古代エジプトの遺跡で紀元前6世紀の天文台が発見される
最近、エジプトで新たに発掘された遺跡によって、古代エジプトの天文学に関する知見が一変することになるかもしれない。
2024年8月、エジプト観光・考古省はテル・エル=ファライン(カフル・アッシャイフ県)にあるブト遺跡の発掘現場から、紀元前6世紀の天文台が発見されたと発表した。
画像:Facebook @tourismandantiq
『スミソニアン』誌によれば、この天文台は古代エジプトの遺跡から発見されたものとしては最大かつ最古。建材は泥レンガで、長さ3キロメートルにわたって建てられていたとのこと。
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エジプト観光・考古省の考古最高評議会が実施した分析によれば、この天文台は星や太陽の動きを追うために用いられていたようだ。また、発掘現場からは宗教に関する出土品も多数見つかったとのこと。
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『ニューズウィーク』誌によれば、「この建物は太陽が昇る東側に面した入口、柱はあるが天井のない中央ホール、内側に向かってカーブしたレンガの壁によって構成されている」そうだ。
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同誌いわく:「この天文台からは石の日時計も出土した。これは『傾斜型日時計』と呼ばれるもので、古代においては時刻を計るためのもっとも重要な道具のひとつだったと考えられている」
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この日時計はおよそ5メートルの石灰岩の板でできており、その上に石灰岩のブロックが5つ設置された構造になっている。これらのブロックのうち3つは板に対して垂直に、残りの2つは水平に置かれていた。
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さらに、太陽の高度を測るために用いられたと見られる石のブロックをはじめ、古代エジプトの天文学者たちが天体観測に使用した器具らしきものが数多く出土している。
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ブト遺跡の発掘にあたった調査団を率いるホッサム・ゴニム氏いわく:「今回なされた発見はどれも、私たちの予想を覆すものでした」
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同氏はさらに「ホールの北側で石の傾斜型日時計を発見しました。これは太陽がつくる影の角度が変化することを利用して、日の出、正午、日の入りの時刻を定めることができる日時計です。シンプルですが、奥深い方法です」とした。
画像:Wiki Commons By Original Artist Unknown, Scanned from the book Ancient Egypt, Public Domain
一方、自然科学専門のウェブサイト「Live Science」によれば、この天文台は、古代エジプト人たちが太陽暦を定め、社会的に重要なイベントの日取りを決定するために、どのような技術を用いていたのか探る上でカギとなるものだそうだ。
つまり、ファラオの戴冠式をはじめとする宗教儀式や公式行事の日取りから、日常的な農作業の日程に至るまで、あらゆるスケジュールがこの日時計によってきめられていた可能性があるのだ。
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『ニューズウィーク』誌は古代エジプト人について、当時としては先進的な天文学の知識を持っていたと指摘。彼らは夜空に浮かぶ星を網羅して星座を考案し、天体の動きを追っていたのだ。また、1年を365日とする考え方も生み出している。
前出のゴニム氏にいわく:「古代エジプト人は地球と天空を2枚のシートだと考えていました。つまり、天空のシート『Themet Hrt』に星空が対応し、地球のシート『Themet Ghrt』にはナイル川の氾濫や収穫といった地上の出来事が書き込まれるわけです」
画像:Wiki Commons By Charles Wilkinson, CC0
ゴニム氏によれば、「この種の碑文が刻まれた石板は今回、初めて発見されました」とのこと。しかし、ブト遺跡から出土したのは天文学に関する遺物だけではない。
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今回の発掘現場からは天空の神ホルスの像や陶器、宝飾品なども出土しており、天文台で働いていた人々が日常生活や宗教儀式の中で使っていたのではないかと考えれている。
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