糖尿病と診断されたら疑ってみよう:「超加工食品」に潜むリスクとは
2型糖尿病と診断されたら、健康的な食事を摂るだけでなく、「超加工食品」と呼ばれるものにも気をつけないといけないかもしれない。イタリアで行われた、糖尿病患者の食事と死亡率を調査した新しい研究がそのような結果を示唆している。
アメリカの総合病院マイヨー・クリニックによると、2型糖尿病とは、体が血糖値をうまくコントロールできなくなってしまうことに起因する疾患だ。血糖値が高い状態が続くと、循環器や神経、免疫システムなどに幅広く悪影響が及んでしまう。
いまのところ根本的な治療法はないが、同クリニックによると、体重を減らしたり健康的な食生活を送ることでコントロールは可能だという。だが、ヘルシーな食品を食べるだけでは以前考えられていたほどの効果が上がらない可能性が指摘されており、悪影響がある食品を避けることも同じくらい重要かもしれない。
研究者らが指摘するのは、2型糖尿病患者に対して「超加工食品」が及ぼす悪影響だ。このことが科学的に指摘されたのは初めてで、「超加工食品」を摂取していると、たとえ健康的な食生活を送っていたとしても死亡率に悪影響がみられたという。
超加工食品とは、一般家庭のキッチンにはないような原料を用いて多大な加工を経た食品のことで、香料や着色料、保存料などの添加物が用いられている食品が代表例だ。
具体例として挙げられているのはスナック菓子やソフトドリンクだ。また、クラッカーやフルーツ味のヨーグルト、朝食用シリアルなどのヘルシーと思われがちな食品も含まれる。
この論文の筆頭著者マリアラウラ・ボナッチョはイタリアの研究機関「IRCCS neuromed」で疫学を研究している。今回の研究のプレスリリースによると、この発見は糖尿病患者にとって憂慮すべきものなのだという。
「モリサニ研究」(IRCCSが過去に行った大規模な調査。地中海式の食生活の有効性を示した)の対象者を追跡調査した結果、ボナッチョらは、「超加工食品」を多く食べている患者は死亡率が高いことを発見したという。
ボナッチョはこう述べている:「超加工食品を多く消費しているとした参加者は、そうではない参加者と比べるとさまざまな原因により60パーセントも高い死亡率になっていました」さらに、心血管系の既往症がある場合、死亡率はさらに高かったという。
ボナッチョはプレスリリースでこう述べている:「糖尿病患者の死因として一般的な、心血管系の疾患による死亡率は倍以上でした」
共著者のリチア・ラコヴィエッロによると、今回の研究の重要な点は、糖尿病患者が地中海式の食生活を守っていた場合でも、超加工食品を食べていた場合、同様に死亡率が上昇していたことだという。
ラコヴィエッロによると、2型糖尿病患者に対して地中海式の食事を勧めるのは、その患者が超加工食品を摂取していた場合は以前考えられていたほどの効果はない可能性があるという。
同じく論文の共著者のジョヴァンニ・デ・ガエターノによると、今回の発見は糖尿病患者に対する食事ガイドラインを変える重要なものになるという。これからは、健康的な食事を勧めるとともに、超加工食品の摂取を減らすことも指示する必要があるということだ。
デ・ガエターノはこう述べる:「これからの食事ガイドラインでは、既知の栄養学的な基準を満たす食事を続けるとともに、超加工食品の摂取をできるだけ減らすよう提案する必要があります」
デ・ガエターノはこう続けている:「こういった観点から、食品の成分表示には加工の程度を表示するべきです。これは糖尿病患者だけの問題ではありません」
プレスリリースによると、モリサニ研究とは2005年に始まった研究で、イタリアのモリーゼ州で25,000人の参加者を対象に、癌や心血管系疾患、変性疾患(アルツハイマー病など)の原因を調査した研究だ。
ボナッチョは医療ニュースサイト『Healthline』にこう述べる:「超加工食品の摂取が及ぼす影響の大きさにはわれわれも驚いています。これは大変な数字です」