元日の能登半島を襲った震度7の揺れ
日本時間1月1日午後4時10分、石川県全域で震度7の強い地震が発生。震源は輪島市から30キロメートル付近とされ、能登半島の各地で道路陥没や倒木により通行が困難になっている。市街地では強い揺れにより多くの建物が倒壊し、いまだ閉じ込められている人がいる模様だ。
この地震により石川県の輪島港で1メートル20センチを超える津波を観測したと気象庁が発表。大津波警報が1月1日午後8時半まで発令されたほか、津波警報は1月2日午前10時まで続いた。石川県で震度7を観測したのは初めてであり、大津波警報が発表されたのは2011年3月の東日本大震災以来となる。
石川県によれば、1月7日の時点で県内の死者数は、128人に上っている。輪島市では大規模な火災が発生して約200棟が全焼したほか、輪島塗大手が所有する5階建てビルが横倒しになったと北國新聞が伝えている。
北陸電力によれば4日午後9時の時点で県内の停電は4万5,700戸に及んだ。さらに石川県内では16の市や町で断水が発生、井戸水を開放するなどの対策がとられている。日本海に面した能登半島では夜間に氷点下の冷え込みになることもあり、市民生活に大きな影響が出るおそれがある。
震度6強の揺れを観測した七尾市にある公立能登総合病院でも地震後に断水が続き、手術や透析ができず、県に給水車の支援を依頼したという。病院の担当者の女性は「地震がひっきりなしに続き、棚からものが落ちたり、水漏れで水浸しになったりしている。まずは手術ができるよう早急に水が必要」と語った。NHKが伝えている。
石川県では日本時間1月2日午後6時までに震度2以上の地震が129回観測された。また、地震の揺れは能登半島だけではなく全国に広がり、北海道から九州地方にかけて全国で震度6強~1が観測されたという。
政府は2日に非常災害対策本部を設置、岸田首相は初会合で「人的被害、建物崩壊、火災など非常に大規模な被害が確認されている」とし、「(自衛隊と警察・消防による)救助活動に全力を尽くす」とした。
原子力規制委員会は、石川県内にある北陸電力原子力発電所は停止中であり、異常は確認されていないと発表。また、震源地に近い新潟県内の柏崎刈羽原子力発電所、福井県の敦賀原子力発電所でも異常は確認されていないとしている。
地震は年末帰省や観光客の足も襲った。国土交通省によれば、震度6強を観測した能登空港(石川県輪島市)では滑走路に深さ約10センチ、長さ10メートル以上の亀裂が複数見つかり、少なくとも24日まで閉鎖する見通しとなっている。
同じく能登空港ターミナルビルでは天井の崩落や窓割れが多数発生。空港利用者や職員など約500人が空港駐車場のレンタカーや観光バス内に避難して夜を明かした。
地震発生直後から金沢-富山間では計4本の北陸新幹線が運行を停止。家族連れなど約1,400人が車内で一夜を過ごすこととなった。北國新聞デジタル版によれば、ある乗客の女性はあと10分で金沢市に着く時点で地震が発生し、そのまま12時間車内に閉じ込められたという。なお、1月2日午後に全線で運転が再開されている。
建物は震度7の本震に耐えても余震による倒壊の可能性があるため、気象庁は1週間は余震に警戒するよう呼びかけを行っている。地震被害を最小限に食い止めるべく、昼夜を徹した官民の努力が続けられている。