戦争の影響をまともに受けるウクライナの子供たち

戦争の影響を受ける子供たち
4,000ヵ所が被害
困難な教育
学校が略奪されるケースも
360万人の子供たちに影響
低下する教育レベル
算数や国語で学力低下
子供たちの未来を奪う攻撃
国際社会の対応
生き残るための知識
オンライン授業を活用
国境地帯では……
地下にある教室
「戦争の話題は極力しない」
「失われた世代」になってしまう?
精神疾患の兆候
懸念される長期的な影響
戦争の影響を受ける子供たち

ロシアによるウクライナ侵攻が勃発してから早2年あまり。ウクライナの子供たちはこの戦争によって大きな影響を受けている。

 

4,000ヵ所が被害

国際的な人権NGO、ヒューマン・ライツ・ウォッチによれば、ウクライナでは2022年2月の開戦以来、学校や幼稚園およそ4,000ヵ所が損傷したり破壊されたりといった被害に遭っているという。

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困難な教育

教育施設が受けている被害は主に砲撃やロケット弾、ミサイル攻撃によるものだ。

 

学校が略奪されるケースも

しかし、ときにはロシア兵が占領した地域の学校を略奪するケースも報告されている。無論、このような行為は戦争犯罪だ。

360万人の子供たちに影響

国連児童基金(UNICEF)の推計によれば、2023年1月時点で子供たち530万人の教育に差し響いており、そのうち360万人は学校閉鎖などによって直接的な影響が出てしまっているとのこと。

低下する教育レベル

また、国連が公開した調査データによれば、ウクライナの子供たちの教育レベルは開戦以来、低下し続けているという。

算数や国語で学力低下

2023年8月時点で、国語や言語能力の低下が見られる子供は57%。算数についても子供たちの45%が問題を抱えているそうだ。

 

 

子供たちの未来を奪う攻撃

ヒューマン・ライツ・ウォッチのヨーロッパ・中央アジア部門を率いるヒュー・ウィリアムソン氏はウェブサイト上で、「教育に対する攻撃は将来性を損なうものであり、ウクライナの子供たちは高い代償を払うことになっています」と指摘。

 

 

国際社会の対応

同氏はさらに、「国際社会はロシア軍がウクライナで行っている学校の破壊や略奪を非難すべきです」とした。

 

生き残るための知識

また、ユーロニュース放送によれば、戦争の影響はすでに学校のカリキュラムにも及んでいるそうだ。たとえば、ウクライナの子供たちは地雷の外見や、発見した場合の対処法などを学ばなくてはならないのだ。

 

オンライン授業を活用

国連が行った報告によれば、ウクライナの子どもたちは2023年8月の時点で、その3分の1が学校に通っているが、3分の1はオンライン授業に頼っており、残りの3分の1は2つの方法を併用しているとのこと。

国境地帯では……

また、『フィナンシャル・タイムズ』誌が2024年2月に掲載した記事によれば、激しい戦闘が続くロシアとの国境地域では、子供たちの90%以上がリモート学習を利用しているという。

地下にある教室

さらに、ハルキウ市など一部地域では、低学年の生徒たちが避難所や地下鉄の駅構内に設置された教室を利用している。しかし、こういった地下の教室だけで、地域の学生全員を受け入れることはできない。

 

「戦争の話題は極力しない」

ハルキウ州の学校教師、アナスタシア・プロヴォトロワさんは『フィナンシャル・タイムズ』誌のインタビューに対し、「いま起きている出来事については極力、話題にしないことにしており、子供たちにもその話をしないように努めています。子供たちが戦争について話しはじめたら、私たちがそれとなく話をそらすようにしています」と語っている。

 

「失われた世代」になってしまう?

独誌『デア・シュピーゲル』によれば、ウクライナの子供たちは将来「失われた世代」になってしまうおそれがあるという、

精神疾患の兆候

同誌はまた、ウクライナでは150万人もの子供たちがうつ病やPTSD、ストレス障害、不安障害といった精神疾患の兆候を見せはじめていると書いている。

 

 

懸念される長期的な影響

プーチン政権が開始した戦争の真っ只中で成長するウクライナの子供たち。その影響はかなり長期間にわたって爪痕を残すことになりそうだ。

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