上海ディズニーランドで来場者が足止め:ゼロコロナ政策で

クリスマス前の悪夢
「夢の国」に入り込んだ新型コロナウイルス
「夢の国」から出られない
長期的な影響
大規模なロックダウン
ロックダウン解除
中国にとって大きな課題
日常が戻りつつある上海
閉鎖されたままの施設も
ビジネス再開
回復への道
ロックダウンで騒然となった上海
中国最大の港湾都市、上海
オミクロン株の拡大
人々を見張る監視員
両親から引きはなされる子供たち
検査の強制
高まる不満
買いだめ、奪い合い、密告
連帯感も生まれる
買い物に殺到する人々
当局のアピール
即席の病院
ゼロコロナ政策の問題点
対応に追われる当局
一党独裁の利点?
クリスマス前の悪夢

『ガーディアン』紙は、上海ディズニーリゾートを訪れていた来場者の1人が新型コロナウイルス陽性反応を示したため、同リゾートは10月31日から一時閉鎖に追い込まれてしまったと報じている。

「夢の国」に入り込んだ新型コロナウイルス

また、10月27日以降に同リゾートを訪れた人々全員に対し、コロナウイルス検査が義務付けられることとなった。

「夢の国」から出られない

一方、NBC放送によれば、上海ディズニーリゾートを訪れていた2万人もの来場者が、コロナウイルス検査で陰性の結果がでるまで同リゾート内に足止めされているという。

長期的な影響

「夢の国」を襲ったこの事態は、コロナ禍がいまだに終わっていないことを如実に示すものだ。

大規模なロックダウン

上海では2ヵ月間にわたって世界でも例のない厳重なロックダウンが敷かれていたが、上海ディズニーリゾートは6月30日に営業を再開していた。しかし、「ゼロコロナ政策」を掲げる中国では、いくつかの制限がいまだ課されたままとなっている。

 

ロックダウン解除

衛星放送アルジャジーラによれば、ロックダウン解除を祝って街に繰り出した上海住民もいたという。

 

中国にとって大きな課題

上海で暮らす経済学者、ダン・ワン氏はアルジャジーラのインタビューに対し、「予想外の事態が何度も発生し、人々の安心感や中国の将来への信頼感が揺らぎました。ここ10年間で中国が直面した課題としては、最も大きなものだったはずです」とコメントしている。

 

日常が戻りつつある上海

しかし、上海で暮らす人々はようやく外出許可なしで出かけられるようになり、数週間にわたって運休していたバスや地下鉄といった公共交通機関も運転を再開したという。

 

閉鎖されたままの施設も

ただし、まだすべてが元通りになったわけではない。実際、ドイチェ・ヴェレ放送は、映画館やレストラン、カフェ、ジムといった施設がいまだに閉鎖されていることを伝えている。

 

ビジネス再開

上海ではロックダウンによって不況が続いていたが、ついに工場や港も操業を再開した。

回復への道

『ニューヨーク・タイムズ』紙は7月に、上海市指導部の声明として「経済・社会の回復を加速させるのは喫緊の課題だ。生活と生産力を元通り回復するため、全力を注ぐ」というコメントを掲載していた。

 

ロックダウンで騒然となった上海

中国が掲げる「ゼロコロナ政策」に基づいて発動された管理措置によって、コロナ禍に晒された上海では劣悪な衛生状態と社会的影響が引き起こされていた。

 

 

中国最大の港湾都市、上海

長江河口に位置する上海は人口2,400万人あまりを抱える中国最大の都市であり、貿易港としても最重要拠点だ。金融・製造・科学技術が集まる世界的拠点なのだ。

写真:Edward He / Unsplash

オミクロン株の拡大

オミクロン株の出現によって、2年間にわたり感染者数を抑えていた中国でも数千人に上る新たな感染者が発生。地方当局は都市のロックダウンを実施せざるを得なくなっていた。

人々を見張る監視員

上海で暮らすジュリ・ミン氏は4月の段階で上海市が直面していた息苦しい事態について、『ニューヨーク・タイムズ』紙にこう語った:白衣とマスクに身を包んだボランティアが通りを監視し、住民が外出制限を守っているかどうか、建物ごとに大規模検査が行われているかどうかを確かめていました。病院は入院患者でいっぱいです。

 

両親から引きはなされる子供たち

検査で陽性となった子供たちは症状の如何にかかわらず、両親の付き添いなしで入院しなくてはならなかったという。ところが、この方針は市民の怒りを買い、中国政府も両親の付き添いを認めざるを得ない事態となった。

検査の強制

白衣に身を包んだボランティアには特別な権限が与えられており、市民の家庭を訪問し、検査を強制することができた。

高まる不満

検査や入院、隔離を拒否した地元住民を強引に連れ去る様子がSNSで拡散されると、人々の間に不満が高まり始めることとなった。

 

買いだめ、奪い合い、密告

前出のジュリ・ミン氏は『ニューヨーク・タイムズ』紙に対し、当局の厳格な方針にはいくつかの弊害があると語っている:「人々は食料や日用品の買いだめに走ったり、奪い合いをしたりしています。また、他の住民を保菌者の疑いがあるとして密告する人もいます」

 

連帯感も生まれる

しかし、ジュリ・ミン氏によると、住民全員が自己中心的な行動に出ているわけではないという:「近所では必需品をお互いにシェアしている人もいます。あるジム経営者の男性は、日用品を何袋もジムの前において誰でも持っていけるようにしてくれています」

買い物に殺到する人々

SNS上に投稿された動画には、上海の人々がスーパーマーケットに殺到し品物を残らず買い占める様子が映されていた。しかも、売り切れが懸念されるほど品薄だったわけではないのだ。

 

当局のアピール

一方、中国の国営メディアは、当局がコロナ禍との闘いを効果的に進めていることを盛んにアピールしていた。

 

即席の病院

一例としては、上海コンベンションセンターを記録的なスビートで4万床を備える即席の病院に仕立て上げたことが挙げられる。写真は患者の来院を待つ上海コンベンションセンター。

 

 

ゼロコロナ政策の問題点

上海やその他の都市で実施されたロックダウンによって、中国政府の掲げる「ゼロコロナ政策」に疑問の声も挙がるようになっている。

対応に追われる当局

社会的な不満の高まりを受けて、中国当局も上海をはじめ各地で対応に追われることとなった。

一党独裁の利点?

スロベニアの哲学者スラヴォイ・ジジェクは、中国の友人がかつて述べた言葉として:「中国共産党には西側諸国より有利な点が1つある。次回の選挙を気にする必要などないということだ」

ほかのおすすめ