リサイクルしても地球に害を及ぼすプラスチック製品
最近の研究により、プラスチック廃棄物のリサイクルは環境に良い影響を与えるどころか、害を及ぼす可能性があることがわかった。リサイクル習慣に起因する意外な問題点をみてみよう。
プラスチック業界はつねにネガティブなイメージを抱えてきた。プラスチックは環境に悪影響をもたらすものであり、そのためリサイクルは重要だと考えられている。
しかし、最新のリサイクルセンターにおけるプラスチック廃棄物処理の現状をよく見れば、リサイクルすることは手近なゴミ箱に捨てるのと同じくらいリスクがあるようだ。
最近の研究によれば、プラスチックをリサイクルする過程で膨大な量のマイクロプラスチック(直径5mm未満の粒子)が生成され、環境に大きなダメージを与える可能性があることがわかってきた。
リサイクルプロセスとマイクロプラスチックの関係を明らかにするこの研究は、イギリスのあるリサイクル施設を対象に行われた。
この施設ではプラスチック廃棄物は分類され、粉砕と溶解を経て、リサイクルされる。全過程を通じて何度か洗浄が行われるが、そのときにマイクロプラスチックが混じった排水が大量に出ることが分かったのだ。
この研究結果をリポートし、プラスチックのリサイクルがもたらす結果について分析した『ワイアード』誌のジャーナリスト、マット・サイモンは、「マイクロプラスチックの数は天文学的な数字でした」としている。
同氏はこう続けた:「フィルターを通した後でも、洗浄の各段階で排出された量を調べると1立方メートル(1000リットル)あたり最大750億個の粒子が含まれていました」
さらに、このマイクロプラスチックを含んだ排水は施設により、自治体の下水システムや自然環境に放出されている可能性があるとコメントした。
さらにリサイクルの過程で生成される粒子のほとんどは、1000万分の1モルより小さいことが判明し、この研究の著者たちは、「環境に影響を及ぼす 」としている。
本研究では現在のリサイクルプロセスが環境汚染の要因のひとつとなる可能性があると指摘する一方、さらなる研究が必要だとしている。
主任研究員であるエリナ・ブラウンはジャーナリストのサイモンにこう説明している:「リサイクルはむしろ逆効果とも思えます......環境を守るためにプラスチックのリサイクルをしているのに、結局は別の、より深刻な問題を引き起こしている可能性があります」
幸いなことにブラウンたちは、リサイクル支持者にとって悪いニュースだけをもたらした訳ではない。ジャーナリストのサイモンは、研究により、リサイクル施設のフィルター導入が大きな違いを生み出すことが判明したとしている。
同ジャーナリストによれば、フィルターがなければ、調査対象となったリサイクル施設では年間約3000トン以上のマイクロプラスチックを排水していたところ、フィルターにより年間約1360トンまで削減することができたという。
ブラウンはサイモンにこう語った:「フィルターの導入は、間違いなく大きな効果をもたらしました......40マイクロメートルを超える粒子の除去効率が特に高いことがわかりました」
それでも、1つのリサイクル施設から大量のマイクロプラスチックが生成されていることが判明した。リサイクル施設内に浮遊したマイクロプラスチックを従業員たちが吸い込んでしまう問題もあるだろう。私たちの生活からプラスチックを取り除くことが、この深刻化する問題の根本的な解決の鍵となるのかもしれない。