激戦が続くアウディイウカ:ウクライナ軍がロシアの攻撃機Su-25を地上から撃墜

ウクライナ軍がロシアの攻撃機を撃墜
デムチェンコ報道官が明かす
歩兵携行式のミサイルで撃墜
高度を落としながら消える
ロシアが失った全航空機数は?
OSINT組織による計測では
Su-25は最も被害を受けている
アウディイウカで撃墜報告が相次ぐ
地上支援を目的とした攻撃機
低空飛行中を攻撃か
過去には撃墜の様子を収めた動画も
貴重なSu-25
状態のいい機体は一機約17億円
戦略的にも象徴的にも重要な目標
アウディイウカを狙う政治的・軍事的意図は
ドネツク州全体の確保に向けた戦略
ドネツク州の命運がかかる
ウクライナ軍がロシアの攻撃機を撃墜

ウクライナ軍が防衛中の町アウディイウカで、携帯式対空ミサイルを用いてロシアの攻撃機Su-25の撃墜に成功したという。アンドリー・デムチェンコ報道官が明らかにした。

デムチェンコ報道官が明かす

ウクライナ国境警備隊のアンドリー・デムチェンコ報道官によると、ロシア戦闘機の撃墜に成功したのは同隊所属のある部隊だという。RBCウクライナ放送で行われたインタビューで語られた。

写真:Media Center Ukraine by Ukrainform

歩兵携行式のミサイルで撃墜

インタビューの内容を報じた『ウクライナ・プラウダ』紙によると、報道官は次のように語ったという:「国境警備隊の隊員がMANPADS(携帯式防空ミサイルシステム)から対空ミサイルを発射し目標に命中、敵機からは煙が出ていました」

高度を落としながら消える

報道官によると、損傷を受けたロシア機は高度を落としながら地平線の彼方に消えていったという。この戦果は10月30日、ウクライナ軍参謀本部が毎日出している戦果報告に掲載された。

写真:Vitaly V. Kuzmin, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons

ロシアが失った全航空機数は?

この撃墜が事実なら、侵攻開始以来ウクライナ軍が撃墜した航空機は321機に達したことになる。とはいえ、この数字はウクライナ軍の発表に基づくものであり、必ずしも正確性は保証されていない。

OSINT組織による計測では

オランダに拠点を置くOSINT(オープン・ソース・インテリジェンス)組織「Oryx」は写真や動画などの証拠に基づき、宇露双方の損害を独自に計測している。それによると、ロシアがこれまで失った航空機は93機だとされている。

Su-25は最も被害を受けている

「Oryx」によると、93機の損害のうち85機は完全に破壊され、残りの8機は損傷を受けたとされている。損害のうち最も多数を占めるのはSu-25で、30機が破壊・損壊されている。

アウディイウカで撃墜報告が相次ぐ

今回のアウディイウカ防衛戦において、ウクライナ軍が露戦闘機の撃墜を報告するのは初めてではない。戦闘開始の最初の週には、オレクサンドル・タルナフスキー准将が3機の撃墜を報告している。

地上支援を目的とした攻撃機

准将の報告に一定の信憑性をもたらしているのは、Su-25が地上支援を目的とした機体として設計されているという点だ。軍事ニュースサイト「Military Today」が指摘するように、同機は「ロシアの地上攻撃部隊の大黒柱」となっている。

低空飛行中を攻撃か

『ビジネスインサイダー』のシニード・ベイカーはこう書いている:「Su-25は低空飛行して地上部隊を支援するように設計されている。だが、低空を飛ぶと防空システムに対しては脆弱になってしまう」ウクライナの地上部隊はまさにその弱点をついた可能性があるわけだ。

写真:Vitaly V. Kuzmin, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons

過去には撃墜の様子を収めた動画も

ウクライナ軍はこれまでもMANPADS(携帯式防空ミサイルシステム)を用いてSu-25を撃墜しており、その様子を収めた動画をSNSに公開することもあった。例えば第10独立山岳強襲旅団が9K38イグラを用いてSu-25を撃墜する様子が確認できる。

貴重なSu-25

戦闘機の喪失がロシア軍にとって無視できない損害なのは当然だが、Su-25の撃墜は特に重要な意味を持つ。というのも、「Military Today」によると、ロシア軍は同機を約250機ほどしか保有していないからだ。

状態のいい機体は一機約17億円

また、同サイトによると良好な状態のSu-25は一機あたり約1,100万ドル(約17億円)もの価値があるのだという。そのような機体を複数危険にさらしていることからも、ロシア軍がアルディイウカを非常に重要な目標とみなしていると判断できる。

写真:Fedor Leukhin, CC BY-SA 2.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0>, via Wikimedia Commons

戦略的にも象徴的にも重要な目標

『ニューズウィーク』誌のエリー・クックによるとロシア軍はアウディイウカ攻略を複数回試みているものの、いまだに防衛線を破れていないのだという:「アウディイウカを占領することはロシアにとって戦略的にも象徴的にも重要なものとなるだろう」

アウディイウカを狙う政治的・軍事的意図は

アウディイウカでの勝利は、3月に選挙を控えるプーチン大統領にとって政治的に重要なだけでなく、ドネツク州全域の攻略を狙うロシア軍の橋頭堡となるという軍事的意味もある。

ドネツク州全体の確保に向けた戦略

『ワシントン・ポスト』紙はこう書いている:「アウディイウカを占領すれば前線に60kmほどの穴を開けることになり、占領したドネツク市から他の都市への通路が開ける。これはドネツク州全体の占領を目論むプーチン大統領にとっては必須の目標だ」

ドネツク州の命運がかかる

アウディイウカ占領を狙うロシア軍だが、11月初頭時点ではいまだに大きな戦果を挙げられていない。だが、もしロシア軍に占領を許してしまうと、ウクライナとしては非常に大きな痛手となる。ドネツク州全体の命運がアウディイウカにかかっているかもしれないのだ。

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