二酸化炭素の排出量ランキング:ワースト国家1位から10位はどこ?
「グローバル・カーボン・アトラス」とは「グローバル・カーボン・プロジェクト」という国際研究ネットワークが実施するプロジェクトであり、世界の温室効果ガス排出量を調査している。
研究者たちは、2022年のデータをもとに、世界で最も多くCO2を排出する国を発表した。そのワースト10か国を見てみよう。
アジア最大の経済国のひとつである韓国は、2022年に6億100万トンの二酸化炭素を排出した。2022年の韓国の人口は5,167万人なので、一人当たり12トンの排出量である。
ロイター通信によると、韓国は世界で最も化石燃料に依存している国の一つだという。韓国はこれまで海外における石炭火力発電プロジェクトに関与し、公的資金を投じてきたが、そのような金融支援の停止を2021年に宣言している。
世界最大級の産油国であるサウジアラビアは、6億6,300万トンの二酸化炭素を排出した。一人当たり18トン。
サウジアラビアでは、大気汚染から石油の流出事故、過剰なエネルギー消費にいたるまで、石油産業がさまざまな問題を起こしている。森林破壊と国土の砂漠化も深刻だ。
ドイツは、EU諸国で最高となる6億6,600万トンのCO2を排出した。一人当たり8.0トン。
ただ、ドイツでは環境に対する意識が高い。環境保護政党「緑の党」が連邦議会の第3党となっている。
イランは6億9,100万トンの二酸化炭素を排出した。一人当たり7.8トン。
中東の衛星テレビ局「アルジャジーラ」によれば、イランは気候変動問題に関する国際的枠組み「パリ協定」に基づく削減目標を策定していない数少ない国のひとつだという。同国の指導者たちは気候変動にさしたる関心を払っていないようだ。
インドネシアは2022年に7億2,900万トンの二酸化炭素を排出した。一人当たり2.3トン。
ロイター通信によると、インドネシア政府は積極的な脱炭素政策を打ち出している。しかし、専門家たちは同国が目標を達成するのは難しいとみている。
日本における2022年のCO2排出量は推定で10億540万トン。一人当たり8.5トンの排出だ。
日本のエネルギー自給率は11%程度であり、海外から輸入する石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料に大きく頼っている。日本の一次エネルギー供給構成に占める原子力の割合は、東日本大震災前の2010年度には11.2%だったが、2022年度の速報値では2.6%となっている。
ロシアは16億5,200万トンの二酸化炭素を排出した。一人当たり11トン。
ロシアによるウクライナ侵攻は2022年2月に始まったが、その後ロシア国内では、パリ協定からの離脱を求める意見があったという。しかし、三井物産戦略研究室のリポートによると(2022年12月)、「ロシア政府はパリ協定から離脱しない方針を堅持」している。
二酸化炭素排出量世界第3位のインドは、28億3,000万トンを排出した。一人当たり1.8トン。
米国エネルギー情報局によると、インドは世界第2位の石炭消費国という。
アメリカの二酸化炭素排出量は50億5,700万トン。主に工業や運輸業、そして発電による排出だという。一人当たり年間15トンの排出である。
米国は石炭消費量を削減してきたが、なおも強く原油に依存している。
中国の人口は約14億人であり、2022年には113億9,700万トンの二酸化炭素を排出した。一人当たり8.0トン。
中国の排出量は年を追うごとに上昇している。とくに石炭による二酸化炭素排出が82億5,100万トンと最も多く、同国の総排出量のかなりの部分を占めている。