極右テロ事件で77人殺害のアンネシュ・ブレイビク受刑者、豪華刑務所ライフに不満(ノルウェー)
2011年7月22日、ノルウェーは2件の大規模なテロ事件に見舞われる。首都オスロの政府庁舎で発生した爆弾テロと、ウトヤ島で開催されていたノルウェー労働党青年部の集会を狙った銃乱射事件だ。どちらの事件も、極右思想を掲げるアンネシュ・ベーリング・ブレイビクによる犯行だった。
犠牲者は合計77人(オスロで8人、ウトヤ島で69人)、負傷者は155人にのぼり、ノルウェーで発生した事件としては前代未聞の規模だ。
裁判の結果、ブレイビクにはノルウェーにおける最高刑、禁固21年(延長の可能性あり)という重い判決が下されることとなった。
45歳を迎えようとするアンネシュ・ブレイビクだが、現在は改名してフョートルフ・ハンセンと名乗り、オスロの北西70キロにあるリンゲリーケ刑務所で服役中だ。
ノルウェーのNTB通信はブレイビク受刑者について、2階建ての刑務所内で複数の個室を与えられて「豪華に」暮らしていると報道。ノルウェーの刑務所は非常に人道的なことで知られているが、同国史上最悪の大量殺人犯は一体どのような刑務所ライフを送っているのだろうか?
厳重な警備体制が敷かれているリンゲリーケ刑務所。正門はこのように、ものものしい雰囲気を漂わせている。
しかし、ひとたび中に足を踏み入れれば、このとおり広々とした中庭が目に入る。
こちらは刑務所2階にある受刑者用の浴室と洗面所。
広々としたテレビルームには大型スクリーンやゲーム機、ソファが備えられており、さぞゆったりと寛げることだろう。
ブレイビク受刑囚の寝室、いや「睡眠房」は刑務所2階にある。
こちらは分厚いガラスに囲まれた面会室だ。
ブレイビクが服役中のリンゲリーケ刑務所には、このように立派なジムが完備されているのだ。
さらに、受刑者たちの健康を維持するため、トレーニング設備も充実している。
1階のテレビルームを出ると、廊下の向こうには明るいキッチンが見える。
こちらは応接室の一部を写したもので、刑務所2階に置かれている。
2階の廊下には鳥小屋が置かれ、インコ3羽が暮らしている。受刑者といえども、ペットに癒されたいということだろうか。
このように立派な生活環境をあてがわれているブレイビク受刑者だが、厳重な隔離措置には不服の様子。弁護士によれば、ブレイビク受刑者は「うつ病」に悩まされ、自己破壊的な思念に陥ってしまっているというのだが…… 結局、 ブレイビク受刑囚は当局を相手どった訴訟に踏み切っている。
ブレイビク受刑囚は11年あまりにわたって他の囚人たちから隔離されており、看守や教誨師、弁護士といった関係者以外の人々と交流を持つことができなかった。そこで、このような扱いは、ヨーロッパ人権条約第3条によって禁止されている「非人道的で品位を傷つける待遇および刑罰」にあたると主張したのだ。
ブレイビク受刑囚は2016年にも、同じ理屈で当局に対する訴訟に打って出たことがある。このときは一審で勝訴したものの、控訴審で判決が覆されてしまった。また、欧州人権裁判所はブレイビク受刑囚の主張について、2018年に「容認できない」との判断を下している。
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