画像で追う:ブラジル議会襲撃の顛末

暴徒化した人々による「テロ行為」
政府庁舎に侵入、破壊行為を繰り広げる
仕組まれた犯行?
ボルソナロ前大統領支持派の集まり
予測可能だった襲撃
首都公安長官を解任
米国に滞在中のボルソナーロ前大統領と元法相
首都ブラジリアの知事も停職
ブラジリア当局は暴動を黙認?
「当局の同意と実質的な加担」
庁舎侵入を許した憲兵隊
暴力行為
破壊行為
略奪行為
過激派によるクーデターの扇動
「神・祖国・家族」
脆弱な警備
引き下がらない暴徒たち
警察に対する暴行
ついに暴徒追い出しに成功
逮捕者は1,500人以上
テロ行為の責任
連邦政府の介入を決定
「社会秩序に重大なリスク」
「狂信的な侵略者たち」
「かつて一度も行われたことのないこと」
前大統領を強く非難するルーラ大統領
最高裁を攻撃していたボルソナロ前大統領
前大統領の息子が口にした独裁令
世界から上がる非難の声
「容認できない」とするジョー・バイデン米大統領
反民主的行為に懸念を表明するEUと国連
暴徒化した人々による「テロ行為」

1月8日(日)、前ブラジル大統領ジャイル・ボルソナロの支持者たちが首都ブラジリアに集まった。数千人に膨らんだ支持者たちは暴徒と化し、政府庁舎に押し入り略奪行為に及んだのだ。

政府庁舎に侵入、破壊行為を繰り広げる

ブラジル国旗の色である緑と黄色を身にまとった前大統領の支持者たちは、国会議事堂の屋根に上り、窓ガラスを割って建物内に侵入し、庁舎内の家具や美術品を破壊。駆け付けた警察と激しい衝突を繰り広げた。

仕組まれた犯行?

去年の大統領選挙では左派のルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァが当選したが、これを快く思わないボルソナロ前大統領支持派たちは不満を募らせていた。そし1月7日(土)にバスやマイカーで首都ブラジリアに乗り込んでいたのだ。

ボルソナロ前大統領支持派の集まり

昨年10月から、国会議事堂、最高裁判所、大統領府が向かい合う首都ブラジリアの中心「三権広場」から約7kmの距離に、こうしたボルソナロ前大統領支持派が集まるキャンプが形成されていた。現政権に反対する過激派の拠点となっていたのだ。

予測可能だった襲撃

数日前からこうした反乱組織から何人もの逮捕者が出ていたが、首都ブラジリアから送り込まれた警察の数は決して十分ではなかった。

首都公安長官を解任

今回の大規模暴動を受けてイバネス・ロシャ知事は、ブラジリア連邦直轄区の公安長官アンデルソン・トーレス(前政権で法相を務めていた)を解任した。

米国に滞在中のボルソナーロ前大統領と元法相

ただし当のアンダーソン・トーレス公安長官は、ボルソナロ前大統領と同じく昨年末から米国に滞在している。ボルソナロ前代大統領は9日(月)、「腹部の痛みを訴え」入院し、ベッドの上から自身の写真を投稿した。

首都ブラジリアの知事も停職

ブラジリアのイバネイス・ロシャ知事もまた、最高裁判所判事アレクサンドル・デ・モラエスにより90日間の停職処分を言い渡された。

ブラジリア当局は暴動を黙認?

最高裁判所のアレクサンドル・デ・モラエス判事は、ブラジリア当局が今回のクーデターおよび略奪行為を黙認したと見ている。

「当局の同意と実質的な加担」

モラエス判事はこうした状況について声明を出し、「当初デモとされていた集まりはSNSを通じて情報が拡散され、規模が拡大した。また、三権広場で行われた襲撃行為は公安当局による同意、さらには実質的な加担があって初めて起こりうるものだ」とブラジリア当局を断じた。

庁舎侵入を許した憲兵隊

政府庁舎の警備を担うブラジリアの憲兵隊について、襲撃を食い止めなかったことを確認できる映像がいくつも見つかっている。その中には、憲兵が暴徒と一緒に写真を撮ったものさえあるという。

暴力行為

画像は1月8日にボルソナロ派の過激派たちが襲い掛かった場所のひとつ。

破壊行為

暴徒たちは石や材木を手に国会議事堂、最高裁判所そして大統領府に押し入り、破壊行為に及んだ。

 

