NVIDIA(エヌビディア):マイクロソフトを抜き時価総額で世界1位に

米NVIDIA(エヌビディア)が時価総額トップに
3社のトップ争い
ウォール街で最も注目される銘柄
影の薄くなったアップル
20年で大きな成長を遂げたテック企業
創業時のビジョン: ゲーミングエクスペリエンスの向上
ジェンスン・フアンのキャリア
革新と成長を続ける
未来へ向けた多角化
新たな可能性をもたらすNVIDIAの技術
AI革命が追い風に
業界に影響をもたらす
2916年に「DGX-1」を発表
2019年に「Mellanox Technologies, Ltd.」を買収
2020年:「Arm Limited」の買収と頓挫
2021年:ゲーミング分野でも自動運転分野でも
数々の受賞
テクノロジーの未来を拓く
米NVIDIA(エヌビディア)が時価総額トップに

2024年6月18日、AI(人工知能)革命を牽引する大手半導体メーカー、米NVIDIA(エヌビディア)の時価総額が米マイクロソフトを抜き、世界首位に立った。

写真はNVIDIAのCEO、ジェンスン・フアン

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3社のトップ争い

しかし、6月20日にはNVIDIAの株価が下落して時価総額が僅かに下がり、マイクロソフトが首位を奪還。現在、時価総額が3兆ドルを超えるNVIDIA、マイクロソフト、アップルがトップを争っている。

ウォール街で最も注目される銘柄

ニュースサイト「ブルームバーグ」によれば、NVIDIA株は今年のウォール街で最も注目を集める銘柄となっている。AIへの投資が加速するなかで、同社が製造する次世代半導体に世界各国から注文が届いており、今年に入ってから株価は147%の上昇をみせたのだ。

 

影の薄くなったアップル

NVIDIAが急成長を遂げる一方、アップルは売上高が伸び悩んでいる。そして6月5日、NVIDIAがアップルを抜いて時価総額で世界2位の座を獲得した。アップルも独自の生成AIを開発し、同社製品やシステムへの導入を発表しているものの、マイクロソフトやオープンAIほどのインパクトはないという投資家の見方をスペイン紙『シンコ・ディアス』が伝えている。

20年で大きな成長を遂げたテック企業

前述のサイトによれば、NVIDIAの時価総額が初めてアップルを超えたのは2002年、最初のiPhoneが発売される5年前のことだった。当時、両社の市場価値はいずれも100億ドル以下であり、それから20年後に双方がこれほどの成功を収めるとはだれが想像できただろうか。

創業時のビジョン: ゲーミングエクスペリエンスの向上

NVIDIAは1993年、ジェンスン・フアン、クリス・マラコウスキー、カーティス・プリエムの3人によって設立された。そして1995年、同社初の製品となる「NV1グラフィックス・プロセッサ」をリリース。

ジェンスン・フアンのキャリア

NVIDIAの現CEO兼社長であるジェンスン・フアンは、同社を設立する以前に複数のテック企業でさまざまな経験を積んできた。AMD(Advanced Micro Devices)社ではマイクロプロセッサの開発責任者を務め、LSIロジック社ではチップの設計をしたことでジェンスン・フアンは広範な知識を身に着けたほか、今後のテクノロジー需要の高まりを確信したと「ámbito.com」が報じている。

革新と成長を続ける

NVIDIAはシリコンバレーで創業して以来、弛まぬ技術革新を続けている。当初はビデオゲーム向けのGPU開発がメインビジネスであり、1999年に世界で初めてハードウェアジオメトリエンジン(T&L)を搭載したGPU「GeForce(ジーフォース) 256」を発売。ゲームの3Dグラフィックスに革命をもたらした。

未来へ向けた多角化

ゲーミング市場で地位を確立したNVIDIAは、2006年にGPU向けの汎用並列コンピューティングプラットフォーム「CUDA」を発表、新たな分野に進出を果たした。このプラットフォームは開発者に対し、科学や金融などゲーミング以外の分野でもGPUの並列処理を可能にするという画期的な製品だった。

新たな可能性をもたらすNVIDIAの技術

NVIDIAの成功のもとは、技術革新の継続、市場の変化への適応、AI技術の開発への取り組みにある。高度に進化した同社のGPUはプログラム可能となっており、暗号通貨のマイニングやAI研究開発への活用など新たな可能性をもたらしつつある。前述のサイト「ámbito.com」が伝えた。

AI革命が追い風に

また、AIの台頭はNVIDIAに大きな追い風となった。というのもゲームグラフィックス用に設計された同社のGPUは並列処理向きであり、ディープ・ニューラル・ネットワークの実行をスピードアップできることが判明したのだ。このことから同社は世界各国のテック企業やデータセンターにGPUを提供するようになり、瞬く間にAIに不可欠のハードウェアメーカーとして脚光を浴びることになった。

業界に影響をもたらす

NVIDIAはテック業界に大きな影響をもたらしており、同社の製品やサービスに対する需要が急激に高まっているほか、その最新技術に感化されて多くの企業が変革を進めている。ちなみに現在、グーグルやオープンAIなどテック大手の言語モデルに使用されているGPUの約80%はNVIDIA製だという。

2916年に「DGX-1」を発表

NVIDIAがもたらした大きな成果のひとつは、2016年に発表された、AI研究への取り組みをサポートする統合ソフトウェアおよびハードウェアシステム「DGX-1」だ。これによりディープラーニングの研究は加速し、研究開発者はより洗練されたアルゴリズムを効率的に開発することが可能になった。

2019年に「Mellanox Technologies, Ltd.」を買収

NVIDIAは一連の戦略的買収を通じて、AI分野での地位を強化してきた。2019年には高性能ネットワーキング技術のリーダー的存在である「Mellanox Technologies」社を買収。これによりNVIDIAはデータセンター市場で影響力を増すとともにAI分野における存在感を高めることに成功。

写真は、NVIDIAとの買収合意締結後の「Mellanox」社CEOと社員

2020年:「Arm Limited」の買収と頓挫

2020年にNVIDIAは、ソフトバンクグループからその子会社である半導体設計大手の「Arm」社を400億ドルという天文学的な数字で買収することを発表、市場を驚かせた。しかし、のちに「規制上の大きな課題」があることを理由に株式の取得契約を解消している。

2021年:ゲーミング分野でも自動運転分野でも

2021年、NVIDIAはリアルタイムのレイトレーシングやAIなどの先進技術を搭載しゲームエクスペリエスを向上させるGPU「GeForce RTX 30」シリーズを発売。また、大きな可能性をもつ成長市場である自動運転車のソフトウェアとハードウェアの開発にも注力している。

数々の受賞

NVIDIAはその高い革新性と業界全体に変革をもたらした功績が認められ、数々の賞に輝いている。写真は2008年の第11回全米インタラクティブ芸術科学学会で登壇したNVIDIAのロイ・テイラー氏(右)。

テクノロジーの未来を拓く

さまざまな可能性にあふれたテック業界において、NVIDIAはあらゆる変革の源となっている。最先端技術を駆使した人工知能とデータ処理技術により業界を牽引する同社は、今後もより多くの分野に変革をもたらしていくことだろう。

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