2022年に世界を駆けめぐった重大ニュースとは
世界的に大きな波乱に見舞われた2022年。政治の混乱、コロナ禍、急激なインフレから例のない戦争まで、各国の紙面を賑わせた話題を振り返ってみよう。
ハイチで独立記念式典が行われた1月1日、出席していた同国のアリエル・アンリ首相が武装集団の襲撃を受けた。しかし、アンリ首相はこの危地を切り抜けた。
1月2日、ワクチン未接種の妊婦が新型コロナウイルスとインフルエンザに同時感染したらしい、というニュースがイスラエルから報じられた。
シリコンバレーで血液検査を提供するベンチャー企業「セラノス」社を創設したエリザベス・ホームズ。しかし、1月3日に4件の詐欺容疑で有罪判決を受け、11年3ヵ月の禁固刑を言い渡された。
2月4日から20日にかけて開催された2022年冬季オリンピック。開催国、中国の人権問題や外交摩擦、貧富の格差に対する抗議などが、試合に影を落とすこととなった。
2月17日、米国の女子プロバスケットボール選手、ブリトニー・グライナーが、手荷物に違法薬物を忍ばせていたとしてモスクワ近郊の空港で身柄を拘束された。
2月24日、ロシア軍がウクライナに侵攻を開始。すでに犠牲者数は十万人規模と見られているほか、ここ最近では最大の難民危機をもたらした。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は2月3日、アメリカ政府が持ち掛けた亡命の提案を拒絶。断固戦う姿勢を見せてウクライナ国民に団結を呼びかけたほか、各国に武器の援助を要請した。
2月24日にウクライナ侵攻が始まると、ロシア国内でも各地で反戦デモが広がった。しかし、当局は参加者数千人を逮捕してこれを弾圧。
ウクライナ侵攻を受けて危機感を強める西側諸国は3月3日、 プーチン政権を対象に、非常に厳しい制裁措置を発動した。
3月23日、米国史上初の女性国務長官、マデレーン・オルブライトがガンで死去。享年84。クリントン政権で4年間、同職を務め当時の政府内で女性トップの地位にあった。
米国上院は4月7日、最高裁判所判事としては史上初となる黒人女性のケタンジ・ブラウン・ジャクソン判事を任命。この人事案は53対47の賛成多数で可決された。
4月14日、ロシア黒海艦隊の旗艦「モスクワ」がウクライナ軍のミサイル攻撃を受け撃沈。ロシア軍の威厳に大きな傷が付くこととなった。
4月18日、米国は連邦レベルでのマスク着用義務を解除。欧州各国でも同様の政策がとられたほか、中国も従来のゼロコロナ政策を転換しつつある。
長年にわたって中立を保ってきたフィンランドとスウェーデンだが、ロシアによるウクライナ侵攻を受け方針転換。それぞれ、5月15日と16日にNATOへの加盟申請を発表した。
ウクライナのアゾフ大隊が守備するマリウポリでは3ヵ月に及ぶ攻防が繰り広げられたが、5月18日にロシア軍の手に陥落した。『ポリティコ』誌によれば、包囲作戦によって民間人2万1,000人あまりが犠牲になったとされる。
5月24日、テキサス州ユバルデ郡にあるロブ小学校で銃乱射事件が発生。児童19人と教師2人が犠牲となった。
コロナ禍も終息しつつあった5月19日、世界保健機関(WHO)が「サル痘」の発生を発表。少なくとも20ヵ国で200あまりの症例が確認されたという。
6月2日、トルコの外務大臣は国連に対し、同国の国名表記を従来の「Turkey」から「Turkiye」に変更するよう要請、承認された。
一連のスキャンダルによって所属政党の保守党内からも党首不信任の声が挙がり、結局、6月7日に辞任を余儀なくされた。
6月14日から10月末まで、長期にわたって洪水に悩まされたパキスタン。犠牲者1,793人を出したほか、経済的損害も数百億ドル規模に上った。
性犯罪における一大スキャンダルとなったエプスタイン事件。主犯格のジェフリー・エプスタインに少女たちをあっせんしていたとして、ギレーヌ・マクスウェルにも禁固20年が言い渡された。
