ウクライナ軍が破壊したロシア軍ヘリコプター、300機に達する
ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから、ウクライナ軍は、ロシア軍のヘリコプターを多数破壊している。ウクライナ参謀本部によると、その数は300機に達したという。
6月12日、ウクライナ軍参謀本部は、ロシア軍の損害についての情報を更新し、戦争開始時から数えてロシア軍はヘリコプターを300機失ったと発表した。
「我々の兵士は攻撃ヘリコプター『Ka-52』、通称アリガートル(ワニ)をさらに一機撃破した」と、ウクライナ軍参謀本部は発表した。『The New Voice of Ukraine』が伝えている。
ウクライナ軍参謀本部は明言していないが、おそらく、そのKa-52はウクライナ軍の反転攻勢のさなかに撃破されたものなのだろう。
ウェブサイト「Military Factory」によると、ロシアのカモフ社開発のヘリコプター「Ka-52」は、単座型の攻撃ヘリコプター「Ka−50」の改良型として開発されたものである。Ka-52は複座型(つまり、ツーシーター)になっている。
とはいえ、性能にかかわる点では、Ka-50とKa-52に際立った違いは見当たらないと、「Military Factory」は続ける。
「Military Factory」によれば、Ka-52は武装偵察ヘリコプター、攻撃ヘリコプターであり、戦場のさまざまな任務に対応可能だという。たとえば、近接航空支援(CAS)や、護衛、哨戒の任務に就くことができる。
このヘリコプターは全天候型で、夜間も飛ぶことができる。ウクライナにとっては大きな脅威だ。
このヘリは、口径30mmの機関砲「2A42-1」や対戦車用誘導ミサイルなど、さまざまな兵器を搭載している。
自己防護装備としては、レーダー信号の低減装置、フレアやチャフの投射装置(ディスペンサー)などを備えているという。
Ka-52ヘリコプターは複座型となっており、いずれの座席からも操縦装置を動かすことができる。また、墜落が避けられない場合の緊急脱出用として、射出座席「K-37-800」が採用されている。射出座席がヘリコプターに採用されている例はめずらしい。
6月12日に撃墜されたKa-52のパイロットたちも、この射出座席で脱出したかもしれない。しかし、その生死は明らかにされていない。
イギリス国防省の2022年10月の分析によると、ロシア空軍は保有するKa-52ヘリコプター90機のうち25%を失った、ということだった。
イギリス国防省はさらに、ロシア軍のヘリコプターはウクライナ軍の携帯式防空ミサイルシステム(MANPADS)による攻撃に弱いとしていた。本来であれば味方戦闘機による上空掩護があるはずだが、それがないので、ロシア軍のヘリにとって状況はさらに悪化しているという。
オランダの軍事情報サイト「Oryx」の調べによると、ウクライナ侵略開始以降のロシア軍のKa-52ヘリの損失は37機にのぼる。
6月27日現在、ウクライナ国防省の発表によると、ロシア軍は戦闘機を314機、ヘリコプターを308機失ったという。実際にこれだけの数の航空機を失っているとするならば、ロシアにとって甚大な損失と言えるだろう。