知ると面白い! 日本企業の社名の由来

企業名に秘められたエピソード
カネボウ
鐘淵紡績株式会社
カネボウ化粧品の誕生
カネカの由来は鐘淵化学工業株式会社
クラシエの誕生
大正製薬
パブロンの由来
ぺんてる
画伯の命名
文具スーパー 事務キチ
平凡社
カネテツ
ヤクルト
ヤマト運輸
子供の絵がヒントに
企業名に秘められたエピソード

ふだん何気なく目にしたり、耳にしたりしている企業の名前。その名前の由来をたどっていくと、思わぬ発見があることも。

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カネボウ

口紅など化粧品のコマーシャルでよく耳にする「カネボウ」。正式名称は「株式会社カネボウ化粧品」である。2004年に設立され、2006年からは花王グループの傘下におさまっているが、その歴史をずっとたどっていくと、1887年(明治20年)に創立された「東京綿商社」に行き着く。

鐘淵紡績株式会社

東京綿商社は、三越、大丸、白木屋など東京の繰綿(くりわた)問屋5店が出資してできたもので、現在の墨田区鐘ヶ淵に紡績工場を建設、1893年には社名を「鐘淵紡績株式会社」に改めている。「カネボウ」とはすなわち、「鐘ヶ淵」と「紡績」のことなのだ。

写真:Public domain, via Wikimedia Commons

カネボウ化粧品の誕生

鐘淵紡績は事業を拡大、綿糸だけでなく絹糸も扱いはじめ、1936年には蚕のさなぎからとれる油で石けんを作り、「絹石鹸(SAVON DE SOIE)」として販売した。カネボウ化粧品のブランド・ストーリーによれば、「国産高級化粧品を製造販売する『カネボウ化粧品』」は、この国産高級石けん「サボン・ド・ソワ」とともに誕生したのだという。

画像:カネボウ化粧品ホームページ

カネカの由来は鐘淵化学工業株式会社

ところで、大手化学メーカーの「カネカ」は、もともとは「鐘淵化学工業株式会社」といい、カネボウから繊維事業以外を分離するかたちで1949年に設立されたものである。したがって化粧品事業もそのとき「鐘化(カネカ)」へ移されたのだが、1961年にカネボウのもとに復帰している(クラシエホームページより)。

画像:カネカホームページ

クラシエの誕生

しかし、さまざまな分野に事業を拡大したカネボウは2004年に経営破綻となった。その後、化粧品事業は花王に(株式会社カネボウ化粧品)、そして繊維事業は福井の老舗繊維メーカー「セーレン」が引き継ぐ形となり(KBセーレンの誕生)、食品、日用品、薬品の事業は「クラシエ」という新商号のもとで再スタートを切った。

画像:クラシエホームページ(2008年の新聞広告)

大正製薬

大正製薬の前身である「大正製薬所」の創業は1912年、つまり大正元年のことだったので、社名も大正としたようである(1948年に商号は「大正製薬株式会社」に変更)。同社の有名な製品に「パブロン」という風邪薬があるが、その名を冠した薬はすでに1927年に登場している。ただしそのころは鎮咳去痰薬、すなわち咳止めと痰きりの薬という扱いだった。

パブロンの由来

ちなみにパブロンというのは、「Pan(すべての)とBronchitis(気管支炎)との合成語」で、「すべての咳に」という意味だという。現在も使われているワシのマークが商標として登録されたのは1955年、もう一つの主力商品、「リポビタンD」の誕生は1962年のことだ。

ぺんてる

筆ペンなどに定評のある「ぺんてる」は、もとは大日本文具株式会社として1946年に創業した。同社は1951年にオイルパステル「ぺんてる」を発売し、これがのちの社名となった。

画像:ぺんてるホームページ

画伯の命名

では商品の「ぺんてる」の由来はというと、同社によると「ペインティング(塗る)の『ペン』と、パステルの『テル』を合わせたネーミングで、宮田重雄画伯より命名頂きました」とのこと。やがて会社のほうも「ぺんてるさん」と呼ばれるようになり、1971年に現在の「ぺんてる株式会社」に改名したという。

文具スーパー 事務キチ

「文具スーパー 事務キチ」は、長野に本社に置く「株式会社つちや」が1994年に始めた郊外型文具専門ディスカウント店である。店舗ホームページによると、「事務用品類の情報発信基地」、略して「事務キチ」だという。ならば「事務基地」とすべきところかもしれないが、「店名としては堅さや暗さがあり、ふさわしくない」との判断が働いたとのこと。たしかに、カタカナか漢字かで受け取る印象はずいぶん異なってくる。

平凡社

「日本でいちばん平凡な名前の出版社」を自負する平凡社は、1914年(大正3年)の創業である。創業者は下中弥三郎は、秋永常次郎と共編の小辞典(外来語・新語・慣用句の用語集)を別の出版社から1913年に出していたのだが、その出版社が破産してしまったため、みずから新しく出版社を立ち上げてこの小辞典をふたたび刊行したのである。社名はなかなか決めかねたようで、そばで見ていた妻の「平凡社はどう」の一言で決まったという。

画像:平凡社ホームページ

カネテツ

かまぼこで有名な「カネテツ」の社名の由来は、同社によれば、「創業者である、村上鐵雄(むらかみ てつお)の“てつ”と、妻の村上かなめ(むらかみ かなめ)の“かなめ”」からとられたものである。創業当時の社名は「かねてつ蒲鉾株式会社」だったという(現在は「カネテツデリカフーズ株式会社」)。

画像:X @tecchan_60

ヤクルト

ヤクルトの名前の由来は、同社によると、エスペラントでヨーグルトを意味するヤフルト(jahurto)からきているという。「ヤクルト」の製造・販売は1935年、福岡で始まったとのこと。

画像:X @Yakult_Man

ヤマト運輸

「クロネコヤマト」で知られるヤマト運輸、あのクロネコマークの由来はなんだろう? 同社によると、ヤマト運輸はもともと「銀座でトラック4台を保有するトラック運送会社として」1919年にスタートしたという。クロネコのマークが生まれたきっかけは、1957年にアメリカの運送会社アライド・ヴァン・ラインズ社と業務提携を結んだことだった。

画像:X @yamato_19191129

子供の絵がヒントに

アライド・ヴァン・ラインズ社のマークは、親猫が子猫をくわえて運ぶ様子を描いたものであり、この使用許諾をもらって、当時の大和運輸広報担当者がデザインし直したのがあのクロネコなのだ。本家のものよりずっとデフォルメされているが、そのデザインは広報担当者の娘が画用紙に描いた絵がヒントになったとされている。

画像:Unsplash Michael Sum Cat

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