水中生活100日間:史上最長記録を達成したフロリダの大学准教授ジョセフ・ディトゥーリ(55)

水中生活の最長記録wota
水中生活の目的とは
水深9メートルの宿泊施設
過去の記録保持者
自らの心身状態をモニタニング
かつては米海軍の潜水士
 「International Board of Undersea Medicine」の代表
海中酸素クリニックの院長
脳疾患の新たな治療法を求めて
海洋環境の保全と理解
新しい世代を育成
子供たちの水中訪問
多忙な水中生活
水中施設での呼吸は?
水中滞在施設
トイレはどうやって?
一番恋しいものは?
100日後に踏みしめた陸地
水中生活の最長記録wota

米フロリダ州の大学准教授で研究者ジョセフ・ディトゥーリ氏が、水中生活の最長記録を打ち立てた。ディトゥーリ氏は海中に設置された宿泊施設で100日を過ごし、6月9日に地上に戻ってきた。

水中生活の目的とは

サイエンス・メディア・センターが発行する「サイエンス・アラート」によれば、ジョセフ・ディトゥーリ氏は地上よりも高い圧力のかかる水中環境が人体に及ぼす影響について研究を行っている。

水深9メートルの宿泊施設

ディトゥーリ氏は、フロリダキーズの海面から約9メートル下におかれた55平方メートルの宿泊施設に3月1日から滞在を開始し、100日間を達成する6月9日まで滞在を続けるとしていた。

写真:DrDeepSea.com

過去の記録保持者

それまでの水中生活の最長記録は、写真のブルース・カントレルとジェシカ・フェインが2014年に打ち立てた73日間だった。

自らの心身状態をモニタニング

『エル・パイス』紙によれば、ディトゥーリ氏は隔離されたせまい環境にいることがもたらす精神的影響を調べるための心理テストや、極度の圧力下におかれた身体の反応などをモニタリングするため、定期的な血液検査を受けていた。

かつては米海軍の潜水士

ジョセフ・ディトゥーリ氏は米海軍の潜水士として28年間勤務した後に退役。さらに、生体医工学で博士号を習得したこの分野のエキスパートでもある。

「International Board of Undersea Medicine」の代表

さらに、ディトゥーリ氏は海洋研究所/海洋資源開発財団と連携する団体「International Board of Undersea Medicine」の代表を務めている。

海中酸素クリニックの院長

さらに、海底酸素クリニックの院長として脳損傷、うつ病、長期にわたる精神および身体障害に対する革新的な治療法の開発を研究している。

写真:Instagram @drdeepsea

脳疾患の新たな治療法を求めて

ディトゥーリ氏は、高圧力が心身に及ぼす影響について理解を深め、その知識を臨床に生かして外傷性脳損傷やその他の関連疾患に苦しむ患者を救うことを目標にしている、と複数のメディアが伝えている。

海洋環境の保全と理解

上記の活動と並行して、海洋環境の保全そして海洋環境への理解を深めるための議論の場を設けるなど、より広範な問題に取り組むつもりだとCNNに語った。

新しい世代を育成

その意味で本プロジェクトには教育的側面もあり、若い世代に水中世界やそこで使われるさまざまな技術を紹介し、新たな研究に触れる機会を提供したいと語っている。

子供たちの水中訪問

米国公共ラジオ放送NPRによれば、ディトゥーリ氏は地元の学校の子供たちの訪問を受け入れることで、より多くの若者たちに科学、技術、工学、そして数学に興味を持ってもらいたいとしている。

多忙な水中生活

ディトゥーリ氏は准教授を務める南フロリダ大学のオンライン授業を水中から行っていたほか、海洋科学者とすすめるプロジェクトについて会議で紹介、そのストリーミング配信を行った。

写真:Instagram @drdeepsea

水中施設での呼吸は?

NPRとのインタビューで、「水圧の影響を抑えるためにつねに施設のカプセル内に空気を送り込む必要があります。この継続的なブザー音は決して快適なものではありませんが、たいせつな呼吸のためには欠かせません」と語った。

写真:Unsplash/ michal mrozek

水中滞在施設

NPRの報道によれば、水中の滞在施設内には寝室、小さなキッチン、リビングルームのほか、コーヒーマシンや冷凍食品を保管する場所もあるという。

トイレはどうやって?

ディトゥーリ氏はNPRに対し、施設にはポンプが設置されており、排水口が加圧されることで「排泄物は地表に送られ、一般の下水管に流し込まれます」と説明した。

一番恋しいものは?

ディトゥーリ氏は水中生活でストレスに感じることについて、家族や友人と離れていることに加え、海底では日光を浴びられないことを挙げている。

100日後に踏みしめた陸地

水中生活100日間の記録を達成して陸上に戻ったディトゥーリ教授は、「仕事に戻るのが楽しみですし、家族など大切な人々と会えることが楽しみです。テレビ会議だけでは足りません、やはり実際の触れ合いが必要です」と語った。

画像:Instagram@drdeepsea

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