7月初め以降には記録的な猛暑が世界各地を襲い、多くの人々が犠牲になった。『ガーディアン』紙によれば、西ヨーロッパでは死者数が2万人あまりに上ったというが、これは近年深刻化する温暖化の影響と見られている。
7月8日、日本の憲政史上で最長の在職日数を誇った安倍晋三元首相が、選挙演説中に銃撃を受け死去。
FBIは8月8日、ドナルド・トランプ元大統領がマー・ア・ラゴに所有する邸宅を捜査。トランプ元大統領は、在職中にホワイトハウスから機密文書を違法に持ち出したとされている。
8月17日、米国下院のナンシー・ペロシ議長(当時)が台湾を訪問。中国の習近平政権と米国の間で一気に緊張が高まった。
8月30日、ソビエト連邦最後の指導者、ミハイル・ゴルバチョフ元大統領が91歳で死去。在職中にはソ連の近代化を図ったものの、体制崩壊を阻止することはできなかった。
開戦以来、数ヵ月にわたり防戦を強いられてきたウクライナ軍だが、 9月6日に大規模な反転攻勢を開始。これによってロシア軍の前線を突破し、ハルキウ州の大部分を奪還した。
9月6日に行われた保守党の党首選挙でリシ・スナク候補を破り、リズ・トラスが新首相に就任。しかし、金融政策の大失敗で辞任に追い込まれ、政権は6週間しか続かなかった。
9月8日、英王室は70年あまりにわたって女王の座にあったエリザベス2世が、バルモラル城でこの世を去ったと発表。英国王の地位は長男が継承し、国王チャールズ3世が誕生した。
ロシア軍がウクライナ各地で手痛い反撃を受けたことを受け、ウラジーミル・プーチン露大統領は9月21日に30万人規模の部分的動員を発表。その結果、数十万人のロシア市民が隣国へ脱出することに。
ロシア当局は9月23日から27日にかけて、ヘルソン州・ザポリージャ州・ドネツク州・ルハーンシク州の4地域で住民投票を実施。この結果を受けて、同地域をロシア連邦に併合すると宣言したが国際的には認められていない。
ブルキナファソでは9月30日、イブラヒム・トラオレ大尉がポール=アンリ・サンダオゴ・ダミバ暫定大統領ではイスラム武装勢力に対処できていないとしてクーデターを決行。自ら暫定大統領の地位に就いた。
9月16日、道徳警察によって身柄を拘束されていたマフサ・アミニ(22歳)が不審死を遂げると、女性の権利や現体制のありかたをめぐって大規模な抗議デモがイラン各地に広がった。
10月10日、プーチン露大統領の署名によって、ウクライナ領の4地域を正式にロシア連邦に併合するための手続きが完了した。もちろん、国際的な承認は得られていない。
10月26日、リシ・スナクが第57代英国首相に就任。インド系英国人が首相の地位に就くのは同国初だ。
Twitter買収に乗り出したかと思えば中止に動くなど迷走するイーロン・マスクだったが、最終的に買収額440億ドルで決着。10月28日に同社の経営権を握った。
ドニエプル川の右岸に展開していたロシア軍は、数ヵ月にわたる補給不足に悩まされた挙句、11月9日に左岸への撤退を余儀なくされた。これによって、開戦以来ロシア軍が占領した地域の50%が、ウクライナ側に奪還されたと見られている。
11月18日、北朝鮮は新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)数発を発射。米国本土を射程圏内に収めたことを誇示した。
11月15日、世界人口はついに80億人を突破。
11月20日から12月18日までカタールで開催されたFIFAワールドカップ2022。移民労働者の待遇やLGBTQ+の権利に関する抗議が試合にも影を落とすこととなったが、最終的にアルゼンチンが1986年以来となる優勝を手にした。
コロナ禍に加え、ウクライナ侵攻の影響で発生したサプライチェーンの混乱が相まって、1970~1980年代以来となる最悪のインフレを記録することとなった。