輪廻転生は実在する? 生まれ変わりを50年にわたり研究してきた博士の見解は

転生を受け入れない文化の西洋
ヴァージニア大学に生まれ変わりを研究するグループが
2,500以上の症例を収集
2~5歳の子供に多い
単なる子供の空想とは違う
典型的な発言は
家庭環境では説明できない性向が発現することも
PTSDにも似た挙動を示す
ジェームズ・ライニンガーの例
驚くほど詳細に語る
実在したパイロットの生涯と一致
過去の人物の人生と一致する例は多い
故人の傷を受け継ぐ?
不慮の死を思い出すことが多い
バーバラ・グラハムの例
生まれた時期が関係?
最近の例も
真相は藪の中
親が無視することも
ハリウッド俳優だった過去を思い出した子供も
症例の多くは転生が受け入れられている文化圏のもの
常識に挑戦?
転生を受け入れない文化の西洋

ヒンドゥー教や仏教など、アジアの宗教においては輪廻転生というのは一般的な考え方だ。だが、西洋においてはなかなか受け入れられないことも多い。

ヴァージニア大学に生まれ変わりを研究するグループが

だが、その輪廻転生を50年近く研究している専門家グループがアメリカにある。ヴァージニア大学精神医学・神経行動学部の知覚研究科だ。

2,500以上の症例を収集

この研究グループは精神科医だった故イアン・スティーヴンソン氏の主導でできたもので、現在は小児精神科医のジム・タッカー氏が引き継いでいる。ヴァージニア大学によると、グループはこれまで「転生」を訴える症例を世界中から2,500以上も収集してきたという。

画像:Leo Rivas/Unsplash

2~5歳の子供に多い

大学のウェブページに掲載されているタッカー博士の説明によると、子供が2~5歳の時に前世の記憶について語るというのが一般的で、それ以降はその記憶は薄れていくのが普通だという。

画像:Scott Webb/Unsplash

単なる子供の空想とは違う

それくらいの年齢の子供はいろいろと想像しがちなことも確かだが、前世の記憶を語る子供に特徴的なのは「前の両親が懐かしい」という発言をすることだという。心理学者のトヴァ・クラインによると、これは幼児の発言としては非常に珍しいとされている。『ワシントン・ポスト』紙が伝えている。

画像:Steven Libralon/Unsplash

典型的な発言は

タッカー博士いわく、前世の記憶について語る子供はほかには次のようなことを言いがちだという:「大きくなったとき、前はこうだった(眼が青かった、町で働いていた……など)」「妻・夫・子供がいたことがある」「死因はこうだった(交通事故、転落……)」「こんな記憶がある(あの家に住んでいたことがある、あなたの父親だったことがある……)」

画像:Gabby Orcutt/Unsplash

家庭環境では説明できない性向が発現することも

また、小児精神科医としてタッカー博士が言うことには、子供は時に、それまでの経験や家庭環境からだけでは説明できない不自然な好みや恐怖症を抱くことがあるのだという。

画像:Filip Urban/Unsplash

PTSDにも似た挙動を示す

タッカー博士は自著『Return to Lifge(原題)』で子供が抱えるそういった恐怖感を「PTSD(心的外傷後ストレス障害)の診断基準にもなる、回避的行動と同様のもの」としている。たとえば、溺れた記憶を持つ子供はしばしば水を怖がるとされる。

画像:Frank McKenna/Unsplash

ジェームズ・ライニンガーの例

タッカー博士が記録している症例の中でもとりわけ興味深いのがジェームズ・ライニンガーのものだ。ルイジアナに住んでいたジェームズ少年は2000年、2歳のときから飛行機が墜落するという悪夢を見るようになった。

画像:YouTube @ILoveDocs

驚くほど詳細に語る

ジェームズ少年はのちに、自分は第二次世界大戦時の米軍戦闘機パイロットで、日本軍に撃ち落とされた、と説明するようになった。そして、発艦した空母の名前や戦友のフルネーム、最期に撃ち落とされた場所まで語ったという。

