恐竜の卵の化石が発見される:体温から進化プロセスまで解き明かされる謎
カナダ西部で発見された恐竜の卵の化石の研究により、古生物学者たちは、先史時代の恐竜が現代の鳥類へと進化する過程について認識を改めることになった。
7500万年前、カナダ・アルバータ州南部は恐竜たちの楽園だった。ある時点で大きな川が氾濫し、恐竜が産み落としたばかりの多くの卵が埋まってしまう。それが、最近になって発見されたとカナダCBCニュースのエミリー・チャンが報じた。
今回発見された卵の化石片はわずかな量だったが、新たな研究により、体温が40度前後の温血動物で、エミューほどの大きさの肉食恐竜、トロオドンが産んだものと断定するには十分であった。
写真:Bryan,Own Work,Wiki Commons
CBCニュースによると、卵の断片は研究チームによって解析され、算出された体温からトロオドンの卵の発育は非常に遅く、現代のワニのような爬虫類と似たプロセスを踏むことが明らかになった。
研究者の1人であるダーラ・ゼレニツキーはこう説明した:「現代の爬虫類と同じく、恐竜の産卵行為には時間がかかるということが突き止められました」
写真:Twitter @ucalgaryscienc
研究者たちは、先史時代の恐竜が現代の鳥類へと進化していく過程で、生殖、巣作り、体温などの生物学的プロセスがどのように変化していったのかを解き明かそうとしていた。
研究の主執筆者であるマッティア・タリアベントは、炭酸凝集同位体温度計を使用して、卵を産んだ恐竜の体温を明らかにした。さらに思いがけず、生殖システムに関する様々な情報も得ることができた。
写真:Twitter @Clumpy_Tag
同氏はCBCにこうコメントしている:「基本的に卵の化石から......恐竜の生殖システムと行動に関する情報を入手することができました」
同氏と他の研究者たちは、親指の爪ほどの大きさの卵の断片から、トロオドンの平均体温を検出しただけではない。トロオドンが体内に大量の卵を保持できなかったであろうことも明らかにした。
研究に使用した卵の断片は、巣の中に24個あったうちの一つだ。科学的データはトロオドンが一度にこれほど多くの卵を同時に産むことは不可能としているため、複数のトロオドンが一つの巣に卵を産んでいたと考えられる。
タリアベント氏はこうコメントした:「1匹の個体がこのサイズの卵を24個産むのは不可能だと思えます(......)今、私たちは、トロオドンがひとつの巣を共有していたという分析的裏付けを得たのです」
写真:Twitter @AlexBoersma_Art
共同研究者たちは、恐竜の体内温度から、現代の鳥類のように卵を早く産む性質は備えていなかったと考えている。データ上、爬虫類には卵巣が2つしかなく、卵を産む能力は限られている。
古生物トロオドンが、共同で巣作りをしていたというのは大きな発見だ。タリアベント氏によれば、現代のダチョウは巣を共有するが、この共同営巣の行動は生物学者が考えていたより遥か昔に遡ることになるかもしれない。
グローバルニュースによると、研究共著者のフランソワ・テリアンはこう語っている:「何羽かの母親が集まって共同で巣を作り卵を産み落とす。そして、すべての卵の保護と育児を交代で分担していた可能性があります」
この研究の著者たちがトロオドンの生殖システムや体温に加え、生理現象や代謝を再構築することに成功したことで、恐竜だけでなくその子孫に関する理解を深めることができたとグローバル・ニュースが報じた。
グローバル・ニュースによれば、テリアン氏は現代のすべての鳥類の祖先とされているトロオドンが、鳥類が「肉食恐竜からほとんどの特徴を受け継いでいる」かどうか、多くのことを教えてくれるはずだとしている。
『Interesting Engineering』 誌によると、トロオドンは体長180cm以上に達し、中空になった骨、羽のある翼、2本の脚など、現代の鳥類の特徴の多くを備えていた。しかし、残念ながら、その大きさゆにえ空を飛ぶことはできなかったようだ。