中国の大富豪、高額アート作品を「平らげる」:落札価格は620万ドル(約9億6000万円)

620万ドルで落札された「バナナ」
ラグジュアリホテルで行われたお披露目会見
「アート史における事件」?
アート作品『コメディアン』
バナナの元の値段は1ドル以下
「貧しい暮らしをしている」果物売りの涙
バナナ10万本の購入を約束
『コメディアン』の製作権も購入
物議を醸したアート作品
「ひとつの文化現象」?
アート市場への問題提起?
620万ドルで落札された「バナナ」

中国の実業家ジャスティン・サン氏は、暗号通貨ビジネスを成功させた34歳の大富豪だ。同氏は最近、オークションに出品された「1本のバナナ」を配したアート作品を620万ドル(約9億6000万円)で落札した。サン氏の行動はこれだけでも驚きに値するが、なんと同氏は「作品」をお腹に収めてしまったのだ。

 

ラグジュアリホテルで行われたお披露目会見

サン氏は香港きってのラグジュアリーホテルに報道関係者やインフルエンサーを集め、バナナを壁面にテープで貼った作品の紹介をしたという。そして「きわめてアイコニックな作品であり、このバナナはほかのものよりずっと素晴らしい」と称賛したあと、そのバナナをぺろりと平らげて人びとを驚かせた。英紙『ガーディアン』が伝えている。

 

「アート史における事件」?

英紙『サン』はこの出来事について、「報道会見の場でバナナを食べてみせること自体、アート史における事件だ」とした。

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アート作品『コメディアン』

会見の数日前、サン氏はニューヨーク・サザビーズのオークションで、イタリアの著名アーティストであるマウリツィオ・カテランが制作したアート作品『コメディアン』を620万ドル(約9億6000万円)で落札した。

画像:X - Sotheby's

バナナの元の値段は1ドル以下

米紙『ニューヨーク・タイムズ』によれば、このバナナはマンハッタンのアッパー・イーストサイドにある果物屋で、時給12ドルで働くシャー・アラム氏から1ドル以下で購入されたものだという。

「貧しい暮らしをしている」果物売りの涙

同紙の記者が果物店のアラム氏に、1ドル以下で買われたバナナがアート作品として数百万ドルの値で落札されたことを伝えると、現在74歳の同氏は「私の暮らしは貧しく、そんな大金は目にしたこともありません」といって涙を流したという。

バナナ10万本の購入を約束

作品を落札したサン氏は『ニューヨーク・タイムズ』紙に対し、アラム氏の果物店からバナナ10万本を購入し、「日常生活とアートとの素晴らしいつながりを祝福する」ために世界中に配るつもりだと語った。

『コメディアン』の製作権も購入

英紙『ガーディアン』によれば、サン氏は作品のバナナをお腹に収めただけではなく、壁にバナナをテープで貼り付けて『コメディアン』と題し、アート作品とする権利も手に入れたという。ただし、実際に権利を「行使」するかどうかについてはコメントしていない。

画像:Instagram - Cattelan Banana

物議を醸したアート作品

マウリツィオ・カテランによる壁にバナナを張り付けた作品が初めて登場したのは2019年、マイアミで行われたアート見本市「アート・バーゼル・マイアミ・ビーチ」でのこと。そこからアート作品の定義について議論が巻き起こった。

画像:Instagram - Cattelan Banana

「ひとつの文化現象」?

しかし、サン氏は「これは単なる芸術作品ではなく、アートとミーム、暗号通貨コミュニティという各界を結びつける文化現象」だとXに投稿、作品を高く評価した。

画像:Instagram - Cattelan Banana

アート市場への問題提起?

一方、制作したマウリツィオ・カテラン自身は、「本作はアート市場の投機に対する『創造性に富んだ批評』であり、鑑賞者が『アート作品はどういった基準にもとづいてその価値を獲得するのか』について考えるようデザインされている」と語っている。

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