人類の愚かしすぎる行為に捧げられる「ダーウィン賞」とは?
「ダーウィン賞」をご存じだろうか? 賞といっても、あまりありがたいものではない。なにしろ、愚かしい行いによって自分の浅はかな遺伝子を排除した人を「讃える」という、皮肉な賞なのだ。
したがって、対象者の死は必ずしも選考基準に入っていないのだが、大半の受賞者は常識はずれの行動によってとんでもない死を迎えている。
もちろん、死者に対する敬意は大切だ。その上で、ダーウィン賞は批判的な視点から、慎重に行動することの重要性を教えてくれるだろう。
気になる受賞者とその受賞理由だが、すでに無数の猛者たちがリストに名を連ねている。そこで今回は、歴代受賞者の中でも特に奇想天外な死を遂げた5人を紹介しよう。なお、受賞者および親族に敬意を払うため、個人名は伏せることとする。
まずご紹介するのは最近、受賞者となったロシア兵だ。受賞理由がにわかには信じがたいのだが、順を追って見てゆくことにしよう。同賞のウェブサイト「DarwinAwards.com」によれば、このロシア兵は放置されていたMacBookを盗もうとして、命を失う羽目になったというのだ。
MacBookを見つけた彼は上官と揉めるのを避けるため、ボディーアーマーの防弾プレートを取り外しMacBookをそこに隠すことにしたらしい。ところが、これが失敗のもとだった。
言うまでもなく、MacBookは防弾プレートとは違って銃撃から身を守るようには設計されていない。
その結果、この兵士はイルピン(ウクライナ)で戦死。遺体をあらためたウクライナ兵は、いきさつに気づいてさぞ驚いたことだろう。
2018年11月、インドのアンダマン諸島でひとりの青年がこの世を去った。当人のInstagram投稿によれば、彼はキリスト教布教に情熱を燃やす探検家であり、現代文明との接触を拒否するセンチネル族とコンタクトをとろうとしたらしい。
センチネル族とは、アンダマン諸島にある北センチネル島で石器時代のような暮らしを送る民族であり、インド政府は民族保護の観点から同島への接近を禁止している。
では、どのようにして北センチネル島に辿り着いたのだろう? BBC放送デリー支局によれば、バンクーバー(カナダ)出身のこの青年は漁師に賄賂を贈り、カヤックで同島に接近するよう頼み込んだという。
同局によれば、彼はセンチネル族にサッカーボールとハサミを贈り、キリスト教を布教しようと考えていたらしい。報道各社が伝えたところによると、彼は「この民族も永遠の命に手が届くはずだ」として、この島を訪れる決意を家族に伝えていたという。
カヤックが島に向かって漕ぎつけると、センチネル族はすぐに矢を射かけて攻撃を開始。しかし、この男は立ち止まらなかった。AFP通信によれば、青年を島に連れて行った漁師らは、センチネル族が「彼の首にロープを巻き付け、身体を引きずってゆく」のを目撃したという。
英国が一帯を支配した1880年代に絶滅寸前に追いやられた経緯から、センチネル族は外部との接触を徹底的に拒否し続けており、青年の遺体は回収されていない。
ウェブサイト「Mpora.com」によれば 、1997年には22歳の男性が自作バンジージャンプを試みてダーウィン賞を獲得する羽目になったという。
バージニア州レストン(米国)の司法当局によれば、この青年は高さ21メートルの橋から自作の命綱を使ってダイブしたと見られている。
青年はバンジーコード数本を結びあわせ、長さ21メートル弱の命綱を自作したのだが……
しかし、危険の伴う遊びは専門家の手を借りたほうが無難だ。この青年の場合、バンジーコードがゴムによって伸びることを見落としていたのだ。その結果、自信満々で橋から飛び降りたものの、頭から地面に激突してしまった。
こわいもの知らずはときに己の限界を見誤ってしまうことがある。1995年、離れ業に挑戦することで有名なカリフォルニア州出身の男性(39)が、ナイアガラの滝で前人未踏の冒険を決意。
この男はジェットスキーに乗ってナイアガラの滝に飛び込み、パラシュートで安全に降下しようとしたのだ。しかも、大胆な彼はジェットスキーにロケットエンジンを追加。滝に突入する直前に点火し、空に飛び出してからパラシュートを展開する予定だったらしい。
AP通信によれば、この男性は7年間にわたって計画を温めていたというが、その計画には致命的な見落としがあった。つまり、水に濡れたロケットエンジンは作動しないということだ。
しかも、問題はロケットエンジンだけではなかった。なんと、パラシュートも開かなかったのだ。その結果、男性は55メートルの高さから墜落、命を落とすことになってしまった。
ダーウィン賞のウェブサイトによれば、自分の「男らしさ」を証明しようとして1997年に思いがけない死を遂げた男がいるという。
ペンシルベニア州ピッツトン(米国)在住のこの男性は、友人の飼っている猛毒のコブラに触ろうとしたらしい。
無論、コブラは彼に噛みつき、友人は病院に行くよう急かしたという。ところが、噛みつかれた男性は「そんな必要はない。俺は漢だ、何とかなる」と言ってのけたそうだ。
その後、この「真の漢」は友人たちを連れてパブに向かい、ビールを飲みながらコブラに噛まれたことを武勇伝として語っていたのだが……
しかし、ウィキペディアにもある通り、コブラの毒は遅効性だ。中枢神経系が破壊されるまでには数時間かかるのだ。案の定、この男もバーにやって来てからおよそ1時間後に中毒で死亡したという。