アメリカ国防総省が中国の核軍拡を指摘:2035年までに1,500発の核弾頭を保有する可能性

核軍拡を推し進める中国
不穏な事実を伝えるレポート
現在の戦力
1年間で100発増加
近代化も進める
予測を超える速度で拡大
種類も多様化
2030年度までに1,000発を超える
運用状態で配備
世界レベルの軍事大国を目指す
規模も複雑さも桁違い
プラットフォームやインフラも整備
高速増殖炉を活用か
サイロ用地も整備
アメリカは懸念を深める
対話を求めるアメリカ
積極性を強める中国
通常戦力も拡大
防衛費も増額
とはいえ米露には大きく劣る
2035年までに1,500発
「速度と規模は息をのむほど」
核軍拡を推し進める中国

米国防総省は2023年10月、中国における軍事・安全保障問題に関する議会報告書を発表した。そこから明らかになったのは、積極的に核軍拡を推し進めようとする中国の姿だった。

不穏な事実を伝えるレポート

「中華人民共和国における軍事・安全保障の進展(2023年度)」と題されたそのレポートでは、事実上中国に対向し得る唯一の国であるアメリカにとっても無視できない、不穏な事実も明かされていた。レポートの内容をチェックしてみよう。

 

画像:Wiki Commons By 颐园居 - Own work, CC BY-SA 4.0

現在の戦力

そのレポートによると、中国は2023年5月の時点で約500発の核弾頭を保有しているとされている。

1年間で100発増加

核弾頭の数は前年度より100発増加しており、中国が急速に核軍拡を行う能力を持っていることを示している。その結果、核武装において他国と肩を並べる水準となっている。

近代化も進める

国防総省のレポートでは、中国政府は今後も「自国の核戦力を急速に近代化・多様化し、拡大させていく」だろうと述べられている。さらに、中国が打ち出した新たな近代化プログラムは前例がない規模のものなのだという。

予測を超える速度で拡大

ある高官はこう語っている:「中国の軍拡速度は以前までの我々の予測を超えており、2030年までに限れば、当分のあいだ続くと言ってよいだろう」防衛メディア「Defense News」が報じている。

種類も多様化

中国は核戦力をかつてない規模で拡大させており、種類も多様化している。また、その拡大プログラムの一環として、核兵器の配備が可能なプラットフォームを陸海空すべての領域において整備し、将来の使用を見据えているようだ。

2030年度までに1,000発を超える

核軍拡に対する投資や公共事業も増えており、レポートでは中国は「2030年度までに1,000発以上の核弾頭を運用することになるだろう」とされている。だが、レポートで指摘されている不穏な事実はこういった統計的数字だけではない。

運用状態で配備

こうして増やされた核弾頭は直ちに運用可能なレベルで配備されており、その抑止力を背景に中国は核戦力の近代化をさらに継続していくことになる。

世界レベルの軍事大国を目指す

国防総省の想定では、中国は習近平国家主席が提唱した、世界レベルの軍事大国となるという目標を2049年までに達成することになるという。その頃には、仮にアメリカと戦争になっても対等に戦えるということだ。

規模も複雑さも桁違い

国防総省のある高官は、政治メディア「ポリティコ」にこう語っている:「中国がいま行っていることは、10年前とは規模も複雑さも桁違いです」

プラットフォームやインフラも整備

その高官はさらにこう続けている:「中国は陸海空で核兵器を配備可能なプラットフォームに投資して拡大しているうえ、こうして拡大する核戦力を支えるためのインフラも整備しています」

高速増殖炉を活用か

レポートによると、中国の軍拡が成功するためには「新型の高速増殖炉(Fast Breeder Reactor: FBR)や再処理施設」が鍵となるという。中国はこういった施設を平和的目的のために活用すると主張しているが、レポートいわく「核軍拡用のプルトニウムを生産」することもできるのだ。

サイロ用地も整備

また、2022年には固形燃料式ミサイル用のサイロ用地も3つ整備されている。これらのサイロには最大300の大陸間弾道ミサイル用サイロを設置可能で、すべて建設されれば中国はかつてない規模の即応能力を獲得することになる。

アメリカは懸念を深める

2023年10月18日には、アメリカのある防衛官僚がこうコメントしている:「これらの動きは当然ながら多大な懸念をもたらしています。中国が核戦力を拡大させるにしても、もっと透明性を高めてほしいものです」

対話を求めるアメリカ

CNNによると、その防衛官僚はまた、米国としては中国と「戦略的安定及びリスク減少」について論じる「機運が高まってきている」とも述べたという。だが、現時点ではそのような対話が実現するかは不透明だ。

積極性を強める中国

近年、中国は国際関係において以前よりも積極的な姿勢を見せており、世界における中国のプレゼンスを上げ、軍事大国となることを目指している。

通常戦力も拡大

防衛総省のレポートによると、中国の軍拡は核戦力だけに留まらないのだという。たとえば、潜水艦や水上艦も30隻ほど増加している。

防衛費も増額

防衛費も7.1%増額されており、こうして増やされた予算を使ってさらなる核軍拡に進む可能性がある。

とはいえ米露には大きく劣る

2024年7月の時点では中国は核戦力において米露に大きく劣っており、それはいまも変わらない。米国科学者連盟が発表したデータによるとアメリカは5,748発、ロシアは5,580発の核弾頭を保有しており、それに対して中国は500発に留まっている。アメリカの超党派組織「軍備管理協会」が伝えている。

画像:Wiki Commons By Voice of America, Public Domain

2035年までに1,500発

国防総省のレポートでは、いまのペースで核軍拡や近代化が続いた場合、中国は2035年までに保有核弾頭を1,500発まで増やす可能性があるともされている。

「速度と規模は息をのむほど」

国防総省の統合抑止責任者ジョン・プラム氏は、2023年にブルッキングス協会でのイベントでこう語っている:「中国は非常に積極的に核軍拡と近代化を進めています。その速度と規模はまさに息をのむほどのものです」

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