日常で活躍する人口知能(AI)とは:セクハラ検出や新薬開発、旅行代理店まで!
人工知能(AI)を利用した技術は医療や天文学、観光、文化など、さまざまな分野で私たちの暮らしを支えています。ここでは進歩したAIの例について見てゆきましょう。
大企業Amazonが開発したのはバーチャル・アシスタント・システム「Alexa」。ユーザーとの会話を行うほか、テレビや照明、電化製品をはじめとしたデバイスを制御するなど、様々な機能を持っています。
ブロックチェーンとは、取引履歴の改ざん防止と永続的記録を目的とした分散データベースのことで、暗号通貨の技術的基盤になっています。SingularityNET社は、ブロックチェーンとAIを組み合わせ、データの参照および収益化を目指した、より効率的なシステムを開発しました。
世界中の病院で利用され始めた手術支援ロボット「ダヴィンチ」。医師は患者に直接手を触れることなく、コンソールからロボットアームを操作するのです。
手術プロセスの種類によっては、このロボットの方が人間の外科医よりも正確です。2017年にペンシルベニア州で行われた手術では、ダヴィンチは患者の口から腫瘍を摘出することに成功しました。
香港のハンソン・ロボティクスが2016年に開発した人型AIロボット「ソフィア」。このロボットは人間のジェスチャーを再現するだけでなく、会話したり人の顔を認識したりすることもできます。
ソフィアは人間と触れ合うことにより、さらに知識を身に着けて人間らしくなってゆきます。当初は高齢者の話し相手として開発されました。
ロボット工学の進歩によって、運動能力の低下や麻痺に悩まされる人のサポートも可能になってきました。脳が四肢に送る神経信号を生体センサーで検知し、動作を助けるデバイスが生み出されているのです。
2019年、フランス企業Clinatecがグルノーブル大学とパワードスーツを共同開発。
このAIパワードスーツは、脳内に埋め込んだ2つの小さなパーツで神経信号を捉え、四肢麻痺の患者が手足を動かすのをサポートすることができます。
東京都多摩市の市長選に出馬したアンドロイド「松田みちひと」。実際には、人間がAIを活用して政治を行うという意図だったようですが、結果は3位でした。
アンドロイドが描かれたポスターの公約は「公明正大な市政」。
世界中で7億人以上の人々を悩ませる精神障害。米国のIT企業IBMは神経科医と協力して、患者の発話の複雑さや一貫性を計るツールを開発しました。
これによって、人間の行動や発話に精神病の兆候があるかどうかをより正確に予測することができるわけです。
2019年にLullaai社がサービスを開始したのは、赤ちゃんの睡眠習慣と周囲の音をトラックするアプリケーション。収集したデータを利用して、家族のニーズに合わせたルーティーンを提案してくれます。
人工知能の分野でも世界をリードするFacebook。そのプロジェクトの一つが、Webボットによる会話です。
しかし2017年、Facebookが開発したボット「ボブ」と「アリス」は開発者の意図を凌駕してしまいました。オリジナルの言語を生み出して会話し始めたのです。その結果、実験は中止せざるを得ませんでした。
ライブショーを開催し、レディー・ガガのツアーにも出演したバーチャルシンガー「初音ミク」。これはクリプトン・フューチャー・メディアがボーカロイドソフトを利用して開発したシステムです。
職場のコミュニケーション分析に特化したAIは、セクハラやパワハラにあたる不当な発言を検知することができます。この技術はNexLP社が提供しており、インスタグラムに実装されています。
地震予知の可能性を開いたのはConcNetQuakeと呼ばれる、膨大なデータを処理するニューラルネットワークです。これはAI研究をリードするGoogleの機械学習開発者と、ハーバード大学の研究者が共同開発したものです。
画像処理や分析の分野では「畳み込みニューラルネットワーク」と呼ばれる手法が活躍しています。ハイデルベルク大学の研究者たちは、この種のAIが人間の医師よりも黒色腫をたくさん発見できることを突き止めました。
一方、Googleは特殊なAIシステムを使用して、膨大な量のマンモグラム・データを解析しました。このプログラムは人間の放射線科医よりも効率的に乳ガンを発見できるといいます。ただし、この技術はまだ試験段階です。
調査会社ジュニパー・リサーチによれば、カスタマーサービスの従業員をチャットボットに置き換えると、企業にとって約700万ドルのコストカットになるといいます。しかし、この数字は近い将来、4億3900万ドルまで上昇する可能性があるのです。
観光業界でも、膨大なデータを駆使してサービスを顧客ごとにカスタマイズする必要性が高まっています。Destiniaをはじめとした旅行会社は、旅行の予約にチャットボットをすでに使用し始めています。
2019年には米国のフラットアイアン研究所が、AIを利用した宇宙の3Dシミュレーションモデルを開発しました。従来のモデルに基づく8,000以上のシミュレーションを学習したこのアルゴリズムは、まったく新しいデータに対しても正確な結果を引き出すことができ、作成者をも驚かせました。
Amadeus Codeは名曲に関する膨大なデータを駆使して、素晴らしい歌詞やメロディーを生み出すAIプログラムです。
マドリード工科大学の研究者たちは妊婦のモニタリングデータを分析することで、治療のサポートを行う血糖値測定器つきのツールを開発しました。112人の女性に対して試験運用した結果、診察回数を大幅に減らすことに成功しました。
V-Heart SNとは、スペインの9つの大学と研究センターが共同開発中の循環系の計算モデルです。この技術を利用すると、患者の体質に合わせたより効果的な治療が行えるようになるといいます。
2019年1月、IBMは自社で開発した量子コンピュータへのアクセス権を企業に販売すると発表しました。それまで、量子コンピュータの技術はマイクロソフトおよびGoogleの研究所でしか利用できませんでした。量子コンピューターには複雑なデータを処理する能力があるため、航空宇宙業界から医療まで様々な分野に革新をもたらしてくれるでしょう。
現在、IBM社のAI「Watson」に加え、BenevolentAIやtwoXarといった新興企業が薬学分野でのAI利用を推し進めています。こういった技術を用いれば、研究室で人間が行うよりも短期間で新薬を開発できるようになるかもしれません。
ユーザーのカレンダーとメールを同期させ、イベントを計画したり、旅行のスケジュール管理したりするアプリケーション「Woven」。まだ開発中ですが、開発者のFacebook元従業員2人は、すでにプロジェクトの資金480万ドルを調達したといいます。