略奪行為

大統領府、別名「プラナルト宮殿」を襲った暴徒たちが可能な限りの略奪をするつもりでいたことは明らかだ。

過激派によるクーデターの扇動

市内にはクーデターを呼びかけるポスターや横断幕があちこちに貼りだされていた。暴徒化した人々は、新大統領ルーラによる統治を阻止すべく軍がクーデターを起こすべきとしていたのだ。

「神・祖国・家族」

首府を襲うという暴挙に加わった々は「神はすべてにまさる」、「神・祖国・家族」といったスローガンを掲げていた。

脆弱な警備

暴徒化した人々は警察の封鎖をいとも簡単に突破し、政府庁舎に押し入った。

引き下がらない暴徒たち

さらに多くの治安部隊が到着したが、ボルソナロ氏支持者たちは引き下がらなかった。画像は議会前の池に落とされた警察車両。

警察に対する暴行

実際、ソーシャルネットワークやメディアを通じ、馬に乗った警察官が暴徒たちに殴られ、地面に叩きつけられる映像が流布している。

ついに暴徒追い出しに成功

その間にも国会議事堂や最高裁判所は暴徒たちに荒らされていった。しかし1月8日(日)の夜、ついに国軍が暴徒たちを退去させることに成功した。ボルソナロ氏支持派の人々が設置した数多く尾のテントは警察により取り払われつつある。

逮捕者は1,500人以上

時間が経つにつれて逮捕者数は増加、ついに1,200人を突破したという。また、資金提供者も特定されていった。フラビオ・ディノ法務大臣によれば、暴動に加わった者は20年の禁固刑に処される可能性もあるという。

テロ行為の責任

連邦最高裁のアレクサンドル・デ・モラエス判事は、「テロリストはもちろん、資金提供者、扇動者、そして元・現職の当局者も民主主義と共和国制度に対するテロの責任を問われることになるだろう」と断じた。

連邦政府の介入を決定

深刻な事態に直面したルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ大統領は、連邦政府が首都の治安維持に介入することを決定した。

「社会秩序に重大なリスク」

これは「社会秩序に重大なリスク」がある場合に発令可能とされる、1988年憲法に定められた法令だ。連邦政府が州の権力に介入することが認められている。

「狂信的な侵略者たち」

ルーラ大統領は声明を通じ、首都で行われたテロ行為を強く非難した:「狂信的なナチス、狂信的なファシストと呼べるこうした人々は、この国の歴史においてかつて一度も行われたことのないことを行った」

「かつて一度も行われたことのないこと」

さらに、「国旗を巻き付け、ブラジル代表のジャージを着て、ナショナリストを気取り、ブラジル人だと自負して今回の暴動のような行為に走る者が出ないよう、暴徒たちをしっかり罰することが必要だ」と続けた。

前大統領を強く非難するルーラ大統領

ルーラ現大統領は、前大統領ジャイル・ボルソナロに対しても強い非難を口にした:「彼は殺戮者として暴動を仕掛け、挑発し、誰もが知っている通りSNSを通じていまだに扇動を続けているのだ」

最高裁を攻撃していたボルソナロ前大統領

ジャイル・ボルソナロ前大統領は政権時代に何度も最高裁を攻撃していた。アレクサンドル・デ・モラエス最高裁判事を侮辱していたばかりか軍事介入まで呼び掛けていた。しかも、フェイクニュースの拡散など、さまざまな疑惑に関する司法調査を受け入れようとしなかった。

前大統領の息子が口にした独裁令

ボルソナロ前大統領の息子エドゥアルド・ボルソナロは、ジャーナリストのレダ・ナグレのYoutubeチャンネルでのインタビューにおいて、ボルソナロ政権に対して街頭で行われていた抗議行動に対し、「AI-5」(独裁的かつ暴力的な法令)を発令するという脅しまで行っている。

世界から上がる非難の声

8日(日)にブラジリアで行われた大統領府や国会議事堂への侵略行為について、世界各国の指導者が非難の声を挙げた。その中には、ジョー・バイデン米国大統領も含まれている。

「容認できない」とするジョー・バイデン米大統領

ジョー・バイデン米大統領は、「民主制度に対し暴力を行使することは決して容認できるものではない。我々はルーラ大統領とともに、こうした暴力行為を直ちに停止するよう求める」とした。

反民主的行為に懸念を表明するEUと国連

イグナシオ・イバネス駐ブラジルEU大使は「ブラジル政府を全面的に支援する」ことを宣言。国連特別報告者クレマン・ヴールもまた、「こうした行為、およびブラジルの民主的選挙を弱体化させるあらゆる試みを非難する」という国際機関の立場を明らかにした。

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