米首都ワシントンで旅客機とヘリが衝突、ポトマック川で機体の回収がすすむ
写真は米首都ワシントンを横切るポトマック川だ。現地時間29日の午後9時ごろ、首都近郊にあるロナルド・レーガン空港に向けて着陸態勢に入っていた小型旅客機と米軍のヘリコプターが衝突、両機は近くのポトマック川に墜落した。
事故に遭った旅客機はカンザス州ウィチタを出発して首都ワシントンに向かっていたアメリカン航空5342便で、凍てつく寒さの中でポトマック川で生存者の捜索や機体の回収が行われている。米ABCテレビによれば事故当時の気温は10度、ポトマック川の水温は2.2度だったという。
CNNが伝えたワシントン市長の声明によれば、旅客機には乗客60人と乗員4人の合計64人、米軍のヘリコプターには3人が搭乗していたという。
『ガーディアン』紙は米フィギュアスケート連盟の発表として、事故機には多くのフィギュアスケート選手やコーチ、その家族が搭乗していたと伝えている。関係者たちは、カンザス州で開催された全米フィギュアスケート選手権そして現地で行われた合宿に参加して帰宅するところだったのだ。
ロシア国営タス通信の発表によれば、元フィギュア世界王者のロシア代表ペアで、現在は米国でコーチをしているエフゲーニヤ・シシコワさんとワジム・ナウモフさん夫妻も行方不明者に含まれているという。
地元の報道によれば、これまでのところ生存者は見つかっておらず、低水温の中で捜索活動は難航を極めているという。
CNNは警察関係者の話として、ポトマック川で40人以上の遺体が回収されたと伝えた。
米CBSニュースは、事故機の破片や犠牲者の遺品とみられるものなどがポトマック川岸に打ち上がりはじめたと報じた。クリス・ヴァン・クリーブ特派員は、旅客機は衝撃によりいくつかに分断されていた一方、落下したヘリコプターは「逆さまになったものの、原形をとどめている」と伝えた。
同特派員は続けて、潜水作業をしていた消防士が旅客機の残骸から、飛行データと操縦室の音声を収めた「ブラックボックス」を回収したと報じた。これにより事故原因の究明が進むものとみられる。
事故当時の状況はまだ明らかになっていないが、CNNが入手した情報によれば、事故直前にヘリコプターのパイロットが管制官に対し「航空機が視界に入った」と言う音声記録がみつかったという。これを受けて管制塔は、ヘリコプターに対して航空機を回避するよう要請したものの、その13秒後に衝突してしまったという。
事故の報を受けたトランプ米大統領は、自身が立ち上げたSNS「トゥルース・ソーシャル」に「なんてひどい夜だろう。神のご加護を」と投稿した。
続けて大統領は、こうした悲劇が発生した理由について独自の論を展開した。「旅客機は着陸に向けて完璧な、しかも通常どおりの進入線上にあった。一方、ヘリコプターは旅客機に向かってかなりの時間、直進していた。雲のない夜で、飛行機のライトも灯っていたにもかかわらず、なぜヘリコプターは旅客機を避けるべく上昇や下降、あるいは旋回をしなかったのだろうか」
さらに、「管制塔も管制塔だ。なぜ、飛行機が視界に入ったかどうかをヘリコプターに尋ねるよりも、すべきことを指示しなかったのだろうか。これは防ぐことができたはずの惨事だ。なんてことだ」と投稿。
米国の首都ワシントン郊外にあるロナルド・レーガン空港は国内で最も混雑した空港のひとつであり、毎日多くの航空機が発着している。
ロナルド・レーガン空港に沿って流れるポトマック川では、1982年にも航空機墜落事故が起こっている。このとき墜落したのはエア・フロリダの旅客機で、同空港を離陸直後にポトマック川にかかる橋梁に激突し、72人が犠牲となった。
『ガーディアン』紙によれば、新国防長官ピート・ヘグセス氏はSNSへの投稿を通じ、この事件の原因を究明するために陸軍と国防総省が調査を開始したことを明らかにした。
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