数字で見る地球:限られた陸地の使いみちとは?

数字でみる地球
地球の表面積:陸地はわずか29%
氷河と居住不可能な地帯:陸地の24%
地球上の陸地の76%は居住可能
森林38%、低木林13%、水域3%
居住可能な土地の46%が農業に使用されている
人類は1人につき1日あたり約5,000カロリーを生産している
食物連鎖の中で消失するカロリー
1:農地の80%は畜産に利用されており、大部分を畜牛が占める
森林破壊の主な原因
農地の16%は食物の栽培に使用されている
動物由来の食品は人間の総摂取カロリーのわずか17%
2:非食用作物の存在
バイオ燃料用農地を太陽光パネルで覆えば、米国の電力供給量は3倍に
都市空間が占める割合
効率的な農業生産が生物多様性を守ることにつながる
数字でみる地球

宇宙から見た地球の画像を見て、地球についてもっと知りたいと思ったことはないだろうか。オックスフォード大学が運営する『Our World in Data(データで見る私たちの世界)』 では、地球の表面が人類によってどのように区切られ、利用されているかを数値で知ることが出来る。

 

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地球の表面積:陸地はわずか29%

地球が青い惑星と呼ばれるのには理由がある。地球全体の表面積のうち、71%にあたる3億6,900万㎢は海だからだ。したがって、陸地は残りの29%しかないということになる。

写真:Unsplash/Todd Turner

氷河と居住不可能な地帯:陸地の24%

陸地の内訳を見ると、氷河がその10%を占める。さらに、砂漠や塩原、海岸といった居住不可能な地帯も14%を占めている。

地球上の陸地の76%は居住可能

地球全体の1/3未満である陸地だが、その76%が居住可能な土地だ。『Our World in Data』の編集者ハナー・リッチーは、米紙『ニューヨーク ・タイムズ』のポッドキャストで以下のように説明している。「氷河や不毛の大地は何にも利用できず、他の多くの生物も生息不可能です。そのような土地を除く76%に人間は居住しています」それでは、その76%がどのように構成されているか、更に細かく見てみよう。

画像:Sunira Moses/Unsplash

森林38%、低木林13%、水域3%

居住可能な土地のうち54%は人間の手が入っておらず、その内訳は38%を森林、13%を低木林、3%を河川などの水域といった自然となっている。

居住可能な土地の46%が農業に使用されている

居住可能な土地のうち、人間の手が入っていない54%を除くと、その残りにあたる46%の大半が農業関連に使われている。農業に焦点を当てて、その内訳を見てみよう。

人類は1人につき1日あたり約5,000カロリーを生産している

人類は地球の資源を利用し、1人につき1日あたり5,000カロリーに相当する食料を生産している。これは平均的な人の1日のエネルギー摂取量の2倍以上である、とリッチー氏は米紙『ニューヨーク ・タイムズ』に語っている。地球の人口はおよそ70億人のため、累計するとかなりの余剰が出ていることになる。

食物連鎖の中で消失するカロリー

しかし、同氏によれば農業で生産される5,000カロリーは、直接私たちの食卓に上がるわけではないという。その2つの理由を見ていこう。

1:農地の80%は畜産に利用されており、大部分を畜牛が占める

『Our World in Data』によると、農地の大部分は畜産に利用されているという。農地の約75%は主に牛、次いで羊やヤギなどの家畜を放牧するために用いられ、更に5%は動物の飼料生産に利用されている。

森林破壊の主な原因

リッチー氏によれば、問題は農地の大部分が畜産に利用されていることではなく、畜産が世界的な森林破壊の原因になってしまっていることだという。というのも畜産のために、放牧地やえさとなる作物を育てる土地を得るために森林伐採が進んでいるのだ。かつては、畜産による森林破壊がヨーロッパの温暖な地域やアメリカで問題となっていた。だが今日では、森林破壊の多くはアマゾンの熱帯雨林のような熱帯地域で発生している。

農地の16%は食物の栽培に使用されている

食物となる野菜や果物、穀物あるいは植物油の原料となるさまざまな植物の栽培がおこなわれているのは、農地のごく一部である。

動物由来の食品は人間の総摂取カロリーのわずか17%

農地の大部分を畜産に利用しているが、動物から摂取するカロリーは、人間の総摂取カロリーのわずか17%でしかない。反対に、残りの83%は植物に由来している。『Our World in Data』によると、タンパク質の38%は肉と乳製品から、63%は豆類や穀物などの作物から摂取されているようだ。

2:非食用作物の存在

農地で生産されたカロリーが食卓に上らないもう一つの大きな要因は、非食用作物の存在だ。非食用作物の代表例はバイオ燃料用作物であり、主にバイオエタノール用のトウモロコシが挙げられる。それ以外には、衣類やその他の繊維用の綿花栽培も含まれる。

画像:Tom Fisk pexels-tom-fisk-

バイオ燃料用農地を太陽光パネルで覆えば、米国の電力供給量は3倍に

太陽光エネルギーの土地利用については多くの議論があるが、『Our World in Data』の編集者ハナー・リッチーは米紙『ニューヨーク ・タイムズ』に次のように語っている:「現在バイオ燃料生産用に使われているアメリカ全土の土地に太陽光パネルを設置した場合、アメリカ全体の電力供給量を3倍にすることができるでしょう。脱炭素化を容易に実現でき、エネルギー需要も満たせるはずです」

都市空間が占める割合

地球上の居住可能な土地全体から見ると、都市や住宅地はわずか1%にすぎない。これにはインフラ設備も含まれている。「結局のところ人間が土地に及ぼす影響は、そこまで大きくはありません」とリッチー氏は米紙『ニューヨーク ・タイムズ』に語った。

効率的な農業生産が生物多様性を守ることにつながる

『Our World in Data』の統計からわかるように、生物多様性を維持するためには、農地の効率性を高めることが重要だ。具体的には、植物由来の食品をより多く取り入れ、バイオ燃料の過剰生産をやめるだけでなく、より効率的な放牧や、より少ない土地でより多くの食料を生産できるような技術革新など、土地の生産性を向上させるのが重要になるようだ。

 

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