一刻も早く故郷に帰ろうと全力を尽くしている」ともいう。
『Charter 97』は2022年10月初頭から前線に記者を派遣、ロシア軍内の反乱の動きを追っている。
『Charter 97』のウェブでの投稿では「最近ではロシア軍内における反乱は日常茶飯事となった」とすら書かれている。
そのポストはこう続いている:「ロシアの民衆にとって動員は突然のことで、いきなり最前線に送られている。その動きに反対するために、動員兵は反対意見を表明する文書を公開したり軍を脱走したりしている。さらには上官に対する暴力に訴え、殺害にまで至るケースもある」
こういった報告を裏付ける証拠も出てきている。ロシアのマグニトゴルスク軍事裁判所の発表によると、ある下士官が軍用列車に乗車中、酔った勢いで上官を殴り殺したとされている。
10月には500人ほどのロシア兵が動画を公開。自分たちの苦境を訴え、プーチン大統領や軍上層部に公然と不満を述べたことで話題になった。兵隊たちはウクライナ近くのベルゴロド州まで移送されたとき、命令も補給も届かず非人間的な状況に置かれたのだという。
『モスクワ・タイムズ』が翻訳した報告によれば、動画の撮影者はこう述べていた:「誰も私たちを必要としていません。もう一週間も動物のような暮らしをしています」
「ただ食べ物を手に入れるためだけにばかばかしい額の自己負担を強いられています。弾薬などもってのほかです」と、その匿名の兵士は続けている。
『Charter 97』によると、実際、お金の問題は動員兵の頭痛の種となっているらしい。戦争に反対しているからではなく、給料が支払われないことを理由とする反乱もあるという。
『ラジオ・フリー・ヨーロッパ』によると、11月、ロシアのチュヴァシ共和国から動員された100人ほどのグループが反乱。原因は給料の未払いだったという。
ある兵士は自分たちが反乱を起こした理由を国民に説明するビデオを撮影、公開した。その中ではこのように言われている:「当局は私たちに毎月195,000ルーブル(約40万円)払うと言ったのにそれを拒否した。我らが大統領、ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・プーチンが約束したのにだ!」
「家族のための支えもなしに、なぜ故郷を出て戦いに行かねばならないのか?」とその男性は続けている。
9月にロシアはおよそ30万人を動員。春に予想される大攻勢を前に戦列を強化すると見込まれていた。だが数十万単位の増強では、ロシアが意図した効果を挙げるにはまだまだ不十分かもしれない。
ロシア政権は2022年10月末にいったん「動員を完了」したと発表。しかし直後の11月初旬にプーチン大統領は動員対象を拡大する法律改正案に署名している。さらなる動員が行われる可能性を前に、ロシア兵の間の厭戦気分もさらに高まっている。