実在したパイロットの生涯と一致

ジェームズ少年の証言を調査していたタッカー博士はやがて、実際に第二次世界大戦で戦死したパイロット、ジェームズ・ヒューストン(写真)に行き当たる。この症例の調査結果は先述の博士の自著や、Netflixのドキュメンタリー『Files of the Unexplained』などで扱われている。

画像:YouTube @ILoveDocs

過去の人物の人生と一致する例は多い

ジェームズ少年の例のように、タッカー博士率いる知覚研究科のチームが集めた症例には、かつて実在した人物の人生と一致する証言が子供から得られることも少なくない。

故人の傷を受け継ぐ?

しかも博士によると、そういった過去の人物の検視記録などを検証すると、その人の傷やあざなどと一致する特徴を持っている子供もいるのだという。

不慮の死を思い出すことが多い

タッカー博士によると症例の7割は殺人や自殺、事故など暴力的な不慮の死を記憶しているとされ、35%以上が死因に関連したものに強い恐怖を覚えているのだという。また、そのようにして思い出されるのは若くして亡くなった人物の記憶であることが多いともされる。

バーバラ・グラハムの例

アメリカの作家、バーバラ・グラハムはこういった症例に基づいた小説を書いているうえ、自身も第二次世界大戦中にホロコーストで殺された記憶を思い出したと語っている:「不慮の死を迎えた人の方が、95歳で寝ているうちに大往生した人よりも強い記憶を残すというのは理にかなっています」

生まれた時期が関係?

『サイコロジー・トゥデイ』誌のインタビューを受けたグラハムは、彼女の治療に当たったセラピストから、1940年代末から50年代初頭にかけて生まれた人にはグラハムのようにホロコーストの記憶を持っている人が多いと聞かされたと語っている。

最近の例も

『ワシントン・ポスト』紙はそのような事例をひとつ取り上げて検証してみている。ある夫婦の2歳の娘がニーナという女の子について話し始め、その子は「腕に番号がついて」おり、「そのせいで悲しそうにしている」と語ったのだという。

真相は藪の中

やがて夫妻はタッカー博士のことを知り、博士は夫妻や娘と面会した。その結果博士は、夫妻の話は説得的ではあるが、具体的な詳細には不明な点も多く調査は続けられなかったとしている。「またひとつ、真相の分からないアメリカでの症例が増えました」と博士は『ワシントン・ポスト』紙に語っている。

画像:Wesley Tingey/Unsplash

親が無視することも

詳細を追い切れなかった事例以外にも、親によってただの妄想だとして片付けられたり、より強圧的に抑圧された例が多くあるはずだとタッカー博士は考えている。輪廻転生と言う考え方はとくに西洋では忌避の対象となりやすいからだ。

画像:Caleb Woods/Unsplash

ハリウッド俳優だった過去を思い出した子供も

かつてハリウッド俳優だったという記憶を持っていたと主張したライアン・ハモンズが良い例だ。ライアンの母親によると、この主張が公になった際、周りの人は母親にライアンは「イエスを見いだすべき」だと述べ、親を責めたという。『ワシントン・ポスト』紙が伝えている。

画像:YouTube @thecreepyandparanormalshow4908

症例の多くは転生が受け入れられている文化圏のもの

従って、タッカー博士が収集した症例の多くが輪廻転生を受け入れる文化が存在する地域のものであるのも驚くに値しない。とはいえ、実際に転生などということがあり得るのか、あるいはまったく不可能なのかを証明する科学的証拠は、どちらも確実なものが存在するわけではない。

常識に挑戦?

転生研究を創始したイアン・スティーヴンソン氏は1999年に『ニューヨーク・タイムズ』紙のインタビューを受けており、そこではこう語っている:「科学は既存の認識を発展させるものであって、それにそぐわないデータを科学者に直視させ、既存の概念に挑戦させるのは大変難しい」

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