幻想的な夜空の虹、月虹(ムーンボウ)とは?
日光が生み出す虹も素晴らしいが、月の光が夜空に映し出す月虹(ムーンボウ)という現象があるのをご存じだろうか?
ただし、月虹が生じるためには特定の気象条件が必用となるため、どこでも見られるというわけではない。『ナショナルジオグラフィック』誌によれば、定期的に月虹が現れる場所は世界中に数ヵ所しかないとのこと。
通常の虹も月虹も大気中の水滴に光が当たることで生じるという点では同じだ。
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夜空に現れる月虹は、太陽の光が月によって反射され、地球に届いた際に大気中の水滴内部でふたたび反射されることで生じる。
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しかし、月によって反射された太陽光は昼間の日光よりもはるかに弱いため、よほど条件が整わないかぎり月虹を見ることはできないのだ。
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具体的には、満月(またはほぼ満月)の夜で空が澄み渡っており、大気中に十分な水滴が含まれていなくてはならない。
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『ナショナルジオグラフィック』誌によれば、月虹を定期的に観察できる場所はザンビアとジンバブエの国境に位置するヴィクトリアの滝と、米国ケンタッキー州にあるカンバーランド滝の2ヵ所だけだそうだ。
画像:Pixabay / nike159(ヴィクトリアの滝にかかる通常の虹)
瀑布から巻き上がる水しぶきのおかげで、これらの場所では常に大気中に水滴がたくさん含まれた状態になっている。それでも、月虹が現れるのは空が澄み渡った満月(またはほぼ満月)の夜だけだ。
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古代ギリシャでは虹が現れる原理について古くから知られており、紀元前350年頃には哲学者アリストテレスが著書『気象論』の中で、光と水滴の相互作用によって生まれると書いている。
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アリストテレスはさらに月虹についても触れ、満月の夜にしか現れない珍しい現象だと述べた。それから2000年あまり経った今でも、この幻想的なショーは幸運な人々を楽しませている。