トランプ前大統領、一貫性のない発言にたちまち突っ込みを入れられる

ちぐはぐな発言を続けるトランプ前大統領
『Fox & Friends』によるインタビュー
かつての選挙スローガン
保守派メディアのインタビューでボロを出したトランプ氏
司会者ウィル・ケインの質問
「勝ってしまえば楽なもの」
実行できたはずだが……
「この国をグレートにしなくては」
『ザ・ヒル』紙の指摘
マスコミ各社の反応
CNN放送の報道
選挙集会でのトランプ発言
カリフォルニア州での演説では……
大統領就任後は鳴りを潜める
2020年の米大統領選では……
保守系コメンテーターとの議論
「やつらも同じことをしている」
ちぐはぐな発言を続けるトランプ前大統領

トランプ前大統領の言いたい放題は毎度のことだが、その内容にはあまり一貫性がない。最近も、マスコミに突っ込みを入れられる事態を招いてしまった。ライバルだったヒラリー・クリントン氏について収監されるべきだなどと言ったことは一度もないと主張したのだ。

『Fox & Friends』によるインタビュー

件の発言が飛び出したのは米国のニュース番組『Fox & Friends』が6月2日に放送したインタビューの最中だった。一見、どうということのないコメントだが、実は過去のトランプ発言と矛盾するために、大いに注目を浴びることになってしまったのだ。

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かつての選挙スローガン

トランプ氏は2016年の米大統領選において、ライバル候補だったヒラリー・クリントン氏について、収監すべしというスローガンを掲げていた。しかし、目下のライバルは現職のバイデン大統領であり、かつてのスローガンはすっかり忘れ去られてしまったらしい。

 

 

保守派メディアのインタビューでボロを出したトランプ氏

しかし、トランプ前大統領が「あいつ(ヒラリー・クリントン氏)を収監すべし」と主張していたのは事実だ。そして、皮肉なことに、トランプ発言の一貫性のなさを暴くこととなった『Fox & Friends』は保守派メディア「Fox News」が手掛ける番組なのだ。

 

司会者ウィル・ケインの質問

ことの発端は『Fox & Friends』の司会者を務めるウィル・ケイン氏がトランプ前大統領に対し、「あいつを収監せよ」というスローガンを在任中に実行しなかったのはなぜかと尋ねたことだった。これに対し、トランプ氏は予想外の答えを返した。

「勝ってしまえば楽なもの」

『ザ・ヒル』紙によれば、ケイン氏の「あなたがヒラリー・クリントン氏について、『あいつを収監せよ』と言ったのは有名です。しかし、在任中には実行しませんでしたよね?」という質問に対し、トランプ氏は「私は彼女に勝ちました…… 勝ってしまえば楽なものです。みんな『あいつを収監すべし』と言い続けていましたが」と答えたというのだ。

 

実行できたはずだが……

トランプ前大統領は「私は…… (スローガンを)実行できたはずです。しかし、それはひどい仕打ちだろうと思ったのです」と言葉を続け、あのスローガンはむしろ支持者たちの主張だったとした。

「この国をグレートにしなくては」

トランプ氏いわく:「私は『あいつを収監すべし』などとは言いませんでした。しかし、人々は『あいつを収監すべし、投獄すべし』と盛り上がったのです。そして、我々は選挙に勝ちました。そこで、私は率直に、『そんなことはもういいじゃないか。我々がすべきなのはこの国をグレートにすることだ』と言ったわけです」

 

『ザ・ヒル』紙の指摘

しかし、『ザ・ヒル』紙のニック・ロバートソン記者はトランプ前大統領が選挙戦の一環としてヒラリー・クリントン氏の収監を掲げており、支持者の集会でもそのスローガンが叫ばれていたと指摘。

 

マスコミ各社の反応

また、その他のマスコミ各社もこの件について事実確認に奔走した。たとえば、CNN放送はトランプ氏が選挙集会のたびに演説を中断し、支持者たちに「あいつを収監すべし」と連呼させていたと報道している。

 

CNN放送の報道

CNN放送はさらに、トランプ前大統領の発言を複数引用し、トランプ氏自身が「あいつを収監すべし」というスローガンを何度も口にしていたとした。

 

選挙集会でのトランプ発言

それによると、トランプ前大統領は2016年10月にノースカロライナ州で行われた集会の際に、聴衆に向かって「彼女(ヒラリー・クリントン氏)は自分がやったことの責任を取って、収監されるべきです」と語りかけたとされる。さらに、同年10月にペンシルベニア州で行われた集会では「『あいつを収監すべし』というのは正しい」と述べたそうだ。

 

カリフォルニア州での演説では……

さらに、2016年6月にカリフォルニア州で演説した際には、「いいですか、ヒラリー・クリントンは刑務所に行くべきです。あいつは刑務所送りです」と述べたという。

大統領就任後は鳴りを潜める

しかし、CNN放送いわく、2016年の選挙戦を制してからはトランプ氏もこのスローガンを控えるようになったようだ。ただし、2020年の米大統領選に出馬すると、ふたたび同じスローガンを蒸し返したとのこと。

2020年の米大統領選では……

実際、2020年1月にオハイオ州で行われた選挙集会では、「あいつは収監されなくてはならない、ということです」と発言しており、『Fox & Friends』のインタビューで語った内容とは食い違っているのだ。

 

 

保守系コメンテーターとの議論

また、『ローリング・ストーン』誌によれば、トランプ前大統領は2023年8月に保守系コメンテーターのグレン・ベック氏と議論した際に、ふたたびこの話題について語ったそうだ。ベック氏はトランプ前大統領に「『あいつを収監』しなかったことを後悔していますか? 再び大統領になったら、(反対派の)人々を収監しますか?」と質問。

 

「やつらも同じことをしている」

すると、トランプ氏は「選択の余地はありませんね、やつらも同じことをしているんですから」と返答したという。今年11月に行われる米大統領選でトランプ氏が返り咲きを果たした場合、この主張が実行に移される可能性もないとは言えないだろう。

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