トランプ元大統領とその子供たちのデマ発言は「3万回以上」

トランプ元大統領の発言
四年間の任期中に多くの嘘
SNSから追放
カエルの子はカエル
ティファニー以外は家族で事業を
トランプ・チルドレンによるデマ発言
LGBTQ+の権利問題
オバマ大統領時代には前進が
性的マイノリティにとってトランプ氏の大統領就任は恐怖
「私の父はいつもマイノリティの人たちを援助してきた」
性的マイノリティの現実には疎い
権利に反する決定を下していた
世論を二分した大統領
「歴史上、これほど愛された政治家は存在しません」
もっとも分断を加速させた大統領
リーマンショックからの回復
トランプ氏が就任したころにはすでに景気は回復
「かつてないほど多くの国民にとって、アメリカン・ドリームが実現」
2019年には雇用が失速
ピザゲート
人身売買が党派的問題に
「文明の汚点」
「あなたがたのために戦った大統領」
誤解もある
トランプ元大統領の発言

多くの人が気づいているだろうが、ドナルド・トランプ元大統領にとって「真実」という言葉の持つ意味は通常一般とは少し異なる。控えめに言っても、トランプ元大統領と真実のあいだには「複雑な関係」がある。

四年間の任期中に多くの嘘

『ワシントン・ポスト』紙によると、トランプ元大統領は大統領在任中、30,573回も嘘を述べたという。

SNSから追放

真実に対する軽い認識と、事実をすぐに批判してねじ曲げようとする姿勢のせいで、トランプ元大統領はあらゆる主要SNSからアカウント停止などの措置を受けた。ツイッターやフェイスブック、インスタグラムといったプラットフォームは、元大統領のような強い影響力を持つ人物にとって、危険なテーマについての偽情報を拡散することが許される規模ではもはやないのだ。

カエルの子はカエル

「カエルの子はカエル」「この親にしてこの子あり」などの表現はありふれたものだが、トランプ元大統領の子供たちについて言えば、こういった言葉がこれ以上なくあてはまってしまっている。元大統領の子供たちも同様に、何年にもわたるデマ発言の実績があるのだ。もはや一族の才能とすら言えるかもしれない。

ティファニー以外は家族で事業を

トランプ元大統領の子供たちのうち、ドナルド・トランプ・ジュニア、イヴァンカ、エリックの3人はみな一族の事業に携わっている。ティファニーはまだ一緒に働いてはいないが、父親の資金援助をあてにしている。元大統領が一族の財布を握っている以上、子どもたちが父親の言うことを聞き、父親がどんなにおかしなことを言ってもそのサポートに回るのは当然でもある。

トランプ・チルドレンによるデマ発言

一族はもちろん前回の大統領選挙には不正があったと主張しているわけだが、ほかにはどのようなデマを述べているだろうか。トランプ元大統領の子供たちによるデマ発言を振り返ってみよう。

LGBTQ+の権利問題

LGBTQ+の人びとは長きにわたって自分たちの権利と法的保護を求めて戦ってきた。その道のりは決して平坦ではなく、一進一退の状況が続いている。

オバマ大統領時代には前進が

だが、オバマ大統領時代(2009-2017)にはようやく大きな進歩がみられた。BBCニュースによると2015年にはアメリカの50州すべてで同性婚が合法化。また、アメリカの放送局NPRによると、2016年には全米の学校に通知が出され、学校で「トランスジェンダーの生徒をハラスメントから守り、それぞれの生徒が希望する名前や代名詞を尊重、トイレや更衣室も選択させる」ようガイドラインを示した。

性的マイノリティにとってトランプ氏の大統領就任は恐怖

だが、保守層はこういった措置に不満をいだいていた。トランプ元大統領の当選も、そういった措置を撤回させようとする保守層に支えられていた。従って、LGBTQ+の人びとにとってはトランプ元大統領が大統領に選ばれたのは最悪の事態だった。だが元大統領の娘、ティファニー・トランプはそういった事情をまったく理解していなかった。

「私の父はいつもマイノリティの人たちを援助してきた」

『マーキュリー・ニュース』によると、2020年、ティファニー・トランプが、性的マイノリティをターゲットにしたトランプ元大統領の政治集会「トランプ・プライド」で演説。ティファニーはそこで父親の考え方に関する「誤解」を払拭しようとしたようだ。ティファニーはこう語った:「悲しいことがありました。友だちがやってきて、私にこう言ったんです。『どうして父親を支持するんだ? おかしいじゃないか、君の友だちにはゲイの人も多いのに!』と。私の父はいつもマイノリティの人たちを援助してきたのに」

性的マイノリティの現実には疎い

「友だちにはゲイの人も多い」割には、ティファニーは父親が大統領だった時にLGBTQ+コミュニティが受けた被害についてはあまり詳しくないらしい。

権利に反する決定を下していた

アメリカの報道機関『プロ・パブリカ』によると、トランプ氏は大統領時代にLGBTQ+の権利に反する決定を31も下している。たとえば連邦公民権法に基づく保護の撤回、トランスジェンダーの人の軍隊への入隊禁止、職場での権利の撤回、そしてトランスジェンダーの学生による、トイレから締め出されたという苦情への調査の中止などだ。アメリカで性的マイノリティに関するモニタリングを行っている非政府組織GLAADは、トランプ元大統領がLGBTQ+コミュニティに対して生じさせた被害についての包括的なリストを作成しており、そこではここには載せきれないほどの被害が挙げられている。

