弾薬を満載したコンテナが北朝鮮からロシアへ直送? 両国の深まる関係性

韓国・国家情報院の声明
北朝鮮製の古い砲弾
「全体像をひきつづき追跡」
写真に映り込んだ「ハングル」
北朝鮮製122mmロケット弾
ロシアと北朝鮮の関係
数百万の砲弾がロシアへ
工場は全力で稼働中
お返しは「燃料」?
米国国務省の見立て
韓国・国家情報院の声明

2024年5月12日、韓国の情報機関である国家情報院は、北朝鮮とロシアをめぐる疑惑について調査中であることを公表した。北朝鮮で1970年代に製造されたとみられる古い砲弾が、ロシア軍の手に渡っているようなのだ。ロシアと北朝鮮は、軍事・諜報という分野でさらなる連携を推し進めようとしている。

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北朝鮮製の古い砲弾

「聯合ニュース」によると、国家情報院はメディアの報道を追認するようなかたちで声明を出したという。そしてその声明のなかで、1970年代に北朝鮮で製造された122mmロケット弾が、北朝鮮からロシアに出荷された武器の中に含まれていたとする見解を示した。

「全体像をひきつづき追跡」

声明ではさらに、国家情報院はその武器供給に関連する周辺事実を仔細に分析しているところであると述べられたほか、北朝鮮とロシアの軍事協力全般について注視を続けるとした。

写真:Wiki Commons By Dmitry A. Mottl - Own work, CC BY-SA 3.0

写真に映り込んだ「ハングル」

北朝鮮製の古い砲弾をロシア軍が使っていることの証拠のひとつは、あるウクライナ人写真家が2023年に発表した写真の中にあった。写真はロシア軍の弾薬を撮影したものだったが、ロケット弾に刻印されているハングルがそこに映り込んでいたのである。

北朝鮮製122mmロケット弾

専門家たちは写真を見て、ハングルが刻印されているその弾薬はおそらく122mmロケット弾であろうと指摘していた。そうした動きが韓国の国家情報院による前述の声明につながったと考えられる。もっとも、ロシアが北朝鮮から軍事的支援を受けていること、そしてその規模がかなり大きいものであることは、特に目新しいニュースではない。

ロシアと北朝鮮の関係

ロイター通信によると、2024年2月26日、韓国のシン・ウォンシク国防相は記者会見の場で、これまでおよそ6,700個のコンテナが北朝鮮からロシアに送られたとする見方を示した。それは両国間で進行中の武器輸出の一環であり、両国の軍事的な同盟のもとで引き渡されたものだという。

数百万の砲弾がロシアへ

シン・ウォンシク韓国国防相は集まった記者たちに対し、少なくともこれまで数百万の砲弾が北朝鮮からロシアに渡ったと述べた。

工場は全力で稼働中

シン国防相はさらに、北朝鮮から送られたコンテナの積荷には300万発以上の155mm砲弾か、あるいは50万発の122mm砲弾が含まれていた可能性についても言及した。そして彼が付け加えるには、ロシア向けの弾薬を製造している北朝鮮の工場は、いま全力で稼働中だという。

お返しは「燃料」?

2024年3月、AP通信によればシン国防相は新たな声明を発表した。ロシアへの軍事支援を北朝鮮が始めてから、すでに7,000個を超えるコンテナがロシアに渡ったというのだ。そして北朝鮮はその返礼として、少なく見積もっても9,000個を超えるコンテナをロシアから受け取ったという。その内容物は定かではないが、シン国防相は「燃料」ではないかと指摘している。

米国国務省の見立て

米国もまた、ウクライナでの戦争に使用される武器が北朝鮮からロシアにどのくらい渡ったのか独自に検証している。米国務次官補代理のジュン・パク氏(東アジア・太平洋担当)は米国営放送「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」の2024年3月19日のインタビューで、弾薬を積んだコンテナが北朝鮮からロシアへ向けて「少なくとも1万個」送り出されたと発言している。これは韓国・国家情報院の見積もりを大きく上回る数字だ。

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