ロシア軍が被った大打撃:兵士による携帯電話の無断使用が招いた災い

侵攻以来、最大の打撃を受けたロシア軍
死者400人、負傷者300人
Telegramメッセージの内容
大晦日の出来事
アンドリー・コワレウ
ロシア側も被害を認める
ロシア側の調査
ロシア側の発表では死者89人
「戦死者数が増加」
「重大なことを仄めかしている」
深刻なショック
事態の深刻さを否定するロシア国防省
セヴリュコフ中将のコメント
原因は携帯電話
2019年に禁止された個人所有の携帯電話
便利な言い訳
侵攻以来、最大の打撃を受けたロシア軍

2023年初頭、ドネツク州の小都市マキーウカ市にあるロシア軍の大規模な基地をウクライナ軍が攻撃。ロシア軍はウクライナ侵攻始まって以来、最多の死者を出すこととなった。

 

死者400人、負傷者300人

ウクライナ当局はこの攻撃について自軍によるものだとは公言していない。しかし、ウクライナ軍の戦略通信部門はTelegramのチャンネルを通じて、この攻撃によるロシア軍の被害は死者400人、負傷者300人あまりに上ると推定。

Telegramメッセージの内容

Telegramメッセージいわく:「あけましておめでとうございます。暖房装置の不用意な使用、セキュリティ対策上の怠慢、指定された場所以外での喫煙の結果、サンタクロースはロシア兵の遺体400体あまりを袋詰めすることになりました」

大晦日の出来事

そして、「およそ300人が重軽傷を負っています。不思議なことに、これはすべて大晦日の出来事です」と綴られていた。

アンドリー・コワレウ

その後、ウクライナ軍参謀本部のアンドリー・コワレウ報道官がロシア軍の被害を公表、「敵の損失は死者・負傷者を合わせて500人あまりに上る」とした。

 

ロシア側も被害を認める

一報、ロシア側も1月4日になって、ウクライナ軍の攻撃によってマキーウカ基地に大きな被害が出たことを認めた。そして、この攻撃は米国製HIMARSから発射された6発のミサイルによって行われたとした。

 

ロシア側の調査

ロシア国防省のセルゲイ・セヴリュコフ中将はTelegramを通じてこの攻撃についてコメントを発表。実態調査のための委員会が設置されたほか、ウクライナ側が発表した死傷者数は不正確だと述べた。

 

ロシア側の発表では死者89人

セヴリュコフ中将は、動画撮影時点での死者数は89人に過ぎないと発表。また、ロシア軍の兵士が個人所有の携帯電話を利用したことで、ウクライナ軍に位置を特定されることになったとして、自軍のセキュリティ対策の甘さを批判した。

 

「戦死者数が増加」

クレムリンはマキーウカにおける被害についてはじめ63人としていたが、セヴリュコフ中将は「我が軍の戦死者数は増加してしまった」と述べ、犠牲者数の更新を行った。

 

「重大なことを仄めかしている」

『キーウ・ポスト』紙の記者は、ロシア側が発表した被害の見積もりは過小評価されており信用すべきでないとしたが、89人の死者について認めたことは何か重大なことを仄めかしているのではないかと述べた。

 

 

深刻なショック

記事によれば、「クレムリンでさえ89人の死者が出たことを公式に認めており、この攻撃が深刻なショックをもって受け止められたことを示している」とのこと。

事態の深刻さを否定するロシア国防省

ロシア国防省はこの攻撃について、戦闘地域では禁止されている個人所有の携帯電話が違法に使用されたためだとして、事態の深刻さを否定しようと試みているようだ。

 

セヴリュコフ中将のコメント

セヴリュコフ中将はTelegram上で、「これ(携帯電話の違法な利用)によって、敵は我が軍の座標を特定し、ミサイル攻撃を実行したのだ」としている。

原因は携帯電話

また『ガーディアン』紙の報道によれば、セヴリュコフ中将はロシア軍が大きな被害を受けるに至った原因について、「規則に反して、大勢の兵士たちが敵の射程圏内で携帯電話の電源を入れ、使用していたことに尽きる」と携帯電話をやり玉に挙げたとのこと。

2019年に禁止された個人所有の携帯電話

ロシア政府は2019年に、任務中の兵士が個人所有の携帯電話を使用することを禁止。ところが、ロシア兵たちはウクライナの戦場で携帯電話を手放そうとしなかった。

 

便利な言い訳

ただし、ロシア側が自軍兵士による携帯電話の使用をことさら強調するのは、ウクライナ軍の射程圏内に多数の兵士を配備するという自らの失態について、批判をかわしたいという思惑も透けて見える。

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