世論を二分した大統領

近年では分断が進み、多くのアメリカ人の意見が一致する話題も少ない。それでも、最近の大統領の中ではトランプ元大統領がもっとも好悪の分かれる人物だったという点には異論は少ないだろう。アメリカの政治状況はトランプ支持派と反対派にはっきりと二分され、どちらでもないという意見の居場所は広くなかった。

「歴史上、これほど愛された政治家は存在しません」

だが、息子のエリック・トランプの意見ではドナルド・トランプ元大統領はアメリカ合衆国の歴史上もっとも人びとに愛された大統領だったのだという。ショーン・ハニティが司会を務める『フォックス・ニュース・ショー』でのインタビューで、エリック・トランプは次のように述べている:「私たちの国の歴史上、これほど愛された政治家は存在しません。7500万人もの有権者が、ドナルド・トランプのためなら地の果てまでもついていくというのですから。みんな彼を愛しているんです。彼が体現するものを」

もっとも分断を加速させた大統領

2021年1月20日、トランプ元大統領が職を辞したタイミングで行われた世論調査は、まったく異なる結果を示している。調査によると、当時の支持率はたった34%。オバマ元大統領が8年の任期のあとも59%の支持率を保っていたのとは対照的だ。さらに、アメリカのシンクタンク、ブルッキングス研究所のレポートではこう言われている:「功績の観点からも最下位になったのみならず、専門家の調査の結果、トランプ大統領(当時)はアメリカをもっとも二分した大統領でもあった」

リーマンショックからの回復

バラク・オバマ氏が大統領に就任したのはリーマンショック直後。大恐慌にも匹敵するような経済的危機の時代だった。『フォーブズ』誌によると、2009年アメリカ復興・再投資法の制定によって、オバマ元大統領はすばやく事態を収拾、景気を刺激しようとしたとされる。

トランプ氏が就任したころにはすでに景気は回復

ファクトチェック団体、「Factcheck.org」の調査が正しければ、トランプ氏が大統領に就任した時点ですでに株価は歴史的高値を記録。さらに1160万もの雇用が創出され、健康保険が使える人が1500万人増加、地価も20%上昇していたという。

「かつてないほど多くの国民にとって、アメリカン・ドリームが実現」

トランプ・ジュニアの父親への忠誠心は盲目的なまでで、こういった経済再生はすべて父のおかげだと信じているらしい。2020年の共和党全国大会でのジュニアの演説では、父親が成し遂げた(と彼が信じる)さまざまな実績が語られた。ジュニアはこう主張した:新型コロナウイルスによるパンデミック到来以前、アメリカ合衆国は「かつてないほど多くの国民にとって、アメリカン・ドリームが実現していた」「オバマとバイデン時代に鈍化した成長が、トランプ大統領によって爆発的に加速した」

2019年には雇用が失速

トランプ・ジュニアよりはよほど信頼のおけるメディアである『ワシントン・ポスト』紙によると、たしかにトランプ大統領時代に所得は(たったの)3%増加し、「消費者・事業者の自己肯定感」は上昇したという。だが同紙によると、同時に「製造業の生産量や雇用創出は2019年に失速。こういった統計は、これから経済的な問題が拡大することを懸念させる」のだという。

ピザゲート

「ピザゲート」騒ぎのことを覚えているだろうか? いまでは完全に否定された陰謀論だが、2016年には世界中で話題になっていた。『タイム』誌が伝えるところによると、この陰謀論では、ピザ屋の地下で人身売買や児童性的虐待が行われており、しかもそれに当時大統領候補だったヒラリー・クリントン氏まで関わっているとされた。

人身売買が党派的問題に

多くの有名人や政治家がこの陰謀論のやり玉に挙げられ、虚偽の嫌疑で攻撃された。ただし、人身売買に関わっていると攻撃された人びとにはひとつ共通点があった。ドナルド・トランプ候補(当時)を声高に批判していたのだ。こうして、トランプ氏の支持者やQアノン(インターネット上で広まる陰謀論コミュニティ)が取り上げたおかげで、人身売買が党派的な政治問題と化した。選挙の結果トランプ氏が大統領に就任すると、人身売買対策は政策の要となった。

「文明の汚点」

トランプ元大統領の長女、イヴァンカ・トランプがこの問題を取り上げ、大々的に対策を進めるとアピールした。CNNによると、2017年、イヴァンカ・トランプは(人身売買は)「文明の汚点」だと発言したという。後年、2020年の共和党全国大会でのスピーチでもイヴァンカはトランプ元大統領がこの問題に対して成し遂げた功績を讃えている。

「あなたがたのために戦った大統領」

イヴァンカはこう言っている:「昼夜の別なく、あなたがたのために戦った大統領がいました」「人身売買という邪悪な営みと戦うために、九つもの法を制定した大統領がいました。私はその人の横で働いていたのです」

誤解もある

だが、イヴァンカのこの発言には誤解があるようだ……ほんの少しだが。『USAトゥデイ』紙の報道によると、議会のウェブサイトで確認できる限り、トランプ元大統領は「人身売買に関する二つの大統領令」および「(犯罪組織を)監視する三つの布告」を出しただけだという。同紙ははっきりとイヴァンカの発言には混乱があることを指摘、「彼女のいう『九つもの法』とはトランプ元大統領が児童人身売買に対して提出した大統領令のことだろう」とも述べている。

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