宇宙飛行士が国際宇宙ステーションから帰還できず:米ボーイング新型宇宙船の不具合とは

米ボーイング社の宇宙船「スターライナー」、初の有人試験飛行へ
「スターライナー」の不具合とは?
4箇所のヘリウム漏れが発生
姿勢制御用スラスターの故障
安全性に懸念
「飛行士は宇宙で立ち往生しているわけではない」
十分な物資を備えていると主張
スペースX社のロケットで追加の物資を補給
国際宇宙ステーションでの仕事は十分にある
緊急時には「スターライナー」で脱出可能と主張
帰還方法の代替案
2025年まで宇宙ステーションに留まることに
2024年9月から始まるミッション
滞在期間の延長に納得している
国際宇宙ステーションは大混雑
地上への帰還時期は未定
米ボーイング社の宇宙船「スターライナー」、初の有人試験飛行へ

宇宙飛行士のバリー・ウィルモアとサニータ・ウィリアムズは、ボーイング社の宇宙船「スターライナー」の有人試験飛行のため、国際宇宙ステーションへ向かった。当初の滞在予定は8日間だったが、2か月がたった今も地上への帰還の目処は立っていない。

 

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「スターライナー」の不具合とは?

「スターライナー」には複数の不具合が発生しており、そのため同機による2人の帰還は困難となっている。米『AP通信』によると、NASAとボーイングのチームは打ち上げ前に、ヘリウム漏れに気付いたという。

4箇所のヘリウム漏れが発生

不具合の修理後、宇宙飛行士が飛行しても問題はないという判断がなされた。しかし国際宇宙ステーションへの到着後、さらに4か所のヘリウム漏れが発生したのだ。

姿勢制御用スラスターの故障

それに加え、「スターライナー」に搭載された姿勢制御用スラスターのうち5基が、到着時に使用不能になる事態が発生した。ただし、そのうち4つはすでに修復済みである。

安全性に懸念

米『AP通信』は、故障しているのは一部の部品だけだと伝えた。しかしNASAは再び複数個所に故障が発生した場合、地上への帰還中に飛行士の安全が脅かされる恐れがあると、慎重な姿勢を見せている。

「飛行士は宇宙で立ち往生しているわけではない」

NASAは、「飛行士たちは宇宙で立ち往生しているわけではない」とも主張している。飛行士の任務は変更され、滞在期間が長くなるが、その間も別の任務が与えられているという。

十分な物資を備えていると主張

ウィルモア、ウィリアムズ両宇宙飛行士は、国際宇宙ステーションの研究物資を積むスペースを確保するために、最小限の物資しか持ち込むことができなかった。それでもNASAは、飛行士たちは予期せぬ滞在期間の延長に耐えられるだけの物資を備えていると述べた。

スペースX社のロケットで追加の物資を補給

英『BBC』は、6月に出発してから数週間後、NASAがスペースX社のロケットで、ウィルモア、ウィリアムズ両宇宙飛行士用の予備の衣服を含む追加の食料や物資を、国際宇宙ステーションに運んだと報じた。

国際宇宙ステーションでの仕事は十分にある

同機関はまた、すでに国際宇宙ステーションにいる研究者の支援を含め、両宇宙飛行士が宇宙ステーションで行える作業は十分にあると述べた。

緊急時には「スターライナー」で脱出可能と主張

非常事態が起きたときには、即座に宇宙飛行士を「スターライナー」に乗せて脱出させることも可能だとNASAは主張している。

帰還方法の代替案

また、「スターライナー」を利用できない場合にも、地上への帰還には代替案があることも明らかにした。「スターライナー」を無人で帰還させ、ウィルモア、ウィリアムズ両宇宙飛行士をスペースX社の宇宙船で帰還させるという計画だ。

2025年まで宇宙ステーションに留まることに

ただしこの代替案には大きな問題がある。スペースX社の宇宙船で帰還するには打ち上げが計画されている2025年までISSで待機する必要があるということだ。もちろん両飛行士は、今年の年末年始を家族と迎えることはできなくなる。

2024年9月から始まるミッション

NASAは2024年9月に国際宇宙ステーションに向かう宇宙船の打ち上げを予定している。同船の乗組員は4人で、ISSに翌年2月まで滞在する予定だった。しかし同機関はウィルモア、ウィリアムズ両宇宙飛行士のために、乗組員を2人に減らす可能性があると述べた。

滞在期間の延長に納得している

英『BBC』によると、ウィルモア、ウィリアムズ両宇宙飛行士は予期せぬ滞在期間の延長に不満はないようだ。ウィリアムズ飛行士は、7月のブリーフィングで、滞在期間が延びることにかえってわくわくしていると述べている。

国際宇宙ステーションは大混雑

現在国際宇宙ステーションには、ウィルモア、ウィリアムズ両宇宙飛行士のほかに、4名のアメリカ人と3名のロシア人飛行士が滞在している。そのうち、アメリカ人1名とロシア人2名は9月に帰還する予定だ。

地上への帰還時期は未定

米『AP通信』によると、NASAは現在の状況に対して冷静な姿勢を見せているが、2人の宇宙飛行士を地球に帰還させ「できるだけ早く通常の状態に戻したい」と表明している。

 

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