脚光を浴びそこなった10大ニュース:歴史的事件とタイミングが重ならなければ......

歴史的事件でかすんでしまったニュース
不遇なニュース
新型コロナウイルスの陰で
2020年中印国境紛争
ベイルート港爆発事故
ファラ・フォーセットの訃報
米国軍の無駄遣い
「テロとの戦い」
人類初の偉業
二人の作家の死
冷戦下の危機
「音楽が死んだ日」
ジャッキー・ロビンソンのデビュー
日本軍のフィリピン侵攻
航空史における偉業
タイタニック号の悲劇
歴史的事件でかすんでしまったニュース

次から次へと伝えられる日々のニュース。その中で、ふつうなら人々の記憶に残りそうなニュースが、意外にも注目を集めずに忘れられてしまうこともある。その主な理由は、ほぼ同じタイミングでよりインパクトのある歴史的事件が起きたことだという。

 

不遇なニュース

今回はそうした意外なことに影が薄くなってしまった、しかし実は重大なニュースをいくつかご紹介しよう。

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新型コロナウイルスの陰で

2020年に世間を騒がせていたのは、新型コロナウイルスである。メディアはこの不吉なウイルスにまつわる情報を競うようにして報じていた。しかし、世界ではその一方で、未知のウイルスとは無関係だが重要な出来事も持ち上がっていたのだ。

2020年中印国境紛争

その一例は、インドと中国のあいだで起きた国境紛争である。衝突は2020年5月に始まり、緊張は今も続いている。米国公共ラジオ放送によると、2020年6月に発生した衝突では、インド兵20人が命を落としたという。

ベイルート港爆発事故

2020年8月には、レバノンのベイルート港で大規模な爆発事故が発生した。港湾倉庫に留め置かれていた大量の硝酸アンモニウムが何らかの理由で一斉に引火、爆発したのだ。米国公共ラジオ放送によると、街の半分が被害を受け、218人が亡くなり、7,000人あまりが負傷した。

ファラ・フォーセットの訃報

70年代に一世を風靡した女優・モデルのファラ・フォーセットは、3年間の闘病の末、2009年6月25日にがんで亡くなった。享年62。しかし、同じ日にマイケル・ジャクソンが急死したことで、ファラ・フォーセットの訃報はどうしても小さめに扱われることになってしまった。

米国軍の無駄遣い

2001年9月10日、ブッシュ政権の国防長官ドナルド・ラムズフェルドは記者会見を開き、国防総省にはびこる官僚主義との戦いを宣言した。軍による無駄遣いを撲滅しようというのである。CBSニュースによると、同国防長官はこの会見の中で、国防総省の帳簿上で2.3兆ドルの使途が不明であることを認めたという。

「テロとの戦い」

しかし、無駄遣いとの戦争はうやむやになる運命だった。翌日9月11日に同時多発テロ事件が発生したのだ。以降、「テロとの戦い」を最優先とするブッシュ政権のもと、国防費の支出が増加したことは周知の事実である。

人類初の偉業

ジョン・フェアファックスというイギリス人は、手漕ぎボートにひとり乗り込み大西洋を横断した。人類初の偉業だった。カナリア諸島から漕ぎ出し、180日後の1969年7月19日にフロリダ半島に上陸したのだ。だが、その2日後の7月21日、人類にとってさらに輝かしい瞬間が訪れた。アポロ11号のニール・アームストロング船長が、月への第一歩を踏んだのである。

二人の作家の死

『すばらしい新世界』や『知覚の扉』などで知られるオルダス・ハクスリーと、『ナルニア国物語』の作者C・S・ルイスは、どちらも1963年11月22日に亡くなった。しかし、この日はむしろ、米国大統領のジョン・F・ケネディが暗殺され、米国中が深い悲しみにうち沈んだ日として記憶されている。

冷戦下の危機

1959年2月3日、米軍関係者が東ドイツでソビエト軍に誘拐される事件が起き、一触即発の事態となった。しかし同日、米国のラガーディア空港に着陸進入中の航空機が墜落、乗客乗員65名が死亡する事故が起き、メディアの注目はそちらに集まった。

「音楽が死んだ日」

各紙はラガーディア空港で発生したその航空機墜落事故を一面で報じた。しかし、世間の人々がさかんに話題にしたのは、同日に発生した別の航空機事故のことだった。アイオワ州のトウモロコシ畑に小型機が墜落し、人気ミュージシャンのバディ・ホリーとリッチー・ヴァレンス、J.P.リチャードソンが亡くなったのだ。いわゆる「音楽が死んだ日」の出来事である。

ジャッキー・ロビンソンのデビュー

1947年4月15日、ジャッキー・ロビンソンがドジャースの選手としてMLBの開幕戦に出場した。初の黒人メジャーリーガーの誕生だった(厳密には、MLBが現在のような体制に整備されてから初めて誕生した黒人メジャーリーガー)。しかしその翌日、テキサス州で貨物船の爆発事故が起き、メディアの関心はそちらのほうに集まった。

日本軍のフィリピン侵攻

1941年12月8日未明、日本軍はハワイにある米国海軍の拠点を急襲し、大きな戦果をあげた。真珠湾攻撃である。その攻撃があまりにも衝撃的だったので、その10時間後にフィリピンに侵攻した日本軍が米軍とフィリピン軍を打ち破り、同地を占拠したことはメディアの注目をそれほど集めなかったようだ。占領期間は日本が降伏するまで3年以上にわたった。

航空史における偉業

1912年4月16日、米国の飛行士ハリエット・クインビーが、ドーバー海峡の横断飛行に成功した。女性としては史上初の快挙である。しかし、世間はそれどころではなかった。その前日、20世紀最大の海難事故が発生していたからである。

タイタニック号の悲劇

タイタニック号は1912年4月14日の深夜から翌15日にかけて、北大西洋の冷たい海に沈没した。当然メディアはこぞって報じ、『ニューヨーク・タイムズ』紙などは何日も連続で一面をすべて使ってタイタニック号の悲劇を報じた。女性飛行士ハリエット・クインビーの偉業を伝えるスペースはほとんど残されていなかったのだ。

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