画像で追うエリザベス2世の葬儀
2022年9月19日、エリザベス2世の葬儀が厳かに執り行われた。棺はウィンザー城内の礼拝堂に埋葬され、大勢の人々が類まれなる君主の死を悼み、生前の事績を偲んだ。
1952年から2022年9月8日に 96歳でこの世を去るまで、実に70年間にわたって英女王の座に君臨し続けたエリザベス2世。英国史上最も在位期間の長い君主だ。エリザベス2世には4人の子供、8人の孫、10人のひ孫がいる。
埋葬までの5日間、何千人もの人々が長蛇の列を作り、女王陛下に最後の別れを告げる順番を待った。9月19日の午前6時30分頃には、最後の一人がようやくウェストミンスター・ホールに安置されたエリザベス2世の棺に辿り着き、敬意を表することができた。
女王の棺は月曜日の早朝に最後の旅路につくこととなった。その時まで市民の弔問を受けるために開かれていたウェストミンスター・ホールの扉は午前6時30分に閉じられた。
女王の葬列を先導するのは近衛兵、王立空軍およびウェストミンスター寺院のヨーマン・オブ・ザ・ガードだ。
同じころ、各国の代表が女王の葬儀に参列するためウェストミンスター寺院に到着。写真は手を携えて寺院に向かうジョー・バイデン米大統領とジル・バイデン夫人。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領とブリジット・マクロン夫人も到着。
写真は左からスペインのレティシア王妃、スペイン国王フェリペ6世、ヨルダンのラーニア王妃、ヨルダン国王アブドッラー2世。
カナダのジャスティン・トルドー首相とソフィー・グレゴワール夫人も、英連邦諸国の指導者たちともに参列。
もちろん、リズ・トラス英首相も参列した。女王がこの世を去るわずか2日前に面会し、正式に首相に就任したばかりだった。
午前10時35分、グレナディア近衛連隊が女王の棺を担ぎ上げ、砲車まで運んだ。この砲車はヴィクトリア女王の葬儀以来、代々君主の棺を運ぶために用いられている。
棺を載せた砲車が142名の水兵に牽引され、ウェストミンスター寺院に向けて出発すると、王室メンバーも徒歩でこれに続いた。
この葬列には、新国王チャールズ3世、ヨーク公爵アンドルー王子、アン王女、ウェセックス伯爵エドワード王子、ウェールズ公ウィリアム、サセックス公爵ヘンリー王子、ピーター・フィリップス、ティモシー・ローレンス副提督、グロスター公爵リチャード王子、スノードン伯爵の姿があった。
写真はウェストミンスター寺院で祖母、エリザベス2世の国葬に参列するウィリアム王子とヘンリー王子。
新国王チャールズ3世とアン王女も沈痛な面持ちを浮かべていた。
ウェストミンスター寺院で女王の葬儀が始まったころ、ロンドン中心部のザ・マル通りには大勢の人々が集まり、沈黙を守っていた。
厳かな雰囲気の中、人々は視線を落として立ち尽くし、国葬の様子を伝えるラジオ放送に耳を傾けていた。
午前11時前、エリザベス2世の棺を載せた砲車がウェストミンスター寺院の西門に到着。
そして、亡き女王の棺はウェストミンスター寺院内に安置された。
エリザベス2世の棺がウェストミンスター寺院に入ると、ウェールズ公妃キャサリン、ジョージ王子、シャーロット王女、メーガン妃、ケント公爵エドワード王子とマイケル・オブ・ケント王子、カミラ王妃、ウェセックス伯爵夫人ソフィーが続いた。
午前11時に始まった女王の葬儀には2,000人近い参列者が集まった。斎場となったウェストミンスター寺院では1947年にエリザベス2世とフィリップ王配の結婚式が、1953年には女王の戴冠式が執り行われている。
ウェールズ公ウィリアムをはじめ、英王室メンバーは目に涙を浮かべていた。
女王の葬儀は、ウェストミンスター寺院に集まった参列者が歌う讃美歌で幕を開けた。
続いて、パトリシア・スコットランド英連邦事務総長が祈祷書を読み上げ、その後、トラス首相がヨハネ福音書の一節を朗読。
さらに、カンタベリー大主教を務めるジャスティン・ウェルビーが説教を行った。
