犠牲者3万5,000人を超すガザ地区:写真で追う惨状
ガザ地区では子供や女性、高齢者を含む一般市民が戦禍に巻き込まれている。とりわけ、南部の主要都市ラファでは、140万人もの人々が生命の危機に晒されている。
家族を失い、泣き崩れる男性(ガザ地区ラファにて)。地元当局によれば、ガザ地区ではイスラエル軍による攻撃が続いており、犠牲者数はすでに3万5,000人を大きく超えている。あまりにも多いように思えるが、複数の国際組織から妥当な数字だと判断されている。
ガザ地区では、病院ですら安全な場所とは言い難い。というのも、イスラエル軍は医療施設がハマスの指導者やメンバーをかくまう隠れ家になっていると見ており、攻撃を行っているためだ。
イスラエルはガザ地区への出入りを厳しく管理しており、区域内ではあらゆるものが不足している。BBC放送は昨年12月の段階で、「ガザ人口の半数が飢餓に直面:国連が警告」という記事を掲載した。
一方、子供の権利擁護を掲げて活動するNGO「セーブ・ザ・チルドレン」は2023年1月、イスラエルによる攻撃が始まってから最初の100日間で1万人の子供たちが犠牲になったと発表。
このような惨状を前に多くの国際組織が即時停戦を呼び掛けているが、国境なき医師団もその1つだ。同組織のクリストファー・ロックイヤー事務局長は国連の場で、停戦がなされなければ「私たちの良心に癒えない傷が残ることになるだろう」と警告した。
また、人命だけでなく建造物や都市そのものへの被害も甚大だ。『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙は、昨年12月までにイスラエル軍が爆弾や弾頭を同地区に3万発も打ち込んだと見ている。
『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙によれば、ガザ地区にある住居の70%が爆撃によって被害を受けたり倒壊した可能性があるとのこと。
戦争はきまって悲惨なものだが、ガザ地区の場合、イスラエル軍の圧倒的な戦力によって被害は極限に達している。住処を失う人々が続出する中、暖房用の燃料が不足、電力が届かない地域も多い上、食糧不足も深刻だ。
昨年10月7日にハマスが行った攻撃は国際法を無視したものであり、1,000人あまりが犠牲となったほか、およそ240人が拉致されてしまった。とはいえ、イスラエル側の対応も度が過ぎており、国際社会ではイスラエルの自衛権を認めつつも即時停戦を求める声が高まっている。
これほどまでに破壊され尽くしてしまったガザ地区。果たして、暴力の応酬の先にパレスチナ問題を解決する道は残されているのだろうか?
4月28日、米国のバイデン大統領はイスラエルのネタニヤフ大統領との電話会談を通じ、ガザ最南部ラファへの攻撃は「超えてはならない一線」だとした。
しかし、4月30日にイスラエルのネタニヤフ首相は、戦闘休止合意の有無にかかわらずラファに対する攻撃を実施し「完全な勝利を達成」すると述べた。