米共和党も一枚岩ではない? トランプ元大統領の抱える不安要素とは
11月に迫るアメリカ大統領選挙で現職のバイデン大統領を破る可能性もささやかれているトランプ元大統領だが、表面的な人気の裏にはいくつも問題を抱えている。ふたたびアメリカ大統領の地位に返り咲くには越えねばならない障害がいくつも存在するのだ。
ニッキー・ヘイリー候補者が撤退したことで、ついにバイデン大統領との再戦が確実となったトランプ元大統領。はたして勝算はあるのだろうか。
3月5日の通称「スーパーチューズデー」での結果から、トランプ元大統領がバイデン大統領に勝つことができるのかどうか疑問視する専門家も存在する。実際、いくつかの重要な州ではニッキー・ヘイリー候補者もかなりの票を得ていたのだ。
たとえば『ニューズウィーク』誌では、スーパーチューズデーにおいてヘイリー候補者が20~40%もの票を得た州が複数存在すると指摘されている。この事実は、トランプ元大統領がバイデン大統領にほんとうに勝てるのかという観点から無視できないものだ。
ヘイリー候補者に投票した共和党員はマサチューセッツ州では37%、コロラド州で34%、ミネソタ州で29%、そしてノースカロライナ州では23%にのぼった。さらに、NBCニュースによる出口調査では、有権者たちによるトランプ元大統領への支持も決して盤石ではないという実態が明らかになっている。
ヘイリー候補者の得票率が示しているのは、共和党内にもトランプ元大統領に投票しない層が存在するということだ。大統領選挙でこの層がトランプ氏とバイデン大統領のどちらに投票することになるかはわからないが、予測にあたっていくつかの手掛かりは存在する。
ノースカロライナ州、ヴァージニア州、カリフォルニア州では共和党員のおよそ3分の1がトランプ氏には投票しないと表明している。さらに、そういった有権者はトランプ氏が現在抱えている裁判の行方も懸念しているようだ。
トランプ元大統領は現在複数の訴訟を抱えており、仮にトランプ氏が有罪判決を受けた場合、大統領の職に就くのは相応しくないと答えた共和党員の割合はヴァージニア州で37%、ノースカロライナ州で31%、カリフォルニア州で23%だったという。NBCニュースが報じている。
さらに、NBCニュースはこうも指摘している:「トランプ氏は大卒以上の有権者からの支持を集めるのに苦労している。民主党支持者の多い高学歴層から票が奪えないというのは憂慮すべき事態かもしれない」
ヴァージニア州ではトランプ元大統領に投票した大卒以上の共和党員は47%で、ヘイリー候補者に3%後れを取った。ただし、ノースカロライナ州ではトランプ氏が59%、カリフォルニア州では77%と過半数を取っている。
とはいえ、大卒者集団のような個人がトランプ元大統領の再選に及ぼす影響は限定的で、より重要なのは共和党員でありながら絶対にトランプ氏には投票しないと決めている「ネバー・トランプ」層だろう。
政治コメンテーターのモリー・ジョン=ファストがCNNの取材に応じ、トランプ元大統領が直面している問題について解説している。それによると、トランプ氏が筆頭候補となっている共和党内にも「ネバー・トランプ」派は多いのだという。
『ニューズウィーク』誌によると、ジョン=ファストはCNNでこう語ったという:「トランプ氏はこれまで、共和党の予備選挙における有権者のみをターゲットにしてアピールしてきましたが、そのグループを十分にまとめることができていません」
ジョン=ファストはさらにこう続けている:「2016年の大統領選挙でトランプ氏は、これまでほとんど選挙に行かなかった層を動員しました。だから予測が外れたんです。ですが、今回はあの時のような熱狂状態は作れていません」
スーパーチューズデーでの結果は芳しくなかったとはいえ、支持率調査においてはやはりトランプ元大統領のほうがバイデン大統領よりも優勢なようだ。「RealClearPolitics」が行った3月7日時点での調査では、トランプ氏の方が支持率において1.8%上回っていた。
トランプ元大統領はスーパーチューズデーの結果を「大きな勝利」と呼び、こう語っている:「有識者にもふつうの人にも、こんなことは初めてだと言われた。これほど決定的な結果が出ることは今までなかったことだ。素晴らしい。素晴らしい夜だ」