地球をとりまく謎の電場が実測される:NASAの報告

地球をとりまく電場
大気圏の外側250キロメートル
電荷をもつ粒子に作用
地球の大気を保つ役割
なぜ、地球の大気はなくならないのか?
リーダーはNASAの研究員
謎に包まれた「極風」
超音速で飛ぶ粒子の流れ
観測技術の進歩
宇宙船「エンデュランス」
0.55ボルトの電位差
極風が生じる仕組みを説明可能
両極性電場
大気のバランスを保つ働き
同様の両極性電場は他の惑星にも存在する
惑星の形成過程
地球をとりまく電場

このほどNASAの研究グループにより、地球のまわりにはこれまで知られていなかった電場が存在することが明らかになった。

 

大気圏の外側250キロメートル

CNN放送によれば、この電場は大気圏の外側およそ250キロメートルの位置にあり、地球の周囲で発生する天文現象を理解する上で重要な意味を持つという。

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電荷をもつ粒子に作用

この電場は正負の極性をもっており、電子やイオンなど電荷をもつ粒子に作用する。

地球の大気を保つ役割

研究者たちはこの電場について、地球が大気を保つ上で重要な役割を果たしているものと見ている。

なぜ、地球の大気はなくならないのか?

地球には電場以外にも重力場と磁場があり、前者は大気を地球に繋ぎ止め、後者は大気が太陽風によって吹き飛ばされないよう防ぐ役割を果たしている。

 

リーダーはNASAの研究員

ドイチェ・ヴェレ放送によれば、この研究を率いたのはNASAゴダード宇宙飛行センターに所属するグリン・コリンソン博士で、その成果はサイエンス誌『ネイチャー』に掲載されたという。

謎に包まれた「極風」

地球の南北極からイオンが流出する現象は以前から知られており、「極風(Polar wind)」と呼ばれていたが、そのメカニズムは謎に包まれていた。

 

超音速で飛ぶ粒子の流れ

コリンソン博士はBBC放送に対し、「宇宙船は南北極の上空を飛行するたびに、超音速で飛ぶ粒子の流れの影響を受けていました」と説明。

 

観測技術の進歩

同博士はさらに「けれども、以前は(観測に)必要な技術がなかったため、これを実測することはできませんでした」と付け加えた。

宇宙船「エンデュランス」

しかし、2022年5月にノルウェー領スヴールバル諸島から宇宙船「エンデュランス」が打ち上げられ、計器を利用した観測が可能となったのだ。

 

 

0.55ボルトの電位差

その結果、極風の付近で0.55ボルトの電位差が観測されることとなった。

 

極風が生じる仕組みを説明可能

0.55ボルトというと非常に小さいように思えるかもしれないが、コリンソン博士いわく「極風の流出をちょうど説明することができる大きさ」とのこと。

 

両極性電場

ドイチェ・ヴェレ放送によれば、この電場は正負の極性をもつため、両極性電場と呼ばれているという。そもそも、地球の付近を漂うイオンは比較的重いため地球に引き込まれやすが、軽い電子は宇宙空間に飛散する傾向にある。

大気のバランスを保つ働き

しかし、コリンソン博士によれば、両極性電場が「天を持ち上げる」ような働きをするため、大気のバランスが保たれるのだという。

同様の両極性電場は他の惑星にも存在する

同博士はさらに、地球以外の惑星であっても大気があるならば、同様の両極性電場を持っているはずだとした。

惑星の形成過程

コリンソン博士いわく:「ようやく実測されたことで、(両極性電場が)地球をはじめとする惑星の形成に、どのような形で寄与したのか研究できるようになりました」

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