この中でウェルビー大主教は次のように述べている:「よく知られている通り、女王陛下は21歳の誕生日の演説で人生すべてを英国と英連邦のために捧げると宣言されました。このような誓約が守られることは滅多にありませんが、女王陛下はこれを果たされました。これほど人々に愛される指導者は稀です」
午前11時55分、ウェストミンスター寺院ではラッパが鳴り響き、2分間の黙祷が捧げられた。
エリザベス2世は生前、専属のバグパイプ奏者ポール・バーンズの奏でる音色で毎朝起床していた。そして、葬儀は彼の演奏する伝統の曲「Sleep, dearie, sleep」で締めくくられることとなった。
葬儀が終わると棺を運ぶ葬列はウェストミンスター寺院を出発し、ウェリントン・アーチを目指す。
写真はエリザベス2世の葬列を見送るメーガン妃、カミラ王妃、ジョージ王子、ウェールズ公妃キャサリン、シャーロット王女。幼いひ孫たちも沈痛な面持ちで最後の別れを惜しんでいる。
ウェリントン・アーチに向かう葬列は王立カナダ騎馬警察が先導。ジョージ・クロス協会、英連邦軍、英国軍が続いた。
ロイヤルファイリーを率いてエリザベス2世の棺の後を歩く新国王チャールズ3世とカミラ王妃。
コールドストリームガーズも葬列に付き従い、ザ・マル通りを行進した。
葬列はバッキンガム宮殿前を通過。
その後、ウェリントン・アーチに到着した。
そこで女王の棺は霊柩車に移され、ウィンザー城へと向かう。
王室のメンバーたちは、女王の棺がゆっくりと霊柩車に移されるのを見守った。
霊柩車がウェリントン・アーチを出発すると集まっていた人々は一斉に拍手を贈り、通りに花を投げ込んだ。
ウィンザー城へ向かう通りの両側には大勢の人々が押し寄せ、拍手や花で亡き女王との別れを惜しんだ。棺を載せた霊柩車は35キロメートルあまりを進み、ロングウォークに近づいたところで減速。バグパイプの演奏を合図に再び葬列が行進を始めた。
人々が投げ込んだ花に覆われた道を行く霊柩車と、それを追う亡き女王の子供や孫たち。王室騎兵隊と王室スタッフも同行した。葬列が聖ジョージ礼拝堂に向かってロングウォークを進むのに合わせ、バグパイプとドラムの厳かな音色が辺りを包む。
聖ジョージ礼拝堂の西階段に葬列が到着するとウィンザー城は一段と荘厳な趣を見せ、バグパイプの音色だけが響き渡った。
棺は霊柩車から担ぎ降ろされ、階段に居並ぶ王室スタッフに見守られながら礼拝堂に入る。すると鐘が打ち鳴らされ、女王が永眠の地に到着したことを報せた。
女王の棺が礼拝堂の階段を登ってゆくのを入り口で見送る王室メンバーたち。その後、およそ800名の参列者が待つ会衆席へと向かった。葬列が礼拝堂に入るのに合わせて聖歌隊も歌いだす。
通路は礼拝堂の上部に繋がっており、そこではレディ・ルイーズや弟のセヴァーン子爵ジェームズ、ベアトリス王女と夫エドアルドをはじめとする王室メンバーが待ち受けていた。スウェーデン国王(写真)など、ヨーロッパ王家の面々の姿もある。
豪華な装飾が施された女王の棺がチャペルの通路に安置されたのを見届けると、国王チャールズ3世とカミラ王妃は席を目指した。
埋葬式を取り仕切るウィンザー司教は、演説の中で「女王の長い人生は私たちにとって大いなる祝福でした」と回想。続いて、ジョージ王子やシャーロット王女(写真)を含む参列者たちが「All My Hope on God is Founded」を厳かに歌い上げた。
朗読と賛美歌が済むと、棺の上に置かれていた王笏と宝珠が下げられる。続いて、エリザベス2世が戴冠式以来、身に着けていた大英帝国王冠も祭壇へと移された。
バグパイプの音色ともに棺が遠ざかると会衆は亡き女王に最後の別れを告げ、カンタベリー大主教が祝福を与える。続いて、心を打たれた様子を見せる新国王チャールズ3世に国歌「God Save the King」が捧げられた。
チャールズ3世はエリザベス2世の逝去をもって国王に即位しているが、戴冠式が行われるのは来年の春または夏になると予想されている。まずは亡き女王の邸宅の一つに移り、今後の英王室を担ってゆくこととなるだろう。