女性のスタイルが気になってしまうのは男性だけではない?
男性の視線がつい女性の胸や脚に吸い寄せられるのは周知の事実だが、これは何も男性に限った話ではないらしい。
というのも、10年ほど前に行われた研究によって、女性も男性と同じくらい他の女性の身体つきを気にしていることがわかったのだ。
2014年に『Sex Roles』誌に掲載されたこの研究はネブラスカ大学リンカーン校のサラ・ジャーヴェイス博士とマイケル・ドッド博士が主導したものであり、人々の視線に備わった一般的な性質について実証的な知見をもたらすこととなった。
研究チームは大学生の男女にさまざまな体型の女性を写した画像を見せ、アイトラッキング(視線追跡)技術を利用して、視線の動きを調査した。その結果、興味深い事実が明らかになったのだ。
画像:Craig Chandler, University Communications, University of Nebraska-Lincoln
CBC放送によれば、この研究で対象となった大学生は女性29人と男性36人。一方、画像は女性10人分が用意されたが、実は、これらの画像には事前に加工が施されていた。
画像:ian dooley / Unsplash
対象者には同じ女性の画像が3回提示されたが、そのうち2回は身体の一部を強調した画像が用いられたのだ。
具体的には胸や腰、お尻といった部分に女性らしさを目立たせるような変形が加えられていた。対象者はこのような複数の画像を示された上で、そこに写っている女性の外見や性格を評価するよう指示されたという。
この研究のプレスリリースによれば、女性の対象者も多くの場合、画像に写っている女性の胸をはじめとする性的な部分に注目しはじめたとのこと。
ジャーヴェイス博士とドッド博士いわく、男性対象者の視線が一貫して女性の胸をはじめとする性的な部分に注目する一方で、女性対象者も画像に写っている女性をひとつの対象物として捉えており、視線の動きは男性とあまり変わらなかったそうだ。
しかし、ジャーヴェイス博士は、女性が男性と同じように他の女性の身体をモノ扱いしているという発見を前にしてもあまり驚かなかったという。
ジャーヴェイス博士いわく:「確かに、男性と女性ではわずかに(視線の)パターンが異なりました。しかし、どのくらいの時間、各部を見つめたかに注目すれば、両グループはまったく同じ傾向を示したのです。女性の場合、社会的な比較のためにこのような行動を取るのではないでしょうか」
画像:Sir Manuel on Unsplash
CBS放送は男性の視線が示すパターンについて、人類が祖先から受け継いだ性質ではないかとしている。つまり、グラマーな体型の女性は出産や子育てにおいて有利だったことの名残だというのだ。
ところで、先ほど男女の視線が示すパターンはよく似ていると述べたが、違いがまったくないわけではない。男性の場合、画像に写っている女性の顔と身体の両方に注目する傾向が見られたが、女性の対象者はより早く顔に注目する傾向が強かったのだ。
画像:Tibor Pápai on Unsplash
しかし、この研究のプレスリリースいわく、2013年以前に行われた先行研究によって、モノとして見られた女性は友好的、知的に見えなくなってしまうほか、道徳心が低いと見なされてしまうこともあるとされている。
ジャーヴェイス博士いわく:「これは(女性の)仕事のパフォーマンスを低下させかねません。女性が自ら沈黙する原因になってしまうほか、セクハラを受ける可能性も高まります。しかし、こういった悪影響を考える上で大切なのは、それがどのようにして引き起こされるのかを突き止めることです」
ジャーヴェイス博士とドッド博士はさらに、グラマーな体型の女性の方がそうでない女性よりも男性から好意的に見られること突き止めたという。しかし、これについては自己認識によって克服できるかもしれない。
ドッド博士いわく:「(女性を)対象化する際に、人々がどのように身体を注視しているかを突き止めることで、このような行動を減らす方法を探すことにもつながります。今回の研究における人格操作的な側面で行われたのはまさにこれであり、非常に良いことです」
ドッド博士はさらに、「他人の身体を見つめる必要はないし、それがデフォルトの行動である理由もありません。より適切で、無害な視覚行動をとるには、認知制御が必要なだけかもしれないのです」としている。