スーダンで発見された数千年前の古代神殿跡
科学情報サイト『ライブサイエンス』の新たな報告によれば、スーダンにある中世の都市遺跡を調査していたポーランドの考古学者グループが、起源を数千年前にさかのぼるとみられる神殿遺跡を発見した。
この神殿は、中世の都市遺跡「オールド・ドンゴラ」にある城塞跡で発掘された。神殿跡はそれよりもずっと古く、紀元前に起源をさかのぼる古代クシュ王国時代のものと推定されるほか、ほかにも興味深いものが見つかった。
『ライブサイエンス』のオーウェン・ジャルス記者は、「この神殿の石材には、図像や象形文字が描かれていました」と語る。古代クシュ文明でも一種の象形文字が使われていたが、今回の象形文字はそれまでになかったものだという。
ワルシャワ大学地中海考古学センターはプレスリリースを通じ、考古学チームがこの神殿から、古代エジプト文明の象形文字と形象装飾を発見したことを明らかにした。
象形文字による装飾はさまざまな文化に存在するが、今回発見された場所とつくられたとみられる時代が研究者たちを驚かせた。
写真:Twitter @Dawid_FW
ジャルス記者は「石材の図像および文字を分析した結果、これは紀元前10世紀初期の建造物の一部だということになります」と記している。
写真:Twitter @chrisnaunton
紀元前10世紀頃、ナイル川上流の現在のスーダンにあたる場所には古代クシュ王国が存在していた。
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ワルシャワ大学のプレスリリースでAndrzej Szotek教授はこう語った:「オールド・ ドンゴラでは60年近く考古学調査が行われていますが、これほど古い時代のエジプト遺跡は発見されていないことから予想外の貴重な発見だといえます」
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同氏はこう続けた:紀元5世紀とされるオールド・ドンゴラより1000年も古いエジプト文明の神殿が存在することが確認されれば、「この地の歴史に新たな光が当てられ、その創設時期がより早いということが示されるわけです」
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オールド・ドンゴラで見つかった神殿遺跡の研究調査を行うエジプト学者のDawid Wieczorek氏は、この神殿が建てられた時代についてはまだ確かではないとする。
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同氏は、神殿の石がもともとそこにあったものなのか、あるいは別の場所から石材として運ばれてきたのか、確証が持てないというのだ。
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「これまで収集された考古学的資料からは、この石材がオールド・ドンゴラそのものから出土したものなのか、あるいは別の場所から運ばれ神殿建設のために使われたものなのかを判断することができません」
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ともあれエジプト学者Wiezorek氏は、前出のSzotek氏と意見を同じにしている:「いずれにせよ、これは驚くべき発見です...... 石材はオールド・ドラゴンにある壮大な神殿跡から発見されましたが、オールド・ドンゴラから半径100キロメートルの範囲ではこれまでエジプト建築とみられる遺跡は見つかっていないのですから」
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『世界歴史大百科事典』によれば、古代クシュ王国は紀元前1069年頃に誕生、紀元350年頃に消滅したと考えられている。
Wiezorek氏は、広大な範囲にわたるナイル川流域の中で、オールド・ドンゴラ遺跡のある一帯ではこれまでエジプト遺跡が発見されていなかったことを指摘。
同氏はポーランドの考古学チームの発見がクシュ王国とエジプト文明の歴史を書きかえることになる可能性もあるとし、「今回の私たちの発見が歴史の空白を埋める一助になることを期待しています」とコメントした。
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