塹壕を掘っていたロシア軍、「牛の埋葬地」にあたり細菌感染症が拡大
ウクライナのザポリージャ州メリトポリ市長によれば、ウクライナ南部で新たな防衛線を構築していたロシア兵の一団が思わぬものを掘り当ててしまったようだ。
2023年4月、新たな塹壕を掘るよう命じられたロシア兵たちのうち2人が炭疽菌に感染し、病院に運ばれた模様。後になって、掘削現場は牛の埋葬地だったことが発覚したという。
亡命中のメリトポリ市長、イヴァン・フェドロフはTelegramチャンネル上で詳細に状況を説明、「これはホラー映画のエピソードではありません」と述べた。
伝えられるところによれば、この2人はロスヴォイスク出身で、炭疽症の診断が下ると病院からどこかへ連れ去られたという。
フェドロフ市長は牛の埋葬地に塹壕を掘っていたロシア軍部隊は現在隔離中だと説明、ウクライナの大地までがロシア軍を追い出そうとしていると皮肉気味にコメントした。
フェドロフ市長はさらに「彼らがハッピーエンドを迎えることは絶対にないだろう」と述べ、悲惨な戦闘が続く現地の状況を強調した。
『テレグラフ』紙のジョー・バーンズ記者は、ザポリージャ州で新たに防御塹壕を掘っている部隊は、近々実行されると見られるウクライナ側の反撃に備えていた可能性が高いとしている。
アメリカ疾病管理予防センターによれば、炭疽症は重篤な細菌感染症の一種であり、通常は炭疽菌に感染した動物を介してのみ人間に伝染するとされる。
ジョー・バーンズ記者によれば、20世紀のソ連では畜産が原因で炭疽症が各地で風土病となっていたとされ、ロシア軍がこの病について無知だったはずはないという。
メイヨー・クリニックによれば、炭疽菌が人から人に感染することは稀だが、皮膚のただれや嘔吐を引き起すほか、重篤な場合には死に至るケースもあるのだ。
2022年3月にはニュースサイト「デイリー・ビースト」が、ロシア軍部隊がチェルノブイリの立入り禁止区域に防御塹壕を掘り、急性放射線障害に罹患したことを伝えている。
同サイトによれば、ロシア軍部隊は放射能汚染の深刻な「赤い森」に塹壕を掘り、放射線障害の治療のためベラルーシのホメリに移送されたという。
同サイトは「このエリアは非常に有害であるとされ、専門知識を持つチェルノブイリの作業員でさえ立入り禁止となっている」と説明。
また、『ガーディアン』紙のジョー・バーソロミュー記者も、チェルノブイリで防御塹壕を掘っていたロシア軍部隊が高線量の放射線を浴び、健康被害に遭ったとしている。
ウクライナの国営電力会社エネルゴアトムは『ガーディアン』紙に対し、ロシア軍がチェルノブイリの立入り禁止区域内に塹壕を掘り、高線量被ばくに至ったと説明。
同社のコメント:「無論、占領軍は著しい量の放射線を浴び、初期症状が現れるとパニックに陥りました。しかも、放射線障害はただちに発症したのです」
同社は当時、ロシア軍が「立入り禁止区域内で最も汚染されたエリア」で掘削を行ったことで、多くのロシア兵たちが急激に放射線障害に陥ることになったと説明した。