子供たちには遺産ナシ:故スティーブ・ジョブズの決断とは?
テック大手アップルの創業者として知られるスティーブ・ジョブズ。生前には、さまざまデバイスを発表して世界に変革をもたらし、アップルを世界屈指の大企業に育て上げた。
しかし、スティーブ・ジョブズは2003年に膵臓がんという診断が下されてしまった。アップルを育てながら長い闘病生活を送り、2011年10月に56歳の若さでこの世を去った。
産業界全体に革新をもたらした天才ジョブズは、現在もなお高い人気を誇るIT遺産を人類に残した。その代表が「iPhone」シリーズだ。
アップルを創業して大きな成功を収め、30歳の誕生日を迎える前にビリオネアとなったジョブズは、56歳で亡くなったときには巨額の遺産を残した。『フォーブス』誌はその額を当時の83億ドルに相当するとしている。
ジョブズの遺産の多くは株式であり、アップル社の550万株とディズニー社の1億3800万株を所有していた。
当時ジョブズは、ウォルト・ディズニー・カンパニーの株式7%を保有していた。マーベル、ルーカスフィルム、ピクサーを次々と買収し、ディズニーの勢いが止まらなかった時代の株式だ。
ジョブズは1989年に知り合ったローレン・パウエルと交際をスタートして翌年に結婚、3人の子供(リード、エリン・シエナ、イヴ)に恵まれた。妻ローレンは長い闘病生活を支え、最後までジョブズに連れ添った。
ジョブズの死後、妻ローレンと3人の子供たちが遺産の大半を受け取ったと誰もが思うだろう。しかし、実際はそうではなかった。
驚くべきことにジョブズの3人の子供たちは、遺産を1ドルも受け取らなかった。ジョブズが遺産を残したのは、妻ローレン・パウエルと婚外子のリサ・ブレナン・ジョブズだけだった。
リサ・ブレナンが『ニューヨーク・ポスト』誌のインタビューで語ったところによれば、彼女はジョブズがローレン・パウエルと結婚する前にクリスアン・ブレナンとの間にもうけた最初の子供だという。
しかし、ジョブズは1991年までリサ・ブレナンを自分の娘とは認めず、養育費も支払っていなかった。
リサ・ブレナンが生まれてから何年にもわたり認知も経済的支援もせず、模範的な父親ではなかったジョブズ。そうした仕打ちを償うために、ジョブズは妻の他にリサ・ブレナンにも遺産を残したとされる。
遺族5人の間で平等に配分しても、ひとりひとりが億万長者になれるほど莫大な資産を抱えていたにもかかわらず、ジョブズはなぜ3人の子供たちには何も残さなかったのだろうか?
リサ・ブレナンによれば、ジョブズは3人の子供たちがそれぞれの分野で既に成功を収めていたため、遺産は必要ないと考えていたという。
長男リードはスタンフォード大学を優秀な成績で卒業した後、母ローレンが設立した慈善団体「エマーソン・コレクティブ」を活躍の場としている。長女エリン・シエナは、スポットライトから離れて生活するために、身元や職業をメディアに出さないようにしている。
末娘のイブは、プロの乗馬選手として東京オリンピックへの出場権を獲得するほどの腕前の持ち主だ。(オリンピックが2021年に延期されたことで、最終的には出場していない)
さらにはモデルとして、アメリカのDNA・モデル・マネージメントと契約し、ルイ・ヴィトンのキャンペーンに抜擢されたり、日本版『ヴォーグ』誌の表紙を飾っている。
ちなみにジョブズの遺産を受け取った唯一の子供リサ・ブレナンは、ジャーナリスト兼作家として活躍している。インタビューで受け取った遺産は「ウェイバリー・ストリート財団」と「エマーソン・コレクティブ」を通じて慈善事業に寄付したと語った。ジョブズの妻が設立し、異母兄も運営に携わる慈善団体だ。