2度目の動員は50万人規模?:プーチン政権は再動員に踏み切るのか

2度目の動員?
50万~70万人規模の召集?
情報戦の一環?
根拠はあり
これ以上の動員に難色を示す構成共和国
噂が飛び交うテレグラム
1月中旬に開始?
召集令状は今も送付されている
噂を否定するクレムリン
ペスコフ報道官のコメント
可能性は残されている
クレムリンでは議論されていないが……
可能性は低いと考えるアナリストたち
レイナー・サックスのコメント
再動員は新年以降?
再動員の可能性を示唆するリーク
兵士10万人を失うという予測
最大10万人が戦死、しかし……
12万人規模の新たな部隊
解除されない部分的動員令
危険な賭け
2度目の動員?

ウクライナのアントン・ゲラシェンコ副内相は、ロシアが2度目の動員を計画していると公表。

 

50万~70万人規模の召集?

ゲラシェンコ副内相(写真)はツイートで「動員計画は50万~70万人規模」だとしている。9月に召集された動員兵30万人は、すでに戦死、負傷、戦意喪失などで戦闘を続けられる状況にないためだ。

 

情報戦の一環?

しかし、この発表は事実なのだろうか?というのも、ロシア、ウクライナの双方が相手国市民の士気を下げるために情報戦を活発化させており、情報の真偽を確かめるのは著しく困難になっているのだ。

 

根拠はあり

しかし、2度目の動員計画があるらしいことを示す兆候も報告されている。たとえば、ロシア連邦を構成する各共和国の指導者たちは先週、ウクライナに派遣するために予備兵を動員するのをやめるよう、プーチン大統領宛てに書簡を送ったというのだ。

これ以上の動員に難色を示す構成共和国

カレリア共和国のエミリア・スラブノワ議員は先週、自身のテレグラム・チャンネルで声明を発表し、再動員の噂が「ロシアの家庭に不安感をもたらし、社会に心理的影響を及ぼしている」とした。

写真:ロシア政府 @duma.gov.ru

噂が飛び交うテレグラム

親ロシア派のテレグラム・チャンネルでも、12月または 1月に2度目の動員が行われるという噂で持ち切りだ。

 

1月中旬に開始?

さらに、ロシアの自由主義政党ヤブロコ党のモスクワ支部のキリル・ゴンチャロフ副支部長も、テレグラム・チャンネルで「1月中旬に2度目の動員が始まるのは間違いない」と述べている。

 

召集令状は今も送付されている

ゴンチャロフ副支部長は「召集令状は今も送付されており、人々に出国制限を課し続けている」と書いている。

 

噂を否定するクレムリン

一方、クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は、現在2度目の動員計画を検討しているという事実はないとしている。

 

ペスコフ報道官のコメント

ロシア国営のタス通信によれば、ペスコフ氏は毎週恒例の記者会見で「そのような議論はなされていない」と記者団に語ったようだ。

可能性は残されている

ただし、ペスコフ報道官の声明は、ウクライナに派遣するために2度目の動員を行う可能性そのものを否定するものではなかった。

 

クレムリンでは議論されていないが……

ペスコフ報道官いわく:「私は国防省の報道官ではない。少なくとも、クレムリンでそのような議論はなされていない」

 

可能性は低いと考えるアナリストたち

カーネギー国際平和基金でロシアの内政を専門に研究するアンドレイ・コレスニコフ氏は、『モスクワ・タイムズ』紙に対して再動員の可能性は非常に低いと述べた:「ロシア社会には深刻な不安感が広がっており、クレムリンが2度目の動員を始めるのは難しいでしょう」

レイナー・サックスのコメント

安全保障問題の専門家レイナー・サックス氏も再動員の可能性は低いと考えているようだ。『ERR News』誌のインタビューで、再動員は「ロシアの政権指導部にとって大きなリスクになり得る」と述べたのだ。ただし、その可能性を完全に否定したわけではない。

写真:Facebook @Embassy of Japan in Estonia

再動員は新年以降?

サックス氏は『ERR News』誌上で「新年以降に何が起きるのか、見届けなくてはならないだろう」とコメント。

再動員の可能性を示唆するリーク

しかし、再動員開始の速報は一部アナリストの予想よりも早くに訪れる可能性がある。

兵士10万人を失うという予測

ロシアの独立系調査機関「IStories」が暴露した漏洩文書によれば、クレムリンはウクライナにおける冬季作戦によって兵士10万人あまりを失うと予測しているらしいのだ。

最大10万人が戦死、しかし……

ロシア連邦保安庁に近い情報筋はIStoriesに対し、「来春までに最大10万人の兵士が戦死または負傷する可能性がある。しかし、誰もこのことを心配していない。代わりに召集兵を投入するつもりだからだ」と語ったという。

 

12万人規模の新たな部隊

また、ロシア軍参謀本部に近いとされる情報提供者は、ウクライナにおける冬季作戦で予想される損失を補うため、ロシア国防相は少なくとも12万人を召集・訓練する計画を立てているとしている。

解除されない部分的動員令

このことは、プーチン大統領が9月に署名した30万人規模の部分的動員令を、いまだ解除していないという事実と照らし合わせても辻褄があう。

危険な賭け

先に述べた通り情報戦は激しさを増しており、慎重に事実を見極める必要がある。しかし、ロシアは人口1億4,000万人を抱える大国であり、数字の上では再動員も可能だ。ただし、そのような手段に出た場合、プーチン大統領が政権を維持できるかどうかは不透明だ。すでに得る所の少ない戦争にさらなる召集兵をつぎ込むと言うのは、かなり危険な賭けだと言わざるを得ないだろう。

 

ほかのおすすめ