実の娘にセクハラコメントを重ねるトランプ元大統領……女性蔑視が政権運営能力を蝕む可能性も
トランプ元大統領といえば爆弾発言の常連。だが、今回、元側近が明かした娘のイヴァンカに関する発言はかなり衝撃的なものだった。
トランプ元大統領の発言を明かしたのはトランプ政権時代に国土安全保障省で要職についていた安全保障専門家マイルズ・テイラーだ。テイラーは以前からトランプ元大統領の女性蔑視について語っていたが、最近出版した本の中でも元大統領が娘のイヴァンカについて述べたことを書いている。
2018年、テイラーは『ニューヨーク・タイムズ』紙に匿名で寄稿し、トランプ元大統領の非常に危険なポリシーに対して自身らが示した抵抗について記述、さらにはトランプ元大統領の「常軌を逸した行動」についても報告している。
テイラーは後に寄稿文の著者として名乗り出て、同じく匿名で書かれた告発本『A Warning』の著者も自分だと明かした。この本ではトランプ元大統領がアメリカの民主主義にとってどのような危険をはらんだ存在かを詳述していたが、彼の新作は以前の告発もかすむようなインパクトのあるもののようだ。
テイラーの新作『Blowback: A Warning to Save Democracy』では、誰もがうすうす感じてはいたものの、決して公に触れられることはないのだろうとみなされていた点が明かされている。それは、トランプ元大統領が娘のイヴァンカに示す奇妙で不気味な執着だ。
『ニューズウィーク』誌が入手した本作の抜粋によると、トランプ元大統領はイヴァンカについてぞっとするようなコメントを何度もしているようだ。コメントには見た目に関わるものもあれば、より具体的にイヴァンカと寝ることを想像するようなものも含まれる。
同誌によると、テイラーはこう書いている:「側近らの話では、トランプ元大統領はイヴァンカの胸やお尻について語ったほか、彼女と寝たらどんな感じかなども話し、一度などジョン・ケリーがわざわざイヴァンカは娘だと指摘したほどだったという」
テイラーの話の真偽は定めがたいが、信憑性があると思わせる事実がある。トランプ元大統領はイヴァンカについて、何度も公の場で性的なコメントをしてきているのだ。たとえば2015年、『ローリング・ストーン』誌のインタビューがそうだ。
同誌の記者ポール・ソロターフがイヴァンカと会った直後に、トランプ元大統領はこう語っている:「ええ、イヴァンカはすごいですよ。とても美人ですし。もし私がいまの結婚生活に満足していなくて、実の父親でもなければ……」しかも、このような発言はこれよりさらに以前にも見られた。
『インデペンデント』紙によれば、2003年にあるテレビ番組に出演したトランプ元大統領はイヴァンカのことをかなり性的に露骨な表現で称賛。2004年に同じ番組に再出演した際にもその見解を変えることはなかったという。
また、別のトーク番組ではイヴァンカのスタイルを称賛し、父親でなかったら付き合いたいとも述べている。「何度か言っているように、イヴァンカが娘じゃなかったら付き合いたいですよ。これはまずいですかね。まずいか! まずいのか?」
『ニューズウィーク』紙によると、こういったコメントはトランプ元大統領の女性蔑視的な考え方を反映しているとみられる。しかも、元大統領の欲望の対象となっているのはイヴァンカだけではないようだ。複数のスタッフが証言している。
マイク・ペンス元副大統領のアドバイザーを務めていたオリヴィア・トロイによると、元大統領による女性スタッフの不当な取り扱いは公然の秘密だったという。トロイは5月に『ニューズウィーク』紙でこう語っている:「元大統領はそういったことを公然と行い、会議でそれを認める発言すら行った」
テイラーが同紙に語ったところでは、他にも「かなりの数の女性管理職」が元大統領政権時代に「これ以上なく露骨な女性差別」を受けたものの、その人たちは「大変立派な態度でそれに対処し、沈黙を守っている」のだという。
テイラーによれば、このような差別的な態度が問題なのは、多くの有能な人材が共和党から離れることを招いた点にあるという。そのせいで、仮に次の大統領選挙でトランプ元大統領が再選したとしても、有能な人材を集めることができず、政権運営はいっそう危険なものとなるというのだ。
テイラーは語る:「元大統領は多くの才能に対して門扉を閉ざしてしまった。つまり、二期目にはより危険な人物がやってくることが予想される」また、トランプ元大統領は共和党内部に「下劣なムード」を醸成してしまい、「女性一般を非常に軽蔑的にみなすことを常態化」したとも述べている。