1兆匹のセミが出現する? 221年ぶりに米国で2種類の「素数ゼミ」が同時発生

米国でセミが大発生
素数ゼミとは?
素数ゼミの生態
素数ゼミの外見
全米で同時に大発生するわけではない
221年ぶりの同時発生
前回、同時発生したときの米大統領は……
最大の素数ゼミ集団、グレート・サザン・ブルード
「大自然の不思議」
1兆匹が一斉に羽化?
1列に並べると月まで33回往復
どこに出現するのか?
6週間かぎりの現象
「昆虫学者にとって一大イベント」
米国でセミが大発生

米国には異なる周期で大発生する2種類の素数ゼミが生息しているが、今年は221年ぶりに同時発生するため、米国の一部地域は大変にぎやかになりそうだ。

 

素数ゼミとは?

日本に生息するセミは毎年発生する上、地下で過ごす期間も数年だ。しかし、素数ゼミは幼虫の期間が長い上、一定の周期で一斉に羽化するという変わった習性をもっている。

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素数ゼミの生態

素数ゼミも一般的なセミと同じく、幼虫は地中で植物の根から樹液を吸って成長し、羽化後の寿命は数週間ほどだ。

 

 

素数ゼミの外見

全米野生生物連盟によれば、「素数ゼミの成虫は上半身が黒く、下半身はオレンジ色。眼は真っ赤で、黒い筋の通った透明な羽をもつ」そうだ。

 

全米で同時に大発生するわけではない

素数ゼミが大発生する年は地域ごとに決まっており、全米で同時に羽化するというわけではない。また、13年周期で大発生する「13年ゼミ」と17年周期で大発生する「17年ゼミ」がおり、米国の一部地域にはその両方が生息している。

画像:Wiki Commons By Russkiypimp, Own work, Public Domain

221年ぶりの同時発生

13年ゼミの「グレート・サザン・ブルード」と呼ばれる集団と17年ゼミの「ノーザン・イリノイ・ブルード」と呼ばれる集団は生息地が重なっているが、今年はその両方が同時に羽化する記念すべき年だ。これは1803年以来、実に221年ぶりの現象だ。

画像:Wiki Commons By Jeff R, Public Domain

前回、同時発生したときの米大統領は……

『ニューヨーク・タイムズ』紙によれば、「17年周期のノーザン・イリノイ・ブルードと13年周期のグレート・サザン・ブルードが前回同時に発生したとき、米国の大統領はトーマス・ジェファーソンだった」そうだ。

 

最大の素数ゼミ集団、グレート・サザン・ブルード

CNN放送によれば、グレート・サザン・ブルードは数ある素数ゼミ集団の中でも最大だという。今年はこの大集団に加えてノーザン・イリノイ・ブルードも羽化するため、とんでもない数のセミが地上に現れるのだ。

「大自然の不思議」

ケンタッキー大学で昆虫学を研究するジョナサン・ラーソン博士いわく、「2つの集団がこれほどの規模で同時発生するのはごくまれです。米国屈指のクールな昆虫が引き起こす、大自然の不思議なのです」

画像:Wiki Commons By G. Edward Johnson - Own work, CC BY 4.0

1兆匹が一斉に羽化?

今年、米国で羽化するセミの総数を把握するのは難しい。しかし、スミソニアン博物館の昆虫学者フロイド・W・ショックレー博士によれば、1兆匹に迫る可能性もあるというから驚くほかはない。

画像:Wiki Commons By G. Edward Johnson - Own work, CC BY 4.0

1列に並べると月まで33回往復

素数ゼミの体長は2~3センチメートルほどなので、1兆匹を1列に並べたと仮定するとおよそ2540万キロメートルに達する。ショックレー博士いわく「地球から月まで33往復できてしまう」のだから、大変なにぎわいである。

 

どこに出現するのか?

17年ゼミのノーザン・イリノイ・ブロードが見られるのはウィスコンシン州とイリノイ州、およびインディアナ州の一部。一方、13年ゼミのグレート・サザン・ブロードはおもにイリノイ州とミズーリ州に分布しているが、ノースカロライナ州からアーカンソー州にかけての一帯にも生息している。

画像:Screenshot University of Connecticut

6週間かぎりの現象

しかし、米国中西部・南部で素数ゼミの大群が大合唱するのは6週間かぎりだ。ショックレー博士によれば、素数ゼミの成虫はほとんどの場合、1ヵ月ほどで寿命を終えてしまうそうだ。

画像:Wiki Commons By Pmjacoby - Own work, CC BY-SA 4.0

「昆虫学者にとって一大イベント」

フィールド自然史博物館のジム・ラウダーマン氏はNBC放送に対し、「現在、存命中の人々の中にかつてこの現象を見たことがある人はいませんし、ふたたびお目にかかることができる人もいません。昆虫学者にとってはまさに一大イベントなのです」と語っている。

画像:Wiki Commons By David C. Marshall - Own work, CC BY-SA 4.0

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