新しい宇宙望遠鏡で天王星の真の姿が明らかに

ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の成果
新しい写真をチェック
あまり注目されてこなかった
最初に写真を撮ったのはボイジャー2号
研究の可能性を開く
未発見のリングや衛星の存在が明らかに
不思議な事実も明らかに
海王星の方が好奇心を刺激した
天王星と海王星はよく似ている
なぜ海王星の方が色鮮やか?
メタンガスの割合でぼんやりとした色に
新たな画像が真の姿を明らかに
2023年2月の画像が端緒となる
多くのリングや衛星を捉える
実際に近づかなくても撮影が可能に
いまもデータの収集は続く
ふたつのリングはまだ撮影できていない
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の成果

これまでの天王星に関する知識は2023年以来大きく塗り替えられつつある。新たに運用が始まったジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が新たな画像を多数捉えたためだ。ここ数ヶ月の間にもいくつも驚くべき画像が撮影されている。

新しい写真をチェック

運用開始から間もないジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡だが、すでに多くの天文学者や科学者がその成果を元に新たな発見を成し遂げている。そういった新発見の中でもとりわけ注目に値するのが天王星に関するものだ。

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あまり注目されてこなかった

天王星は太陽から7番目に遠い惑星で、最初にその比較的鮮明な姿を写真に収めたのはボイジャー2号だった。以来、天王星は全体が一様に青色をしていると考えられてきたが、2024年に新たな画像が撮られたことでその認識は大きく塗り替えられた。

最初に写真を撮ったのはボイジャー2号

『スミソニアン・マガジン』によると、ボイジャー2号も天王星やその周囲を回る衛星について多くの発見をもたらしたという。たとえば、研究者は天王星の衛星のうち少なくとも5つには隠された海があると予測していた。

画像:NASA/JPL-Caltech

研究の可能性を開く

さらに言えば、そもそもボイジャー2号ははじめて天王星に接近して、この冷たく青い惑星の姿を画像に収めている。天王星は太陽系内では後回しにされることの多い存在だったが、この画像こそがまったく新しい研究の可能性を開いたのだ。

未発見のリングや衛星の存在が明らかに

NASAによるとボイジャー2号は天王星まで8万1,600kmまで近づいており、その画像のおかげで新たに10の衛星が発見されたという。また、天王星にはそれまで見つかっていなかった2つのリングがあることや、強力な磁場が存在することもわかった。

不思議な事実も明らかに

ほかには、天王星の自転周期が17時間40分であることや、不思議なことに赤道地帯の温度が北極や南極にあたる地域と同じであることもわかった。

画像:Wiki Commons By NASA

海王星の方が好奇心を刺激した

だが、ボイジャー2号が撮った天王星の画像を海王星と比べてみると、天王星のほうはぼんやりと青みがかって見えるだけで、あまり面白いものには見えなかった。海王星の方が好奇心を刺激したのだ。

画像:NASA/JPL

 

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天王星と海王星はよく似ている

『スミソニアン・マガジン』によると、天王星と海王星は多くの点で似通っているのだという。たとえば、両惑星ともサイズや質量が同じくらいで、共にガスと氷からできている。そして、見た目が青いことも共通だ。

なぜ海王星の方が色鮮やか?

天王星と海王星が青く見える秘密は両惑星の大気に含まれるメタンだ。ただし、大気中のメタンの割合は異なっており、そのせいで海王星のほうがよりビビッドな青色をしているのだという。

メタンガスの割合でぼんやりとした色に

2022年に発表されたある研究では、天王星の大気の方がメタン含有量が多いことが、大気の色がぼんやりとした青色になっている理由かもしれないとされている。しかし、そのどこか捉えどころがない色のせいで、数十年にわたって天王星にぼんやりとした印象ができてしまったのだ。

画像:Wiki Commons By ESA/Hubble & NASA, L. Lam, CC BY 4.0

新たな画像が真の姿を明らかに

だが、本来の天王星はもっと色鮮やかな存在だったのだ。ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が天王星の美しい姿を捉えたおかげで、このガス惑星も注目されつつある。

画像:NASA, ESA, CSA, STScI

2023年2月の画像が端緒となる

2023年2月、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が息をのむような天王星の画像を捉えた。これこそが天王星のイメージが変わる最初のきっかけとなった。2023年4月にNASAが出したリリースでは、天王星のリングや輝かしい大気がアピールされていた。

画像:NASA, ESA, CSA, STScI

多くのリングや衛星を捉える

2023年9月に撮影され、12月にNASAが発表した画像は長時間露光と短時間露光を組み合わせたもので、多くのリングや衛星に囲まれた天王星の姿を捉えている。

画像:NASA, ESA, CSA, STScI

実際に近づかなくても撮影が可能に

ノッティンガム大学の天文学者、マイケル・メリフィールド教授はこう説明している:「天王星のこれほど詳細な画像が手に入るというのはすごいことです。かつてはボイジャー2号のように、実際に近づくしかありませんでした」『ニュー・サイエンティスト』誌のアレックス・ウィルキンス記者が記事で伝えている。

画像:NASA, ESA, CSA, STScI

いまもデータの収集は続く

メリフィールド教授はこう続けている:「ボイジャー2号の時はフライバイで一時的に近づいただけでしたが、今回は時間的経過も観察することができます。公転面に対して大きく傾いた自転軸が天王星上の気象パターンにどう影響するのかなどですね」そして、いまも天王星に関する新たなデータが収集されているとも述べている。

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ふたつのリングはまだ撮影できていない

『スミソニアン・マガジン』によると天王星の外縁部にあるふたつのリングはまだ撮影に成功していないのだという。研究者らはこのリングについても、今後撮影できることを期待している。いっぽう、衛星に関してはその多くが撮影に成功している。

画像:NASA, ESA, CSA, STScI

 

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