週4日勤務の実証実験:働く時間が減るとどうなる?

週40時間労働に対する疑問
「4デー・ウィーク・グローバル」
実証実験の途中経過
幸福度が増し、ストレスは減少
高い評価の声
多くの週4日勤務を継続
労働生産性の維持
さまざまな成果
経済的効果
インフレ対策
CO2排出量を削減
適応のむずかしさも
他国でも実証実験
アイスランドの例
ベルギーの労働体制
労働時間短縮とは異なるコンセプト
具体的な企業例
キャノンの場合
今後の勤務形態
週40時間労働に対する疑問

多くの国で1日8時間、週40時間労働が実施されている。この形態は前世紀から100年近く続いているが、現代社会のワークライフバランスの基準とは程遠いのではないかという見方がある。

「4デー・ウィーク・グローバル」

英国では給与を維持したまま週4日、32時間勤務する実験「4デー・ウィーク・グローバル」が行われ、70にのぼる企業が参加した。勤務時間を8割に減らしつつ給料は据え置きという、新しい働き方の実証実験だ。

写真: Unsplash - Charles Forerunner

実証実験の途中経過

ケンブリッジ大学、オックスフォード大学、ボストンカレッジの研究者たちがこの実験をモニターしたところ、実施から早くも4カ月目で、高い成果が出はじめたという。

写真: Unsplash - Martin Adams

幸福度が増し、ストレスは減少

その結果を見ると、63%の企業が週4日勤務への移行を「良かった」「まったく問題がなかった」としている。78%の従業員は「幸福感が増し、ストレスが減った」と回答している。

写真: Unsplash - Jason Goodman

高い評価の声

この「4デー・ウィーク・グローバル」の試みを評価すると答えた人は88%にのぼり、このことからも実験は成功を収めていることがわかる。

写真: Unsplash - K. Mitch Hodge

多くの週4日勤務を継続

最も重要な結果は、実験終了後(2022年12月)も週4日制を継続する企業が86%に達したことだ。

写真: Unsplash - Berkeley Communications

労働生産性の維持

生産性に関しては、49%の労働者が「パフォーマンスが向上した」、46%が「それまでと変わらない」としている。つまり、作業時間を20%短縮したにも関わらず、参加者の95%が生産性の維持あるいは向上を認めたというのだ。

写真: Unsplash - Avi Richards

さまざまな成果

この実験を通して観測されたのは、休息時間の増加、仕事の調整能力や効率化などだ。しかし、得られた成果はそれだけではない。

写真: Unsplash - Alex Robert

経済的効果

BBCの報道によれば、子供が2人いる家庭では、週4日の勤務体制により年間平均3,700ユーロ(1カ月あたり308ユーロ)を節約できるという。

写真: Unsplash - Emmanuel Ikwuegbu

インフレ対策

多くの国でインフレが家計をひっ迫させている中、今回の結果は、それを改善する最も効果的な解決策のひとつとなりえるだろう。

写真: Unsplash - Mediensturmer

CO2排出量を削減

一方、「4デー・ウィーク・グローバル」を実施して週4日勤務にすることで、英国の二酸化炭素排出量を年間1億2700万トン削減できるとしている。これは、2700万台の自動車の排出量に相当する。

写真: Unsplash - Francesco Zivoli

適応のむずかしさも

しかし、良い結果だけではない。プロジェクトに参加した一部の企業は、新しい労働時間への適応の難しさを告白している。柔軟性に欠ける旧態依然のシステムや、24時間365日体制で対応が必要な職種のため、週4日勤務の実現は難しかったという。

写真: Unsplash - Museums Victoria

他国でも実証実験

いくつか例外はあるものの、実験の結果は企業と労働者の両方にとりポジティブなものであり、短期または中期的に現行の労働システムに変化をもたらすきっかけとなっている。「4デー・ウィーク・グローバル」は、アイルランド、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、イスラエルなどでも実験が行われている。

写真: Unsplash - Sean Pollock

アイスランドの例

すでにこうした勤務形態を取り入れている国もある。例えば、週4日勤務制に移行しつつあるアイスランドでは、従来の40時間に対し、35〜36時間の勤務体制を法律で定めている。

写真: Unsplash - Roman Bozhko

ベルギーの労働体制

『De Standaard』誌の報道によれば、ベルギーでは労働日数を週5日から4日に変更することが労働協定で承認されたが、その4日の中で週40時間をカバーすることになっている。

写真: Unsplash - Sol

労働時間短縮とは異なるコンセプト

ベルギーでは、週の平均労働時間が40時間内であれば、1日に8時間以上働き、翌週に休日の数を増やすという選択肢も可能となる。「4デー・ウィーク・グローバル」が提案する労働時間の短縮とはまったく異なるコンセプトだ。

写真: Unsplash - Timon Studler

具体的な企業例

『The Register』誌によれば、オランダのデル社などが、労働時間を週40時間から32時間に短縮し、それに比して給与も20%削減するというオプションを提供している。

写真: Unsplash - Dell

キャノンの場合

一方、キヤノンは、従業員の給与に影響を与えずに労働時間の短縮を実施した企業の一つだ。

写真: Unsplash - James Sutton

今後の勤務形態

今の段階で、世界の労働者の勤務形態がどのようになるのか知ることは難しい。しかし、今回の「4デー・ウィーク・グローバル」の実証実験の結果が、今後の世界各国の勤務形態に大きな影響を与えていくことは確かだろう。

写真: Unsplash - Shridhar Gupta

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