先進国で加速する高齢化:平均年齢が高い国トップ10はどこ?

止まらない高齢化
高齢化は今後も加速
人口予測は
高所得国に多い高齢者
中・低所得国でも高齢化
IMFの見解
誘発される経済問題
上位10か国
1位:モナコ
2位:日本
3位:イタリア
4位:サンマリノ
5位:ポルトガル
6位:ドイツ
7位:ギリシャ
8位:ブルガリア
9位:プエルトリコ
10位:スペイン
止まらない高齢化

世界的に人々の平均寿命がのびている。これは現代医学の成功といえるが、国連も指摘する通り数多くの国で高齢者人口が増加し、さまざまな社会課題が生じている。

高齢化は今後も加速

国連の報告によれば、2020年には60歳以上の人口が10億人に達し、5歳未満の人口数を上回ったという。高齢者人口の割合は増加を続け、2030年までに14億人に達するとみている。

人口予測は

つまり、2022年に行われた国連の予測と同じく6人に1人が60歳以上ということになる。ただし、2007年の時点で国連は8人に1人が高齢者になると予測しており、今後上方修正される可能性もある。

高所得国に多い高齢者

人口分布(各国の中央値で測定)をみると、高齢者はヨーロッパを中心とした高所得国や先進国に多く集まっている。

中・低所得国でも高齢化

しかし国連の予測では、高齢化が加速しているのはむしろ中・低所得国であり、2050年には高齢者の80%が発展途上国に分布しているという。

IMFの見解

2022年、国際通貨基金(IMF)は、人口の高齢化が「顕著な人口統計学的傾向」であるとし、その原因を 「出生率の低下と長寿の増加 」とした。

誘発される経済問題

人口の高齢化に伴い、定年や年金、再就職などの課題に加え、労働人口率の低下といった深刻な経済問題が生じている。

上位10か国

「Our World in Data」が公開した平均年齢がもっとも高い国のトップ10をみると、その多くがヨーロッパあるいは先進国となっている。ただし、高齢化が世界的傾向であることを示すような意外な国名もあった。では、高齢者率の高い上位10か国を見てみよう。

1位:モナコ

モナコにおける2021年の平均年齢は54.50歳。2019年、モナコ政府は高齢化支援と扶養介護の国家計画を策定した。

2位:日本

日本は平均年齢48.40歳で第2位となった。『ガーディアン』紙によると、今年初めに岸田首相が、少子高齢化が日本社会にとって差し迫ったリスクとなっていると発表している。

3位:イタリア

欧州連合(EU)の中で、最も高齢者人口の割合が高い国となったイタリア。平均年齢は46.80歳だ。ジョルジャ・メローニ首相は、ベビー用品の付加価値税を引き下げ、児童手当を引き上げることで、この課題に取り組んでいる。

4位:サンマリノ

イタリアと四方の国境を接するヨーロッパの小国サンマリノがランクインした。平均年齢は46.30歳。国連ヨーロッパ経済委員会(ECE)によれば、サンマリノの高齢化は出生率の低下によるものだという。

5位:ポルトガル

ポルトガルの平均年齢は45歳。最高齢ではないが、EUの中で最も高齢化が進んでいる。2019年、経済協力開発機構は政府に年金制度の整備を勧告した。

6位:ドイツ

ドイツの平均年齢は、ポルトガルのそれとほぼ同じ44.90歳。専門家のホルガー・シェーファーが、ドイツでは毎年数十万人の労働者が減少し実社会にその影響が現れつつあると警告したと、ブルームバーグが伝えている。

7位:ギリシャ

ギリシャの平均年齢は44.70歳。深刻な債務危機と並び、年々増加する従属人口(15歳未満と65歳以上の生産年齢以外の人口)が大きな社会問題となっている。

8位:ブルガリア

ブルガリアの平均年齢は44.50歳。世界銀行によれば、幸いなことに南欧あるいは東欧国家における高齢化がもたらす経済的な影響は低まる傾向にあるという。

画像:Imad Alassiry / Unsplash

9位:プエルトリコ

平均年齢が44歳のプエルトリコ。国の保健局によると、急速な高齢化が進んでおり、プエルトリコ人の6人に1人は60歳以上だという。

10位:スペイン

スペインの平均年齢は43.9歳で、プエルトリコに迫っている。同国の統計機関によると、高齢者人口の増加と扶養率には直接的な相関関係があり、政府支出を圧迫しているという。

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