増える熊による被害:熊の駆除に一頭5,000円の報奨金も

増える熊害
212人が被害にあう
記録開始以来最多の被害
感染症も問題となる
駆除に報奨金も
政府による対策
近づかないよう呼びかけ
一頭あたり5,000円の報奨金
経費も負担
政府による自治体支援策も拡充
緊急的な支援
なぜ増えたのか
食べ物が不足
出没の長期化も懸念される
気候変動も影響
総合的な対策が求められる
増える熊害

昨年は日本各地で熊による被害が相次いだ。こういった事態を受けて様々な対策が取られており、その一環として熊の駆除に奨励金を出すという制度も作られている。

212人が被害にあう

環境省の報告(暫定値、2023年11月末時点)によると2023年に熊による被害にあったのは212人で、うち6人が死亡している。

記録開始以来最多の被害

NHKによると、この被害件数は記録開始以来最多だという。

感染症も問題となる

熊による被害では直接的な負傷も当然問題だが、傷からの感染症が深刻化することも多く、死亡につながる場合もある。

駆除に報奨金も

冬眠直前の秋シーズンがもっとも被害が多くなると予想され、政府や自治体も警戒感を高めている。熊の駆除に報奨金を出すという制度もそういった流れでの新たな試みのひとつだ。

政府による対策

まず、政府が熊による被害の多い自治体(北海道、青森、岩手、秋田)に補助金を出し、熊の追跡や駆除を支援する。伊藤信太郎環境相が発表した。

近づかないよう呼びかけ

同時に、環境相は市民に熊を目撃しても近づかないよう求め、万一襲われた時のために熊撃退スプレーなどを携行するよう呼びかけている。

一頭あたり5,000円の報奨金

だが、秋田県の佐竹敬久知事はさらに積極的な駆除策を実施、熊一頭あたり5,000円の報奨金を出して地元猟師による駆除を推奨している。

経費も負担

さらに、秋田県では駆除にかかった諸経費も負担すると発表、かつてない支援策となっている。

政府による自治体支援策も拡充

熊による被害は前例を見ないレベルに達しつつあり、政府は更なる対策を検討し自治体を支援すると表明している。

緊急的な支援

伊藤環境相は「地域のニーズに応じた緊急的な支援、必要に応じて新たな制度創設も含めて検討する」と発言、補正予算による自治体の支援・補助の方針を示した。富山新聞が報じている。

なぜ増えたのか

熊による被害は急増しており、秋田県だけでも昨年の3倍にもなっている。いったいどうしてこれほど増えてしまったのだろうか。

食べ物が不足

専門家の間では、山間部で熊が主食とする木の実などが不足したせいで、冬眠に備えるための食べ物を求めて熊が人里まで降りてきているため被害が増加していると考えられている。

出没の長期化も懸念される

長岡技術科学大学で熊の研究をしている山本麻希准教授によると、熊は通常11月下旬には冬眠に入るが、十分な餌を確保できなければずっと寝ずに探し続けるのだという。さらに、今年は暖冬で雪も少ないため出没の長期化が懸念されている。新潟ニュースNSTが伝えている。

気候変動も影響

また、こういった変化には気候変動の影響も当然無視できない。北海道立総合研究機構で熊の研究をしている間野勉研究主幹によると、気候変動は「植物の開花時期や、花粉を伝播する昆虫の活動など、実がなるのに必要な現象に影響している可能性が高い」とされている。CNNが報じた。

総合的な対策が求められる

さいわい、冬も本番となり熊の冬眠シーズンに入りつつある。だが、今年は暖冬なため油断はできないし、春になれば冬眠明けの熊による被害が再び増える恐れもある。総合的な対策が課題だ。

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