鳴り物入りでウクライナ入りしたロシア軍のレーダーシステム、わずか数時間後に破壊される

なんともお粗末な結果に
対砲兵レーダーシステム「1K148ヤストレブ-AV」
敵砲兵の位置を特定
ウクライナ軍がすぐに破壊
約370億円の損害に
動画が公開される
検知するべき攻撃で破壊される
重要な戦果
砲兵が重要
ロシア側も重要性を認識
砲兵の活動を効果的に
開戦以来利用されてきた
稼働している車両は数えるほど
何両の「ヤストレブ-AV」がウクライナに?
どうやって位置を特定したのかは不明
謎に包まれた兵器
大損害であることは確実
なんともお粗末な結果に

ロシア軍が高らかに宣伝し、鳴り物入りでウクライナ入りした新兵器がわずか数時間後に破壊された。しかも、詳しい事情を確認するとさらにお粗末な背景が明らかになる。

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対砲兵レーダーシステム「1K148ヤストレブ-AV」

1月2日、ロシア国防省は対砲兵レーダーシステム「1K148ヤストレブ-AV」のウクライナへの配備を発表。ロシアの誇る最新鋭のレーダーシステムだ。

画像:Facebook @usofcom

敵砲兵の位置を特定

『ビジネスインサイダー』によると、対砲兵レーダーシステムとは飛来した砲弾などの軌道から敵砲兵の位置を特定、反撃するためのシステム。「ヤストレブ-AV」は最新鋭のシステムだったわけだが、それでも破壊されてしまった。

画像:Wiki Commons By Sandstorm de - Own Work, CC BY-SA 4.0

ウクライナ軍がすぐに破壊

だが、ウクライナ国防省の発表によると、ロシアが「ヤストレブ-AV」の配備を公表したほんの数時間後、ウクライナ軍がそのシステムを発見して破壊したという。

画像:Facebook @usofcom

約370億円の損害に

ウクライナ国防省の発表にはその撃破の様子を収めた動画も添付されており、2億5,000万ドル(約370億円)相当とも言われるロシア自慢の対砲兵レーダーシステムがアメリカから供与された高機動ロケット砲システム「HIMARS」によって破壊されたと伝えている。

画像:Staff Sgt. Ricardo Hernandez-Arocho, Public domain, via Wikimedia Commons

動画が公開される

動画には、戦場で展開しようとしていた「ヤストレブ-AV」がその途中で攻撃を受け、爆発が起きる様子が収められている。ただ、乗員とみられる人物1名が車両から逃れる様子は写っていたものの、完全に破壊されたかどうかは明らかではない。

検知するべき攻撃で破壊される

また、攻撃が起きた場所も明らかにはされていない。だが、『フォーブス』誌のデヴィッド・アックス記者も指摘するように、この事態が皮肉なのは「ヤストレブ-AV」はまさにその機能で検知するべき攻撃によって破壊されたからだ。

重要な戦果

アックス記者はこう書いている:「ロシアのヤストレブ-AVが破壊されたのはただ愉快というだけではなく、意義の大きいものでもある。ロシアとの戦闘が厳しい消耗戦に陥りつつある昨今、対砲兵レーダーシステムは重要性が大変高まっているからだ」

砲兵が重要

同記者はさらにこう続けている:「この戦争は砲兵とドローンを素早く展開させた陣営が勝つ。対砲兵レーダーシステムは戦闘中に敵砲兵が発射した砲弾を捉えて敵の位置を特定することを可能にし、火力差を覆すポテンシャルを持っている」

ロシア側も重要性を認識

ロシア国防省も対砲兵レーダーシステムの重要性についてはアックス記者と同じ見解を抱いていることだろう。実際、戦闘において「ヤストレブ-AV」や「Zoopark M1」のようなシステムが重要な役割を果たしていると述べたこともある。

画像:Егор Журавлёв from Smarde, Latvia, CC BY-SA 2.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0>, via Wikimedia Commons

砲兵の活動を効果的に

ロシア国防省はこう述べていた:「『Zoopark M1』や『ヤストレブ-AV』のような近代的砲兵偵察装備は、無人航空機などとともに用いられることでミサイル砲兵を含む砲兵の活動を非常に効果的なものとしている」

開戦以来利用されてきた

『ビジネスインサイダー』誌のジェイク・エプスタイン記者は、ロシアはこの紛争において常に「Zoopark-1M」のようなシステムに強く依存してきたと述べている。ただし、その「Zoopark-1M」はウクライナでは破壊される例が相次いでいるとも指摘している。

画像:Mil.ru, CC BY 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/4.0>, via Wikimedia Comm画像:

稼働している車両は数えるほど

2023年7月の時点で、イギリス国防省は侵攻初期にウクライナに送られた「Zoopark-1M」のうち稼働を続けているのはごくわずかだとする推計を発表している。これは、最近になって「ヤストレブ-AV」が配備されたことの理由かもしれない。

何両の「ヤストレブ-AV」がウクライナに?

『ニューズウィーク』誌のエリー・クック記者によると、ウクライナで何両の「ヤストレブ-AV」が稼働しているかはわからないという。だが、ウクライナ軍によれば、昨年8月にも対砲兵システムを破壊した実績があるという。

どうやって位置を特定したのかは不明

今回の攻撃でウクライナ軍がいかにして「ヤストレブ-AV」の位置を特定したのかは明らかにされていない。デビッド・アックス記者は、「ヤストレブ-AV」のフェーズドアレイレーダー(位相配列レーダー)から発信されると考えられている非常に特徴的な信号をウクライナ軍が捉えたのかもしれないと述べている。

画像:Facebook @usofcom

謎に包まれた兵器

軍事ニュースサイト『Army Recognition』によると「ヤストレブ-AV」の技術的詳細に関してはごくわずかしか分かっていないという。判明しているのは、同システムは2021年か2022年に試験を終えており、ロケット弾やミサイル、砲兵の射撃などを検知できるということだけだ。

大損害であることは確実

同サイトはこう書いている:「『ヤストレブ-AV』は砲牽引車『BAZ-6909』の4軸シャーシに搭載されており、その技術的詳細は謎に包まれている。それでも、ロシアの損害は2億5,000万ドル(約370億円)ほどになると見積もられている。ロシア軍にとって戦略的・金銭的な大損害であることは確実だ」

画像:Vitaly V. Kuzmin, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons

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